景気認識のギャップと金融緩和期待
注目だったジャクソンホール会合(カンザスシティ連銀が主催する経済シンポジウム)を終了して迎えた今週の国内株市場ですが、日経平均とTOPIXの主力株指数の動きが冴えない一方、東証2部指数や日経JASDAQ平均、マザーズ指数などは概ね堅調に推移しています。まちまちの動きに、市況の解説やコメント等でも「主力株が盛り上がらない」という声をよく耳にします。
元々、日経平均は先週まで見せていた9連騰の際にも、「米国株の上昇と円安の進行を受けて一段高でスタートするものの、その後は上値を伸ばせず、そのままもみ合いで取引が終了、しかも薄商い」という展開が目立っていました。通常であれば、米株高と円安の流れを引き継げば、自動車株といった主力輸出株が買われて相場を引っ張っていくのがメインシナリオなのですが、先週の売買代金ランキングを見ると、主力輸出株ではなく、鉄建建設やミクシィ、KLab、熊谷組といった内需関連の顔ぶれが中心となっています。
冒頭でも触れたジャクソンホール会合ですが、そこで行われた米国のイエレンFRB議長の講演での発言は、会合前に発表されてハト派スタンスが垣間見えたFOMC議事録から、ややハト派姿勢の印象だったほか、欧州のドラギECB総裁からは、「一段のインフレ期待を確実に安定させるため非標準的措置も講じる用意がある」と金融緩和を匂わす発言がありました。
黒田日銀総裁も会合に参加しましたが、記者団に対し、景気認識についてこれまで通り強気の姿勢を崩していません。ただし、4-6月期のGDPや貿易統計など、これまでに公表された国内の経済指標からは、景況感の先行きに対する不安や警戒が窺えるものが少なくなく、足元では市場と黒田総裁とのあいだに景気認識に対するギャップが感じられます。
国内では、物価指数や鉱工業生産が公表される今週末(29日)から7月分以降の経済指標の発表が本格化しますが、「国内景気は消費増税の影響で4-6月期に落ち込み、7-9月期以降に復調する」というシナリオ通りに進むのかが注目されます。
また、ジャクソンホール会合後のマーケットは、米S&P500指数が初の2,000ポイント台に乗せるなど、欧米株市場は勢いに乏しいものの、ひとまず上昇で反応しましたが、その背景には、金融政策動向に対する相場視点があります。国内株市場は先程のような景気認識のギャップが存在するためか、春先に賑わって以降、追加金融緩和策への期待が相場の材料となる展開にはなっていません。とはいえ、逆を言えば黒田総裁が強気だからこそ、今後の景気認識に変化が生じれば、一気に追加金融緩和期待が高まり、相場のテーマとして浮上する可能性があると言えます。
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