アフター「米財政問題」
今週も引き続き、米財政問題(暫定予算の策定と債務上限の引き上げ)をめぐる米議会のゴタゴタに振り回される状況が続いています。米14会計年度の開始までに予算が決まらず、一部政府機関が閉鎖されて10日ほど経ちました。債務上限の引き上げについても、資金が尽きる目安とされる10月17日までのカウントダウンが意識される中、日米の株式市場は10月入りしてから下落基調を辿っていましたが、ここにきて下げ止まって反発する動きが見られ始めています。特に日系平均は8日(火)から3日続伸となっています。
元々、米財政問題に対しては、「いずれは米議会で妥結するだろう」との見方が根底にありつつも、遅々として進展しない状況がリスク警戒につながって株価を押し下げてきましたが、今週になって、次期FRB議長にイエレン氏が指名され、量的金融緩和の継続観測が強まったことや、10日にオバマ大統領がホワイトハウスに米下院の共和党議員を招いて会談を設けることになったことなど、事態の進展を期待する具体的な材料が出てきたことが大きいと言えます。
このコラムが掲載される頃には、ホワイトハウスでの会談の状況が明らかになっているはずですが、少なくとも短期的に債務上限を引き上げる等、目先のデフォルトを回避するため、何らかの成果があると思われます。さらに、暫定予算策定にも目処がつくなど、「プラスα」があれば、株式市場は買い戻しムードが強まることとなり、しかも、国内については、来週15日から臨時国会が召集されてアベノミクスの成長戦略の議論が始まるほか、企業業績の上振れ期待なども加わって、上値を試す展開も想定されます(もちろん、進展がなければ軟調地合いが続くことになります)。
また、米国が「どう財政問題を乗り切ったか?」を確認する必要はありそうです。とりわけ、債務上限の引き上げについて、財政赤字が継続する以上、再び債務上限が迫ってくるため、期間と引き上げ幅によっては、そう遠くない未来に財政問題が株価の重石となる可能性があります。そもそも、米民主党と共和党は、「財政赤字をどう減らしていくのか」で対立しています。ちなみに、来年11月の米中間選挙までに必要な債務上限の引き上げ幅は1兆ドル以上と言われています。
また、財政協議が妥結した際には、延期されていた9月雇用統計の発表にも注目が集まりそうです。前回のFOMC後にバーナンキ議長が会見で、「財政の悪影響が弱まって景気回復基調となること」、「労働市場の改善が続くこと」、「物価上昇率が目標に近づくこと」に注目していると述べたように、量的緩和縮小の判断材料のひとつとなっています。なお、次回のFOMCは10月29日~30日の予定となっています。
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