あっという間に真似されないように!
昨年12月に東証マザースに上場したリブセンス(コード6054)の村上太一社長の話を個人投資家説明会で聴いた。
リブセンスは、インターネットの求人広告会社で、2006年の設立、5年余りで上場した。村上社長は、大学1年、19歳の時に仲間4人で創業し。25歳の時に上場した。新規上場企業の最年少社長として新記録となった。
村上氏は、子供の頃から人に喜ばれるのが嬉しい、人に影響を与えるのが好きだったので、小学生の頃に、将来は社長になると決めた。両祖父が経営者であったことも影響したという。
会社を起こすことを考えていたので、高校の時に商業簿記の2級を取り、システム・アドミニストレーションの資格をとった。会計の仕組みとITシステムの仕組みをしっかり勉強していたのである。
高校生の頃にアルバイトを探していて、パソコン(PC)で見ても自分の家のそばで働けるようなアルバイトはネットに載っていない。しかし、自転車で近くを走ってみると、アルバイトの求人の張り紙を出している店はいろいろあった。
「ビジネスの基本は問題解決にある」ので、アルバイト探しの不便を解消する必要があると実感していた。早大の1年生、18歳の時に、大学のビジネスプランコンテストで、このネタでいきなり優勝し、1年間起業のためにビジネスインキュベーションの部屋が借りられることになった。インターンシップとして外部の企業に働きに行って、名刺の渡し方から、仕事の仕方まで学んだ。こうした準備を経て、何と19歳で起業したのである。
やっている仕事は、成功報酬型のインターネットメディアである。求人情報をネットのサイトに載せるが、それまで他の企業がやっていたような掲載料はとらない。その企業が求人に成功し、採用が出来たら、そこで初めて料金をもらうという仕組みにした。その料金の中から、求人が決まった人にもお祝い金(報奨金)を払う。このお祝い金を出すという仕組みを入れたことで、その求人が成立したかどうかが必ず分かるので、会社に成功報酬を請求することが出来る。
このアイディアは面白い。しかし、ここからが本領発揮である。このタネだけでは、すぐに真似されそうである。実際、2008年から上手く行き出したが、あっという間に同じようなサービスを提供しようという会社が続々と出てきた。同業他社が100社を超えてきたという。しかし、この分野で当社は圧倒的な力を見せている。
当社を立ち上げる時から、ITシステムが鍵を握ると分かっていたので、①ウェブマーケティング技術(検索技術)や、②サービス開発力、を内製化してきた。ここで独自性を確保した。したがって、当社に追随するのは簡単ではない。アイディアだけではなく、ビジネスモデルの差別化をきちんと実現するところまで考えて実行している点がすごいところである。
今2012年12月期の目標は、売上高18億円、営業利益7億円、売上高営業利益率40%である。当社のサイトを使いたいという申し込みは、上場後さらに勢いを増している。求人だけでなく不動産、中古車にも領域を広げている。“文化となるWebサービスを、作る。”というテーマで、国内において圧倒的№1を目指すリブセンスの事業展開に注目したい。