トルコの金融政策~金利高め誘導とリラ相場の展望
- 政策金利の事実上の上限金利であるLLW金利を0.5%引き上げて12.75%としました。
- 強いインフレ圧力に対する中銀の姿勢が注目されていましたが、今一つ力不足の感が否めません。
- 大統領からの緩和圧力は相変わらず。政府高官の発言とも異なり、リラは当面波乱含みとなりそうです。
緊急的な金利の引き上げにとどまる
トルコ中央銀行(以下、中銀)は14日、金融政策委員会を開きました。政策金利の事実上の上限とされるLLW金利※(Late Liquidity Window Interest Rate:金融機関に対する緊急的な貸出に適用する金利)は0.5%引き上げられ、12.75%となりました。レポ金利は8.0%で据え置きでした。
11月CPIが前年同月比+12.98%と、03年12月以来約14年ぶりの高水準で、悪性インフレのリスクも台頭しかねず、今回は中銀のインフレ抑制への姿勢が注目されていました。市場ではLLW金利1%引き上げの予想もあっただけに、0.5%の引き上げは、今一つ力不足の感が否めません。中銀は断固として引き締めを堅持するとしていますが、本来、イレギュラーなケースでの貸出に適用される金利が事実上の操作対象になっていること自体が通常ではなく、レポ金利に手が付けられなかったことは残念です。
※LLW金利は、市場では「後期流動性貸出金利」と訳されていることが多いようです。
追加利上げ催促で波乱含み続く
リラ相場は、エルドアン大統領の度重なる金融政策への口先介入や、対米関係悪化など、外交姿勢が問われる中、秋口から下落局面でした。11月24日の、大統領首席経済顧問の利上げ容認発言から、反発に転じましたが、12日にはエルドアン大統領がまたもや利上げ不要論を展開するなど、政府側の意見の相違も見られます。
インフレ率が高水準にある限り、中銀はLLW金利引き上げを続けると見込まれます。しかし、大統領、政府高官、中銀の足並みがそろわないなか、思い切った引き締め姿勢を取ることは事実上難しいと思われます。リラは、このところの景気回復がプラス材料ですが、当面は追加利上げを催促されるなど、波乱含みの展開を余儀なくされそうです。
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