とりあえず好感された米FOMC
今週の17日~18日にかけて、米国でFOMCが開かれました。18日の米国株式市場は、前日比でやや軟調なもみ合いが続いていましたが、FOMCの結果と声明文が公表されたタイミングで上昇方向に転じ、S&P500指数は過去最高値を更新して終了しました。FOMCの結果はひとまず好感された格好ですが、この「ひとまず」というのが今回のFOMCのポイントのような印象です。
というのも、為替市場と債券市場がFOMCの結果を受けて、一時的に値動きが荒くなったからです。例えば、米国債券市場では、結果の公表直後は売りで反応し、10年債利回りが2.65%まで上昇しました。その後は一転して買いが優勢となり2.58%まで低下しました。為替市場もドル買い(円安)で反応した後にドル売り(円高)に転じました。つまり、FOMCの結果をどう受け止めるかについて、短時間のあいだに変化があったと考えられます。そのため、今回のFOMCをざっくり整理する必要がありそうです。
まず金融政策面では、長期国債やMBSなどの資産購入ペースを合わせて100億ドル減額して300億ドルにする、いわゆるテーパリングの継続が決定されました。これは市場の予想通りの結果でしたので、市場に与える影響はほぼ無いといって良いと思います。
次に声明文の内容です。景気認識については前回よりもやや前向きな表現となりました。その内訳は、住宅部門の回復ペースは鈍いものの、消費(家計支出)は引き続き堅調、雇用情勢や企業の設備投資などはより改善といった感じです。また、フォワードガイダンスなど今後の政策動向については前回とほぼ同じでした。さらに、今回はFOMCメンバーによる経済見通しも発表されました。2014年のGDP成長率の見通しが下方修正されたほか、失業率については上方修正、政策金利の見通しが引き上げられる一方で長期金利の見通しが引き下げられました。
つまり、声明文では景気認識が上向いた一方で、GDP成長率の見通しが引き下げられ、政策金利を上方修正した一方で長期金利見通しが下方修正されていたわけです。そのため、今回の結果がタカ派なのはハト派なのか、「一体どっち?」という反応の交錯が債券市場や為替市場に一時的に表れた格好です。その後のイエレンFRB議長の記者会見も含めて、ひとまずは「出口戦略そのものは想定しているけど、低金利政策の維持など景気にも配慮しているよ」というハト派の見方に落ち着き、しかも、今回のFOMCは数日前に発表された消費者物価指数(CPI)が昨年2月以来の大幅な伸びで、インフレ圧力が意識される中、タカ派寄りになるのではという見方もあったため、より安心感が広がったと思われます。
とはいえ、このままのペース(100億ドルずつ縮小)でいくと、あと3回のFOMCでテーパリングが終了することになります。次回は7月29日~30日、その次は9月16日~17日、そして10月28日~29日の予定です。足元の米国市場は景気の回復と低金利の長期間維持見通しのイイトコ取りの地合いですが、次第にテーパリング後の利上げのタイミングがより強く意識されることになります。
イエレン議長は今回の記者会見で「出口戦略の手段について年後半には説明できるようにする」と述べていますが、もう年後半ですし、そんなに時間はありません。次回以降のFOMCの動向とともに、バーナンキ前議長時代に有名になった、毎年8月のカンザスシティー連銀主催のジャクソンホール会合に今年はイエレン議長が出席予定ですので、こちらにも注目が集まりそうです。
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