企業はどんな手を打つのか

2011/12/11

・少し前に大黒天物産(コード2791)の大賀社長の話を倉敷の本社で聞いた。100円ショップのワッツ(コード2735)は、大黒天物産のバリュー100(100円均一ディスカウントストア)という業態で手を組んでいる。バリュー100は売上高営業利益率が5%台に乗り、1つのフォーマット(ビジネスモデル)として展開できるところまできた。その後、ワッツの平岡社長から、大阪にあるバリュー100茨木太田店を案内してもらい、現地で詳しく話を聴いた。面白いマネジメントを展開している。

・大黒天物産は、創業来24年連続で増収増益を達成している。2000年に小売業に参入し、後発ながら、しがらみのない点を活かして、食品スーパー(ディスカウントストア)として発展を遂げてきた。食品スーパーはもう成熟産業ではないかと思われる中で、独自の成長をみせている。この10年で店舗を64店まで増やしたが、次の25年で1000店舗を目指すという。何とも壮大な絵を描いており、楽しみである。

・社長の思いは何よりも大事である。しかし、思いだけで夢は実現しない。その実現に向けて、戦略と組織を具体的に形作っていく必要がある。今の経営環境に対して、企業はどのような手を打つのか。それが戦略であり、我々投資家はそれを知って共有したい。共有できると、応援したくなる。

・戦略を知るには5つの視点がある。1つは、これからやろうとする綿密な計画作りであり、どのような商品、サービスをどの市場で提供しようとしているか。2つは、そのような計画を誰が参加して策定したかである。トップが決めただけでは組織は動かないし、現場だけがよいと思っても、組織全体のパワーにはなりきれない。3つ目は、会社の位置付け(ポジショニング)をどのように変えていくかである。どういう強みを活かして、どう差別化していくのか、が問われる。4つ目は、企業の強みがあるとすれば、それは他社にまねのできない経営資源となっているか、それはどんなもので、これからどう作っていくのかに着目する。5つ目は、競争相手との関係で、ビジネスのルールをどう認識し、競争上いかに相手の優位に立つかを考える。場合によっては、他社と一緒に組む方がよい場合もある。

・このように、企業は現状に甘んずることなく、目標に向かって全力で走っていく。その時の戦い方を知りたいし、戦う時の資源や能力も理解しておく必要がある。一橋大学の沼上教授は、次のような点を指摘する。顧客は学んで進化していくので、今日の得意客の声を聞くだけでは、イノベーションは起きない。シナジー(相乗効果)は本当にあるのか、注意した方がよい。実はシナジーが出にくい場合も多いという。その戦略に成算はあるのか、イチかバチかになっていないか、も確かに見極めたい。そうすると、投資が面白くなりそうである。

株式会社日本ベル投資研究所
日本ベル投資研究所は「リスクマネジメントのできる投資家と企業家の創発」を目指して活動しています。足で稼いだ情報を一工夫して、皆様にお届けします。
本情報は投資家の参考情報の提供を目的として、株式会社日本ベル投資研究所が独自の視点から書いており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではありません。また、情報の正確性を保証するものでもありません。株式会社日本ベル投資研究所は、利用者が本情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。