企業業績を先取りしづらくなった日銀短観

2014/07/03

7月入りとなり、2014年も残り半分となりました。日経平均は昨年末の高値(16,320円)から4月の安値(13,885円)の下落幅の「3分の2戻し」の水準まで回復してきました。そんな下半期に突入早々に発表されたのが、6月調査分の日銀短観(全国企業短期経済観測調査)です。

今回の短観で注目されたのは、消費増税後で最初の調査ということもあり、消費増税の影響がどのくらいあったのかということと、また、今後の企業の景況感の見通しが強気なのかどうかです。

さて、その結果ですが、大企業製造業の足元の業況判断DIが12、非製造業で19となりました。前回(3月)調査のDIはそれぞれ17と24でしたから、結果としては落ち込んだことになります。ただ、今回の足元にあたる前回調査の先行きDIについては8と13でしたから、前回調査で想定していたよりも業況判断は悪くなかったことになります。

また、今回調査における先行きDIについては、それぞれ15と19でした。9月に向けて製造業はやや回復、非製造業は横ばいの見通しで、少し慎重かなといった印象です。その一方で、設備投資額については、大企業全体で前年度比+7.4%となり、前回から上方修正されたほか、予想(+6%前後)も上回り、企業活動の活発化が窺える項目もありました。

今月の半ばを過ぎると、国内企業の決算発表シーズンが本格化しますが、今回の調査で企業の景況感がもうちょっと強ければ、株式市場も業績見通しの上方修正期待を先取りする格好となり、株価が上値をトライしていたかもしれませんが、結果として、「実際のところはどうなのか?」、発表を見極めながらの展開となりそうです。

なお、日銀短観での業況判断の調査項目ですが、「良い」、「さほど良くない」、「悪い」の3択となっています。そして、得られた回答のうち、「良い」から「悪い」を引いたものがDIになります。ちなみに、日銀短観(業種別計数)では、「良い」と「悪い」の回答比率が掲載されており、例えば、今回調査の現状判断では、「良い」と回答したのは20%、「悪い」と回答したのは8%で、この20から8を引いた12が現状判断DIになるというわけです。

別の見方をすれば、多数派なのは「さほど良くない」と回答した残りの75%ということになります。

 

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