インドは着実に変化

2018/10/09 <>

・しばらく前に、シンガポールの投資家に質問した。中国とインド、どちらに投資するか。彼は中国と言った。

・インドは、民主国家としてはよいが、とにかく何も決まらないので、国の政策が進まない。一方、中国は国家主義でどんどん進む。そこに投資機会があると答えた。今はどうであろうか。

・9月にインド経済とインドの投信について話を聴いた。そこでの論点をいくつか取り上げて、インドの投資環境を考えてみたい。

・インドの人口は14億人に近づいている。1人当たりGDPは2100ドルとまだ低い。しかし、IMFによる今後5年間の実質GDPの成長率は、年率でインド7.9%、中国6.2%、インドネシア5.5%と、インドの伸びが最も高い。

・人口の予測をみると、2050年には人口が17億人に増え、その時の中国14億人を上回る。因みに日本は1億人に減っている。人口の規模では、2024年にインドが中国を抜いていく。しかも若年人口が多いので、高齢化は中国よりずっと遅い。

・自動車の国内販売台数は、2017年で中国2910万台、米国1760万台、日本520台、インド400万台、ドイツ380万台であった。しかし、今後を見ると、インドの内需の成長率が圧倒的に高いものとなろう。

・2014年にモディ政権(インド人民党)が誕生して以来、大胆な改革を進めて、それまでのもたもたした動きから、相当スピードを上げている。

・16年に高額紙幣(500、1000 ルピー)を使えなくして、マネーの流動化とデジタル化を進めた。外資規制を緩和して、インフラ整備を進めている。17年には物品・サービス税(GST)を導入した。

・経済改革では、1)破産法の成立で、企業の新陳代謝が4年から半年に短縮された、2)高額紙幣の廃止で、汚職、偽造、アングラマネーなどの排除がかなり進んだ。3)GSTの導入で、州間の検問所の手続きが簡素化され、物流の効率化は進んでいる。こうした成果が昨年から出ている。

・AIIB(アジアインフラ投資銀行)の投融資はインドに大きく入っている。一方で、インド政府は、中国の一帯一路構想への参加には目を向けていない。

・名目GDPの規模でみると、現在は、米国、中国、日本の順で、インドは7位であるが、IMFによると、2030年には中国、米国、インド、日本の順になると予測している。

・ジェトロの調査によると、日本企業にとって、これからは中国よりもインドの方が投資先として有望とみている。とりわけ、自動車と一般機械、次いで電機・電子が期待できる。

・日系インド拠点からみた有望輸出市場は、アセアン、アフリカ、日本、中東、米国の順であった。インドを輸出拠点として、アフリカを攻めるという作戦も有効であるとみられる。

・ニューデリー(1100万人)とムンバイ(旧ボンベイ、1200万人)は何度か調査したことがあるが、次はベンガルール(旧バンガロール、840万人)、チェンナイ(旧マドラス、470万人)、コルタカ(旧カルカッタ、560万人)に行って、IT、自動車、商業などの実態をみたい。

・インド株式市場のSENSEX指数は、2010年の15000が2015年には25000に上昇し、現在は37000強へ大きく上昇している。インドルピーの動きが気になるが、トルコリラショックの影響もさほど受けていない。

・ドルに対してルピーはやや切り下がっている。経常収支の赤字は内需の好調を反映して多少拡大気味であるが、金融政策の動きを見てもGDPの減速が懸念されるほどではない。

・今後の企業業績からみると、2020年ごろには45000レベルに上昇することが十分見込めよう。とりあえずインド株のアクティブ投信を買い増しながら、マーケットをフォローしていきたい。

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