日銀金融政策決定会合と金融緩和策の効果
日銀は今週の18~19日に金融政策決定会合を開き、4月27日の会合以来、約5カ月ぶりとなる追加金融緩和の実施を決めました。
「今回の会合では追加緩和は見送り」との見方が一部であったことや、追加緩和の内容(買い入れ基金の増加額が市場予想の5兆円程度よりも多い10兆円だったこと)などが、ちょっとしたサプライズとなり、19日午後のマーケットはこの結果を受けて概ね好感する反応を見せました。為替市場で円安が進んだほか、日経平均は9,200円台に乗せ、8月20日の戻り高値(9,222円)も上抜けて終了しました。
先々週の欧州ECB理事会や先週の米FOMC、そして日銀金融政策決定会合と、これで一通り金融政策イベントが通過し、金融緩和の流れが続く結果となりました。ECB理事会では財政懸念国の国債を条件付きで買い入れる計画が合意され、FOMCではMBSの買い入れを中心とするQE3が決定されましたが、ともに「無制限の買い入れ」がキーワードとなっています。
これらと比較すると、買い入れ規模と期限を限定した日銀の決定は、「まあ、確かに頑張ったけど、インパクトはそれほどでもない」という見方につながったほか、中国の景気減速警戒も加わり、前日の日銀の決定による「円安・株高の」勢いは長くは続かず、翌20日の取引は軟調な動きとなりました。
確かに、今回の日銀の決定は、欧米の大胆な金融緩和による円高懸念の台頭が背中を押した感は否めず、「景気浮揚の米国、金融市場安定の欧州、各国の動きを見てバランスをとる日本」という、それぞれの金融政策のスタンスが明確に出た格好です。とはいえ、来月(10月)は日銀金融政策決定会合が2回予定されており、「次の追加緩和」を期待する動きに入る可能性があります。
今後も金融緩和による「過剰流動性相場」期待で株価が上昇する場面もあると思われますが、実際の経済状況を見ると、中国を中心として世界的な先行き不透明感が依然として燻っています。そもそも金融緩和策は、世の中で流通するお金の量を増やして、景気を良くしようという政策です。実際に効果が出てくるまでには時間がかかりますが、株式市場は期待が先行して上昇します。今年の2月中旬から3月末までの株価上昇も同様の背景だったと言えます。
では、実際にその期待通りになっているのかを、経済指標をはじめ、企業の業績やその見通しなど、決算発表の内容を見極めていくことになります。ちょうど、10月半ば以降に入ると、日米で企業決算シーズンが本格化します。マネー主導で先行して上昇した相場に実体経済がどこまで付いて行けるのかが、今後の注目点になると思われます。
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