個人投資家の主力離れが続く?-TOPIX100銘柄の呼値変更

2014/07/11

先週10日(木)に発表された米雇用統計ですが、日米の株式市場の初期反応は、その強い結果を評価するとともに、賃金や労働参加率などといった、「労働の質」の改善が道半ばで、しばらくは低金利政策が持続するだろうという「イイトコ取り」で好感した格好ですが、と言いつつも、利上げ前倒しへの警戒も一部で燻っており、その後は冴えない展開が続いています。

とはいえ、今週に入ってからの日経平均やTOPIXが軟調な一方で、東証2部指数が連日で年初来高値を更新していたほか、日経JASDAQ平均も7年5カ月ぶりの水準まで上昇しており、主力の株価指数以外は堅調です。5月下旬からの株式市場の上昇基調は目立った調整局面がなく、「大きく下がらない」という下値の底堅さが却って、主力株に買いを入れるタイミングをつかみにくくさせている面があり、さらにこの状況が主力株以外への物色を促し、新興株や材料株が賑わさせている格好といえます。

まもなく、国内でも決算発表シーズンを迎える中、再び主力銘柄にも関心が向かうと考えられますが、少し気がかりなイベントが控えています。海の日の連休空けの7月22日に、取引所がTOPIX100銘柄を対象に実施する、「呼値の刻み」の制度変更です。具体的には、株価が1,000円以下の銘柄は0.1円、1,000円超~5,000円以下の銘柄は0.5円の呼値の刻みが適用され、株価に小数点が発生する銘柄が出てきます。

個人投資家でも売買の多いソフトバンクやファーストリテイリングなどは現時点での株価が5,000円以上のため、今回の制度変更による影響はありませんが、株価が1,000円以下のメガバンク株などは、株価に小数点が付くことになります。

今回の制度変更のねらいですが、東証のリーフレットによれば、「流動性が高い銘柄について細かい呼値の単位を導入することで、約定価格の改善や、指値注文における値段の選択肢の広がりによる板での順番待ちの緩和など、投資家の皆様の利便性の向上が期待されます。」と書かれています。

ただし、とりわけ短期志向の個人投資家にとっては、呼び値の1単位の変動で得られる利益幅が小さくなってしまうほか、板情報が見づらくなるなどのデメリットもあり、TOPIX100は「儲かりにくい」銘柄となる可能性があります。また、自動車株を見てみると、7月10日時点での株価が5,000円を超えているトヨタ株の呼値はそのまま、1,000円超~5,000円以下のホンダは0.5円刻み、1,000円以下のマツダは0.1円刻みになるなど、同じセクター内でも呼値の単位が異なるケースも想定されます。あくまでも短期の値動きだけの視点でみれば、主力株よりも、中小型株や新興株が選好されやすい地合いはしばらく続くのかもしれません。

 

 

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