「アノマリー」は続くのか?
今週の日経平均ですが、2四半期連続のマイナス成長だった7-9月期実質GDPの「プチショック」で月曜日にいきなり急落を見せた後、その下げ幅を取り戻す展開となっています。また、火曜日の夜には安倍首相の口から、市場の想定通り、消費税率引き上げの先送りと衆議院の解散が表明されました。
衆議院選挙の日程は、12月2日に公示、12月14日に投開票となりますが、解散表明から選挙までは株式相場が上昇しやすいといった経験則(アノマリー)があります。1970年以降に実施された衆議院の解散総選挙は13回あるのですが、うち、解散日から投開票日までの日経平均が上昇したのは12回です。
また、総選挙を経て与党による政権基盤が安定し、アベノミクスが加速するといった期待もあるようですが、記憶に新しいところでは、2005年9月の小泉政権時に行われたいわゆる「郵政選挙」のイメージなのかもしれません。当時、解散前の自民党の議席数は241議席とちょうど過半数水準でしたが、解散総選挙によって安定多数を大きく上回る296議席を獲得したことで、改革が一層進むという期待が高まって、選挙後も日経平均は上昇を続けました。
現在の自民党の議席数は郵政選挙時の獲得議席数に近い294議席ですので、すでに安定多数を上回っています。選挙戦期間の政策議論とムード次第ではありますが、現時点では議席を大きく伸ばす感じではないため、アベノミクスが加速するという期待は少し先取りし過ぎの面がありそうです。
また、現在の日経平均は10月半ばの直近安値から2,000円を大きく超える上昇を見せています。とりわけ、11月11日の後場から一段高となった格好ですが、消費増税見送りと解散総選挙の観測が高まったことがきっかけと思われ、総選挙の実施自体は直近の上昇にすでに織り込まれていると言えます。
投開票が行われる12月14日直前の金曜日(12日)はメジャーSQですので、選挙戦の動向を材料に株価指数先物取引やオプション取引が相場を動かす可能性があります。そこで、解散総選挙を織り込み始める前の11月10日からの12月限日経225オプション取引の建玉残高状況の推移を辿ってみますと、11月19日の取引終了時点で、株価が上昇すると見込むコールよりも下がると見込むプットの方が建玉残高枚数は多くなっており、相場の下落に備える動きも感じとれます。
また、11月10日からのコールの建玉枚数が大きく増えているのは、同じく11月19日時点で、権利行使価格18,000円(11,333枚増加)、18,250円(7,209枚増加)、17,750円(5,702枚増加)です。一方のプットでは、権利行使価格16,500円(13,941枚増加)、16,750円(13,897枚増加)、17,000円(9,994枚増加)となっています。増加枚数的にはこれまでのところ、プットの方が多くなっており、あくまでもオプション建玉という需給要因だけの話ではありますが、「やや売りに押されやすいかも」ということは頭に入れておいて良いかもしれません。
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