落ち着かない相場の行方

2026/02/06

2月相場入りとなった今週の株式市場ですが、日経平均は週初2日(月)の取引で、節目の53,000円台を下回ったかと思えば、翌3日(火)には歴代5番目となる2,000円を超える急反発を見せて最高値を更新するなど、先週に続いて落ち着かない展開が続いています。

また、米国株市場でも、NYダウやS&P500が最高値をうかがう状況が続いている一方で、ナスダック総合は軟調な場面が目立ち始めているなど、こちらも株価指数のあいだで温度差が生じており、日米ともに株価水準自体は高値圏に位置してはいるものの、上値を追うにも下値を探るにも中途半端な印象となっています。

裏を返せば、足元の株式市場からは「迷い」が感じられる状況とも言えます。国内株については、週末に控える衆議院選挙の投開票を前に様子見が強く、その結果待ちではありますが、米国株市場を中心に不安定な値動きとなっているAI・半導体関連銘柄の株価下落は押し目買いの好機なのかについても考える必要がありそうです。

こうした中、今週の相場で象徴的な動きとなっているのは、いわゆる「Anthropic(アンソロピック)ショック」の影響です。AI企業のアンソロピック社が発表した新型の自律型AIエージェントが、単なる補助ツールを超え、人間のようにPCを操作し業務を完結させる能力を見せたことで、「従来のSaaS(ソフトウェア)企業のビジネスモデルが破壊されるのではないか?」という懸念が急浮上し、これまでAIの恩恵を受けると思われていたソフトウェア関連株が大きく売られる事態となりました。

問題なのは、これらの企業に資金を注ぎ込んできた金融セクター(ベンチャーキャピタルや投資銀行部門を持つ大手金融機関)の株価も下落したという点です。また、昨年までのAI相場を牽引してきたマイクロソフトやメタ・プラットフォームズなどの「ハイパースケーラー」が決算を発表しましたが、内容は良好だったものの、成長鈍化や財務リスクが意識されて、決算後の株価は軟調な推移を辿っています。さらに、直近で株価が上昇していたメモリーやストレージ関連銘柄(サンディスクやウエスタンデジタル)も今週に入ってその勢いが鈍化しつつあります。

もっとも、現時点で「実際にAI投資が減速している」というわけではなく、足元の株価下落は、今後のネガティブシナリオの可能性を先取りしている、もしくは、強気過ぎたポジションが整理されている段階と見ることができ、いったんは株価が反発して行く動きも見せそうです。

となれば、押し目買いの好機と考えることもできますが、同じAI・半導体関連銘柄内でも選別がより明確に進んでいること、今回の「アンソロピックショック」によって一部の金融株まで売られる現象が見られたことなどを踏まえると、AI・半導体相場に対する楽観が後退しつつあり、となると、「もう少し株価が下落したところで買おうか」と考える投資家が増え、結果的に押し目の株価水準が段階的に引き下げられる可能性があるため、注意が必要です。

したがって、当面のあいだは「落ち着かない株式市場」の状況が続くことになりそうです。

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楽天証券経済研究所 土信田 雅之が、マクロの視点で国内外の市況を解説。着目すべきチャートの動きや経済イベントなど、さまざまな観点からマーケットを分析いたします。
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