中国GDPの結果と上海総合指数

2014/10/23

国内株市場は先週の後半から値動きの荒い展開が続いています。先週木曜日(10月16日)からの日経平均終値の前日比の推移を辿ると、335円安(16日)、205円安(17日)、578円高(20日)、306円安(21日)、391円高(22日)と、上げ下げが大きく、かなり目まぐるしいです。

そんな中、今週は21日に中国で7-9月期のGDPが公表されました。その結果は前年同期比で+7.3%となり、前回(+7.5%)から鈍化しつつも、予想(+7.2%)していたよりは良かったという印象です。先ほどの日経平均の前日比の推移では、この日は前日比306円(2.03%)安となっていましたが、市況解説の中には、この中国のGDPの結果を受けて下げ幅が加速したという見方もあったようです。

とはいえ、当の中国上海総合指数は0.72%安にとどまっていたほか、香港ハンセン指数は0.07%高と横ばいながらも一応上昇しており、日本株ほどに中国のGDPの結果に対してネガティブに反応してはいないようです。他のアジア諸国でも、台湾(0.09%安)や韓国(0.76%安)、マレーシア(0.38%安)など、中国GDPの公表後にマイナスに転じた株価指数もありましたが、やはりこちらも日本株ほどの下げを見せていません。

確かに、今回の中国GDPの結果は5年半ぶりの低水準であるほか、中国政府が目標としていた「7.5%前後」というGDP成長率目標の達成がほぼ困難になったと言えます。ただし、すでに想定されていたことですし、市場ではある程度「織り込み済み」だったと考えられます。逆に、足元の上海総合指数の動きはあまり中国の景況感を反映していない可能性があります。

中国の景気減速が警戒され始めてかなりの時間が経っていますが、上海総合指数は7月あたりから上昇基調を強め、10月に入って年初来高値をつけました。いわゆる「プチ経済政策」が効を奏している面もありますが、力強い景気回復となっているわけではなく、そもそも中国政府自体が景気加速というよりも景気を減速させないようにする姿勢で経済政策を実行してきました。

上海総合指数を押し上げてきたのは、10月中に始まるとされている「上海市場と香港市場の株式取引の相互乗り入れ」による資金流入期待です。今年の4月に、李克強首相がこの両市場の「株式取引の相互乗り入れ」について発言し、その直後は市場でも話題になりましたが、当時は相場のテーマとしてあまり持続しませんでした。ところが、「半年間の準備期間を経て実施する」という当初の計画通りに事が進んでいるらしいことが明らかになり、相場の買い材料として再び盛り上がり始めた格好です。

また、GDPが公表された21日の上海総合指数の下落は、GDPの結果を受けてというよりも、新規株式公開(IPO)の増加に伴う需給の悪化によるものという見方が多く、景況感にあまり反応していないように感じられます。

しばらくは、上海市場と香港市場の株式取引の相互乗り入れとIPOの需給などが中国株市場の材料となりそうです。折りしも今週の20日~23日にかけて、中国共産党第18期四中全会が開催されていますが、景気動向と経済政策が材料になるタイミングは12月に予定されている中央経済工作会議あたりになる可能性があります。

 

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