「GDP2次速報」と「観光白書」

2015/06/12

今週の国内株市場は「アフター米雇用統計」でのスタートでした。その結果は、注目のNFP(非農業部門雇用者数)が思っていたよりも強く、それが米国の早期利上げ実施を意識させ、とりわけ為替市場では約13年ぶりのドル高・円安水準となる反応を見せました。こうした円安を受け、週明け8日(月)の日経平均は20,500円台を回復するスタートとなりました。

ただし、その後は売り優勢の展開が目立ち、この日は下落に転じて終了したほか、10日(水)には20,000円の大台割れ目前まで下落する場面もありました。前回、「外国人投資家にとって、円安材料だけの日本株上昇はあまりウェルカムではない」と書きましたが、日経平均が20,500円から上値を伸ばせず、コレといった買い材料に乏しい中、ひとまず利益確定売りが出て、さらに週末のメジャーSQへの思惑が重なって下げ幅が大きくなったのかもしれません。

その一方で、8日(月)には国内1-3月期GDPの2次速報が発表され、予想以上の改善を示したほか、10日(水)の4月機械受注でも、前月比マイナス予想に反して大きくプラスとなる結果が発表されており、国内の景況感については取り立てて悪材料は見当たりません。足元の下落が需給要因等の一時的なものであれば、買いを入れる絶好のタイミングであると言えそうです。ただし、「下がったら買う」という投資スタンスは投資の王道のひとつではありますが、「下がったところで買ったら、結果的に上昇トレンドが終わった後だった…」ということもあり得るため、何を買うかがポイントになります。

あらためて、先ほどの国内1-3月期GDP2次速報に注目してみますと、1次速報に比べて設備投資が上方修正されたことが貢献しています。設備投資は将来の成長のために行うわけですから、積極的に設備投資を行っている企業はそれだけの成長見通しが背景にあると考えられ、売上高や利益を伸ばす可能性があるため、銘柄選びのひとつの切り口になりそうです。

設備投資と言えば、今週の9日(火)に「平成26年度観光の状況及び平成27年度観光施策について」が観光庁より公表されました。いわゆる『観光白書』です。その中身は、2014年の訪日外国人旅行者が1,341万人だったとか、その中でアジアからの旅行者が1,061万人で全体の79.1%を占めているとか、訪日外国人の旅行消費額が過去最高の2兆278億円だとか、日本の観光業をとりまく状況を様々な角度からまとめています。

その中で、各産業の取組状況を見てみますと、訪日外国人が多く購入する商品の増産体制の強化や、小売店内での免税カウンターの増設、多言語対応のスタッフ拡充、外国のカードに対応するATMの設置、宿泊施設の拡充、公共施設内での無料Wi-Fiの導入など、様々な産業で設備投資が行われており、「インバウンド」というテーマを設備投資という視点で眺めてみると、意外と裾野が広いことが分かります。今後も訪日外国人の増加は国策ですので、引続き注目されることになりそうです。

 

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