7月の米国雇用統計~金融政策、市場への影響
- 7月NFPは前月比+15.7万人とプラス幅縮小も、5、6月上方修正で安定増加傾向は変わりません。
- 賃金は前年同月比+2.7%と着実な伸びで徐々にインフレ率を押し上げ、目標はほぼ達成されました。
- 現在の四半期毎、0.25%の利上げペースを追認する内容といえ、ドルは底堅く推移すると見込まれます。
新たな求職が着実に新規雇用に結びつく展開
3日、米労働省が発表した7月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数(NFP)は前月比+15.7万人でした。増加幅は3ヵ月ぶりに20万人を割り込んだものの、5月、6月は共に上方修正されました。また、最近6ヵ月の平均は+22.1万人と、引き続き月20万人前後のペースで雇用が増加しています。今回、雇用全体に対して2~3四半期先行する傾向のある人材派遣業の雇用者数が前月比+2.8万人と、今年最大の増加幅となっています。
また、失業率は前月比-0.1ポイントの3.9%でした。6月は同+0.2ポイントの4.0%となり、良好な雇用環境を背景に、再び求職活動を始める人が増え、それが失業者数増加を通じて失業率を押し上げました。今回はそれが着実に雇用に結びついている様子が示されました。失業者数の前月比-28.4万人に対し、就業者数は同+38.9万人でした。
緩やかでも着実な所得環境改善が物価安定に寄与
民間企業時間当たり平均賃金(以下、賃金)は前年同月比+2.7%でした。過去の景気拡大期に比べると依然低く、インフレの加速につながる伸び率ではないものの、着実に増加が持続することで、次第にインフレ率を押し上げています。米金融当局がインフレ指標として参照しているPCE価格指数は、6月は前年同月比+2.2%、コアは同+1.9%と、米金融当局が目標とする+2%をほぼ達成しています。
FOMC(米連邦公開市場委員会)では、7月31日~8月1日の会合で、持続的な経済成長と、物価安定、雇用の最大化を実現するために、緩やかな利上げの継続が政策スタンスとして適当と判断されていました。今回の雇用統計は、四半期に1回、0.25%の利上げペースを追認する内容であったと見られます。市場は、こうした見方をほぼ織り込んでいると見られ、大きな相場変動にはつながらないものの、緩やかな米長短金利の上昇と、ドルの底堅い推移が見込まれます。
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