臨時ECB理事会について

2020/03/19
  1. ECBは18日に臨時理事会を開き、年内に7500億ユーロの資産を新たに購入する計画を発表しました。
  2. 既存の購入対象資産に加え、信用力のある企業のCPも対象です。危機が終わるまで続けられます。
  3. 信用市場や国債市場までも混乱が拡大する中、中央銀行の思い切った行動が危機回避のカギです。

年内に1兆ユーロ程度購入

18日、ECB(欧州中央銀行)が臨時の理事会を開き、新たな資産購入計画を発表しました。名称は、パンデミック緊急購入プログラム(PPEP:Pandemic Emergency Purchase Program)、年内に7500億ユーロの資産購入を計画するものです。

購入対象資産は既存の購入プログラムのすべての購入適格資産(国債、社債、ABS〔資産担保証券〕、カバードボンド)に、信用力の高い企業が発行するコマーシャル・ペーパーが加えられます。また、国債については、これまで除外していたギリシャの国債も追加されました。購入の上限額など、資産購入の制限も外しました。資産購入は危機的状態が終わったと判断された時点で打ち切られますが、声明文では少なくとも年内は続くと示唆しています。既存の購入プログラムと合わせて、年内に1兆ユーロ程度の資産購入が進められます。

ユーロ市民サポートに全力

こうした緊急措置に踏み込んだ背景として、信用リスクが急拡大したことにあると思われます。欧州では投資適格債利回りとハイイールド債利回り、さらには周辺国の国債利回りが急上昇しました。市場のリスク回避指向が強まった一環と見られますが、ここに来て上昇が急ピッチとなり、企業の資金調達にも影響が出かねない事態となっていました。

徹底的にリスク回避しようとする市場の動きに対して、PPEPがどの程度の効果を発揮するかは今のところ不透明です。しかし、ECBは声明文の中で「実施できるものは何でもする」としており、状況次第で金融緩和をさらに強化する可能性は十分あり、ユーロ市民を全面的にサポートしていきます。

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