豪州の金融政策(7月)~当面の豪ドル相場は?

2020/07/07 <>
  1. ISM景気指数は急上昇しました。経済活動再開が広がり、初期的な反動で一気に業況拡大に振れました。
  2. 雇用環境が悪化も、経済活動再開とともに改善すると期待されます。ただし先行きは依然不透明です。
  3. 豪ドル相場は、商品市況とコロナの感染状況との両にらみで、当面は様子見気運が強まりそうです。

依然としてコロナの感染状況に敏感に反応

本日、オーストラリア(豪州)準備銀行(Reserve Bank of Australia、以下、RBA)が定例理事会を開き、政策金利のオフィシャル・キャッシュ・レート(OCR)と、3年国債利回りの誘導水準0.25%を据え置きました。量的金融緩和については、今後の景気動向に応じて積み増す可能性があるとしています。国債は513億豪ドル購入して5月6日以降休止、期日物資金供給は4月に開始して以来、7月1日時点で利用額は154億豪ドルに達しています(枠は1509億豪ドル)。

豪州の景気は、雇用環境に厳しさが表れています。雇用者数は3~5月の3ヵ月間で-83.8万人でした。雇用者全体(2月時点で1299.2万人)の6.5%が失われ、失業率は2月の5.1%から7.1%に上昇しました。5月から経済活動が再開され始めたのを受けて消費者信頼感指数が急上昇し、6月以降、雇用環境は改善に向かうことが期待されますが、7月に入って新規の感染確認が増加し、一部の州、都市で再度ロックダウン(封鎖)となるなど、不透明感は払拭されていません。

商品市況とコロナ感染状況を両にらみ

豪ドル相場(対円)は底堅い展開です。6月上旬に1豪ドル76円台まで上昇した後、コロナの感染再拡大が懸念され、リスク回避傾向が強まり下落したものの、再び値を切り上げています。商品市況の上昇が追い風となっており、特に、金属市況の指標となる銅価格の上昇に反応しています。豪州は、主要な金属資源である鉄鉱石の主要産出国であることが背景にあると思われます。

一方、足元におけるコロナの国内での感染再拡大は、南半球が冬季入りしたことよりも、経済活動を再開したことの影響の方が大きいと見られます。当面は商品市況と並び、内外でのコロナの感染状況も視野に、様子見気運が強まると見込まれます。

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