ECB理事会について~今後の金融政策と市場見通し
- 政策金利は据え置かれました。一方、資金供給オペの条件緩和と量的緩和の拡大を決定しました。
- 今後の情勢次第では追加緩和も辞さない構えで、ゼロ金利や量的緩和の拡大の可能性も出てきました。
- ユーロ・円相場は米国経済の動揺がユーロ高要因も、円高・ドル安と相殺でもみ合いが見込まれます。
ウイルス禍に迅速な対応
12日、ECB(欧州中央銀行)が定例理事会を開きました。政策金利(MRO※適用金利0%)、預金ファシリティ金利-0.5%を据え置いた一方、TLTRO◇の条件緩和と量的金融緩和拡大を決定しました。
TLTROの条件緩和は、①基準利率を0%から-0.25%に引き下げ、②貸出残高維持を条件に利率を預金ファシリティ金利-0.25%まで引き下げ(従来は基準利率0%、貸出残高2.5%増加を条件に預金ファシリティ金利に引き下げ)、③利用上限額を基準時(2019年2月末)の貸出残高の30%から50%に引き上げとしました。量的緩和については、現在、毎月200億ユーロ実施している資産買入プログラムに関して、年末まで1200億ユーロ買い増しすることを決定しました。ラガルドECB総裁は、今後の情勢次第では、マイナス金利の深掘りも含め、さらに金融緩和を強化することも辞さないと示唆しています。
同日、発表された経済見通しでは、実質GDP成長率について2020年を+1.2%から+0.8%へ、2021年を+1.4%から+1.3%へ下方修正しました。一時的な景気後退も有り得るという見方です。
※Main Refinancing Operation(主要資金供給オペ)
◇Targeted Longer-term Refinancing Operation(貸出促進目的の長期資金供給オペ)
金融緩和の協調で一方的な動きになりにくい
ユーロ相場は、対ドルでは一時大きく上昇している一方、対円では下落しています。対ドル相場は、米国で新型ウイルスの感染が拡大し、米国経済の優位性が揺らいだことが背景と見られます。対円相場は、円高・ドル安が進行し、対ドル相場の上昇以上となったためです。
米国に協調して金融緩和が強化されたことを考慮すると、対ドルでこれ以上の上昇余地は小さいと見られます。一方、市場の混乱の中で、先進国通貨は「安全資産」の部類と見られ、対円でこれ以上の下落リスクも小さく、もみ合うと見込まれます。
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