FM 今週のポイント(5月25日)

2015/05/25

*先週末は日経平均株価が6連騰して(前週比531 円上昇)、東証1部の時価総額がついにバブル期の最高値を超えました(バブル絶頂の1989 年末の時価総額590 兆9087 億円に対して22 日は591兆3007 億円)。バブル期前からファンドマネジャー稼業をしている身にとって、まことに感慨深いものがあります。更新にかかった25 年の歳月、世界経済の枠組みが変わり、戦後日本の社会経済体制も変わり、遅ればせながら政治統治機能もそれなりに進化してきたものと思われます。

*当時の日本株式市場の時価総額は世界全体の半分を占め、PER は61 倍台でした(まさしく正真正銘のバブル)。当然のごとく、バブルは破裂してその後20 年以上にわたる長期低落期に突入しました。過度な円高傾向が続き、デフレ状況が浸透しました。右肩下がりの株価は市場関係者のみならず、日本人全般の意識を低下させたものと思われます。少子高齢化ともあいまって、日本経済に、日本社会の将来を悲観視する傾向が常態化してしまいました。この傾向は企業社会、企業経営者にも当てはまり、消極的な、無難な、安定志向(デフレ下で大きく落ち込まなければ相対的に勝つ)がメインストリームとなりました。必然的に企業部門にキャッシュが溜め込まれることになり、潜在成長率が低下する一因となりました。

*東証1部の時価総額がバブル期を更新したことの意義は大きいと思います。もちろん、上場企業数が1883 社であり、当時の1165 社と比較して6割も増加していることを考えると単純に喜ぶことはできません。また同期間に世界の株式市場の時価総額が5倍に増加していることを考えると滑稽な事象に過ぎないのかもしれません。市場に関係のない方々は(本当は日本国民全般に少なからず関係している)株価が上昇して時価総額が増加しても所得が増えるわけでは無く、生活が楽になるわけでも無く、直ぐに日本の未来に対して楽観的になれるわけではありません。ただし、企業経営者のマインドは大きく変化してきたと感じられます。長期上昇相場への転換(時価総額がバブル期を超えたことで確度が高まった)が自信を回復させつつあります(将来に対する見方が悲観から楽観に転換し始めている)→自社株が上昇することは想像以上に企業経営者のマインドを好転させます。これまで溜め込んできたキャッシュが大きく動きだす気配があります→設備投資であり、M&A であり、従業員への還元であり、株主への還元です。100 兆円の余剰資金が前向きに有効に活用されれば、日本の経済活動は活発化して潜在成長率をある程度引き上げることが可能です。長期上昇相場への転換を確信することにより企業経営者を中心にマーケット関係者の自信が回復することが、息の長い上昇相場を齎すことになります。

いちよしアセットマネジメント株式会社
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