中国経済指標の違和感と「リカチャン」指数
大幅遅れの発表となった、米9月雇用統計の結果を受けた23日の国内株市場は、日経平均がスタートこそ上昇したものの、終わってみれば前日比で287円安と大きく反落しました。
雇用統計発表後の欧米株市場は、米国量的金融緩和の継続を好感して上昇、国内株市場も当初はこの流れを引き継いだのですが、日経平均が9月の高値(ザラバで14,817円)を抜けきれなかったことや、取引時間中に進行した円高、中国の金融引き締め警戒などが一気に株価を引き降ろした格好です。
そもそも、米国量的金融緩和の継続ですが、裏を返せば米国景気に対する強気の見方の後退でもあります。今後発表される米国の経済指標は、一部政府機関の閉鎖の影響が反映されるほか、米S&P500や独DAXなどの株価指数が足元で過去最高値を連日で更新するなど、「不思議に下がらない」相場が続いていましたから、大きな調整局面には警戒が必要となりそうです。
また、中国に関しても、5大銀行による上期の不良債権処理が前年同期比で3倍増になったことや、上昇がとまらない住宅価格、食料品など物価の再上昇の兆候などを背景に、当局が金融引き締めを実施するのではとの見方が高まりました。そのため、今週は10月中国製造業PMI速報値(HSBC版)が予定されていますが、正直ノーマークだったこの指標に対する注目度が一気に高まることとなりました。
中国では先週(18日)に7-9月期のGDPが発表され、前年同期比で+7.8%と前回(4-6月期)の+7.5%から上振れするなど、経済指標の結果は堅調なものが多くなっており、夏前までの景気減速懸念は一服していると見ることができます。先程のPMIの結果も50.9となり、節目の50を3カ月連続で上回ったほか、前回(50.2)からも改善しています。
ただし、中国との関わりの深い企業の動向を見ると、別の状況が透けて見えます。例えば、先週に売上高の大幅減となる決算を発表した米IBM。売上減少の要因は新興国の落ち込みですが、その約半分は中国が占めています。また、同様に、今週決算発表があったキャタピラーも減収減益となったほか、中国を消費市場として捉えているバーバリーやダノン、ユニ・リーバなどが中国事業の見通しについて警戒感を示すなど、堅調な中国経済指標とのギャップというか、違和感があります。
もっとも、中国経済指標の信憑性に関する指摘は以前からありました。現政権指導部の李克強首相自身が、遼寧省の党書記時代に「中国のGDPはあくまで参考値。人為的に操作されているので信頼できない」、「銀行融資と電力消費、鉄道貨物の取扱量の3つの統計に注目している」と発言したのは有名な話です。
なお、余談ですが、李克強氏の中国語の発音表記は「Li Ke Qiang」、カタカナでは「リカチャン」となります。先程の3つの統計は一部で「リカチャン指数」などと呼ばれているそうです。
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