中国「3中全会」の次の展開は?
このコラムでも注目イベントとして、度々取り上げてきた中国の「3中全会(中国共産党第18期中央委員会第三回全体会議)」ですが、今週の火曜日(12日)に閉幕しました。12日の中国株市場では、政策期待で上海総合指数が上昇していましたが、閉幕から一夜明けた13日は大きく反落し、節目の2,100割れとなりました。
3中全会後の市場の反応は冷ややかでしたが、「サプライズではなかった」、「政策の具体的な内容や、数値目標がなかった」ことが背景となりました。開催前には、国有企業の改革や、金融、エネルギー、インフラ、公共事業などの分野に対する民間企業への参入開放などの進展があるだろうという期待感が高まり、幅広い銘柄が物色されてきましたが、期待のハードルが高かった分、利益確定売りに押された格好です。
3中全会自体が非公開で開催されたため、議論の詳細を窺い知る事はできませんが、結局3中全会で何が決まったのかというと、最終日の12日に、「改革を全面的に深化させるための若干の重要問題に関する中央委員会の決定」というのが採択されたことです。その内容が今後の政権運営の基礎となります。
その内容は大きく7つに分かれます。①改革の全体目標は中国独自の国家統治体制と統治能力の現代化、②2020年までに主要な改革について成果を上げる、③法に基づく行政体制改革を進める、④改革を舵取りするため、「全面的改革深化指導小グループ」というのを共産党中央に設置、⑤経済体制改革のポイントは政府と市場の関係をより適切にすることで、市場の役割に重心を置きつつ、政府も適度に関与する、⑥治安維持と国防のために「国家安全委員会」を設立、⑦公有制と非公有制の経済(社会主義市場経済)体制を重視し、公有制が主となる-、というのが、ざっくりとした要点です。
今回の決定内容からすると、確かに具体的な政策への言及はなく、期待感を抱いていた投資家からすれば肩透かしを食らった格好になります。具体的な政策動向は、1ヵ月後の12月頃に開かれる予定の中央経済工作会議に焦点が当たりそうです。ただ、今後を見ていく上でヒントになりそうなものがいくつかちりばめられていると思われます。
特に注目されるのが、④の「全面的改革深化指導小グループ」の設置です。政策の策定や、実行面での監視など幅広い権限が与えられると思われ、このグループが機能するかが、改革実行の鍵を握りそうです。また、⑤については経済改革の軸足をより市場側に置き、好感できる内容と読み取ることができますが、政府関与の適度さに対する認識が、当局と市場関係者との間に隔たりがある可能性も考えられます。また、全体的にはバランスをとってまとまっている内容となっており、改革に対する抵抗勢力にも配慮していると考えられます。それが却って改革進展の難しさを示しているのではと考えることもできます。
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