株価下落の「加速装置」
今週の国内株市場はこれまでのところ下落が大きくなっています。特に、日経平均は大台の16,000円はおろか、節目の15,000円台を下回る場面も見られるなど、急落の場面が目立ちました。米国株市場の下落に歩調を合わせる格好です。
その米国株市場が下落した主な背景として、欧州や日本、中国の景気減速懸念が高まったことや、急ピッチなドル高に対する米企業業績や物価への影響が一部で警戒され始めたこと、原油価格など商品市況の下落、エボラ出血熱の感染拡大懸念などが挙げられています。また、ヘッジファンドの決算月や米中間選挙が控えていることなども売りのきっかけになったと見る向きもあるようです。
どれも材料としては目新しいものではなく、正直「今さら」感があります。確かに、これらの材料は売りのきっかけになったと思われますが、それとは別に、下げ幅を大きくさせる「加速装置」がありそうです。その候補としては、「資金の流れ」が考えられます。
直近のマーケットは、日米欧の株価はもちろん、新興国の株価指数や債券も売られているほか、先にも述べたように商品市況も下落が目立っています。その一方で、米国の債券には買いが入り、10年債利回りが2.1%台になるなど、低下傾向となっています。
ここで思い出されるのは、昨年5月に起こった、いわゆる「バーナンキショック」です。当時のバーナンキ前FRB議長がQE3からの出口戦略について言及したのを受けて、新興国のトリプル安(株安、債券安、通貨安)や商品市場が一斉に売られる場面がありました。「フラジャイル5」という言葉が賑わったのもこの時期です。米国の緩和的な金融政策の終了観測が市場のムードを悪化させた格好です。
順調に行けば、今月下旬に予定されている米FOMCでQE3の資産購入が終了しますが、昨年5月と同様に、緩和によって溢れた資金が向かっていた投資先から、資金を引き上げる動きが一部で起きているようにも見えます。QE3の終了自体についても事前に判っていたことですし、こちらも「今さら」感があります。とはいえ、いざ目前に迫ったタイミングで世界景気の減速警戒などの材料が出たことで売りが加速したと考えられます。
もっとも、QE3終了といっても、新たな資産購入がなくなるだけで、これまでに購入した資産の整理や利上げはこれからの状況次第です。また、足元の米国景気は世界経済の中で「独り勝ち」の状況ですが、このまま米国経済が世界経済を牽引していくのか、それとも世界経済に足を引っ張られるのかといった議論も出てきています。QE3の終了による世界経済への影響というのが今後の相場のテーマになってくるかもしれません。
しばらくは日米で本格化する企業業績をにらみつつ、FOMCを待つという中での相場展開となりそうです。
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