ポケットカード(8519)持続的なローン債権残高の拡大

2015/02/03

業績表
ファミマTカード事業を成長戦略の核とするポケットカードは、持続的なローン債権残高の拡大を通して、中長期的に増収・増益を達成することを計画している。ファミマTカードなどの同社が発行するクレジットカードを用いたリボ払いショッピングの拡大は、ショッピングリボ残高を持続的に大きく押し上げ続けている。また、これに伴い、ショッピング収益の中核を形成する顧客手数料が大幅な拡大を続けている。一方、引き続く総量規制影響などによるキャッシング残高及びキャッシング収益の減少は未だ継続中である。ただし、2013年12月以降、ショッピングリボ残高の増加がキャッシング残高の減少を補う以上に大きくなっていることから、現状に至る経緯において、両者を合算したローン債権残高が持続的な拡大を続けている。また、これに伴い、同社の営業収益も着実な増加を続けている。懸念材料としては、短期的にも利息返還関連費用が想定以上に大きくなる可能性が挙げられよう。現状でも残高を有する既存の顧客に関しては、利息返還関連費用は逓減する方向性にあるものの、完済顧客による新たな利息返還請求の発生による影響に関しては、やや不透明な状況にあると言わざるを得ないのが現状とのことである。

2015年2月期第3四半期累計期間は、営業収益26,921百万円(前年同期比4.7%増)、営業利益3,572百万円(12.5%増)、営業利益率13.3%(0.9%ポイント上昇)での着地となった。ショッピング収益17,762百万円(14.2%増)、キャッシング収益6,085百万円(21.3%減)、その他3,073百万円(27.2%増)が営業収益の内訳である。また、同社の増収の主因となったショッピング収益は、顧客手数料13,370百万円(18.1%増)及び加盟店手数料4,392百万円(4.0%増)によって構成された。顧客手数料とは、主にリボ払いショッピングをすることによって発生するショッピングリボ残高に応じて同社が自社のクレジットカードの利用者から徴収する手数料のことである。ショッピングリボ残高は、ファミマTカードを用いたリボ払いショッピングの拡大を主因として大きく拡大し、顧客手数料及び同社の営業収益を大きく押し上げた。一方、営業費用23,349百万円(3.6%増)と、費用の増加率が増収率を下回る水準に留まったため、同社の営業利益は増加した。営業費用の増加の主因となったのは、利息返還関連費用3,029百万円(21.3%増)である。完済顧客からの新たな利息返還請求の発生がここでの費用の増加に大きな影響を及ぼした模様である。また、その他販売管理費14,131百万円(3.0%増)も同社の営業費用の増加に影響を及ぼした。株式会社ファミリーマートから受託したポイントカードの発行に係る費用の増加、取扱高拡大に伴う連動費用増、消費税増税負担増が主な要因として挙げられている。以上に加えて、金融費用1,135百万円(14.9%減)、貸倒関連費用5,051百万円(1.4%増)が営業費用の内訳である。

2015年2月期に対する会社予想は、据え置かれている。営業収益35,500百万円(前年比3.9%増)、営業利益4,700百万円(0.4%減)、営業利益率13.2%(0.6%ポイント低下)が見込まれている。また、以上は、第2四半期累計期間の実績発表と同時に開示された数値である。当初の会社予想との比較で営業収益は据え置かれているものの、営業利益は6,300百万円から4,700百万円へと1,600百万円(25.4%)に及んで下方修正されている。以上に鑑みれば、営業費用の見込みが1,600百万円に及んで増額されたことになるが、この内の1,200百万円に関しては、利息返還関連費用の見込みが2,100百万円から3,300百万に増額されたことによるものである。一方、営業収益に関しては、当初の見通しに沿った拡大傾向が維持されており、ローン債権残高の拡大を主因として、将来的にも順調な拡大が続く見通しである。

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