株価上昇の持続性の力不足

2014/02/20

今週の国内株市場は週初の2日間で大きく上昇し、日経平均の上昇幅は500円を超えました。材料となったのは、2013年10-12月期の国内GDPと、日銀金融政策決定会合の結果です。

17日(月)に発表された国内GDP(実質)の結果ですが、前期比プラス0.3%、年率換算プラス1.0%でした。四半期連続でプラスは維持したものの、市場の予想(前期比プラス0.7%程度、年率換算プラス2.8%程度)を大きく下回ったこともあって、株式市場は売りで反応しました。ただ、内訳をみると、民間内需(消費や設備投資、住宅など)が頑張ったことが見直され、その後は買いが優勢となりました。

翌18日(火)は、日銀金融政策決定会合の結果が昼頃に公表されました。公表直後は「現状の金融政策の現状維持」というヘッドラインが先行してやはり売られましたが、「貸出増加を支援するための資金供給」と「成長基盤強化を支援するための資金供給」の拡充という、プラスαが盛り込まれていた事に反応し、すぐさま上昇に転じました。当日の日経平均は今年最大の上げ幅(前日比450円上昇)となりました。

ただし、この二つの材料も株価上昇の持続性には力不足だったようです。GDPに関しては、2013年の成長率は前年比プラス1.6%でした。2年連続のプラス成長でしたが、2012年(プラス1.96%)からは減速しています。2013年の米国GDP成長率は前年から加速傾向にあることや、昨年の日本株が突出したパフォーマンスの良さだったこと、期待から実効性が試されているアベノミクスが足踏みしている現状を考えると、日本株の戻りが鈍いのは不思議なことではないかもしれません。

また、日銀会合で決定された2つの資金供給の拡充(年0.1%の固定金利、期間を3年から4年に延長、規模を2倍)についても、すでに昨年の「異次元緩和」で長期債の買い入れが行われている中で、積極的な効果は望みにくく、18日にあれだけの上昇を見せたのは、東証が発表している空売り比率(5日平均)が17日時点で約33%と高水準だったことなど、売り方の巻き戻しが加速したためとも考えられます。裏返せば、日銀の追加緩和への期待の大きさが、プラスαの材料に対して敏感に反応させたとも言えます。

もっとも、足元で一巡した企業決算は全般的に堅調ですし、マクロ環境が大幅に悪化しない限りは、下値を拾う動きが相場を支え、2月あたまの日経平均14,000円水準が目先の底と判断して良いと思われます。ただ、株価が戻りを試し、買い上がる材料が揃っていないため、レンジ相場の格好となりそうです。さらに、東証1部(約1,780銘柄)の値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の推移を追っていくと、2月に入ってからは必ずどちらか一方が1,100銘柄以上に偏り、その日のムードで左右される展開が続いています。そのため、しばらくは値動きが荒く、まずは値固めの落ち着きどころを探る動きが予想されます。

 

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