アールテック・ウエノ(4573)更なる開発に向けて

2014/12/12

業績表
創薬ベンチャー アールテック・ウエノでは、新薬の開発を着実に進めており、引き続き新薬の開発に向けて積極的な姿勢を保つことを明らかにしている。2014年11月10日、同社は、ドライアイ治療薬(開発コード:RU-101)の研究開発に関して一定の成果が得られたことを公表したうえで、同社の代表取締役である眞島行彦氏は、2014年11月12日、第2四半期累計期間の実績の公表に際して、「ライセンスアウトも視野に入れ、更なる開発を進める予定」とのコメントを発表している。同社は、医薬品の製造販売などを通して過去5年間で累計営業利益4,995百万円を計上している一方、新薬の開発に向けて累計研究開発費5,972百万円を投じている。短期的な収益を支えている既存事業に関する中長期的な成長性は限定的ともいえるのだが、ここにきて、同社が目指すところである眼科・皮膚科におけるアンメット・メディカル・ニーズ(未だ満足のゆく治療薬のない医療領域)への対応やオーファンドラッグ(希少疾病医薬品)の積極的な開発が、同社の中長期的な成長に向けて結実しつつあることが明らかになった。即ち、現在の同社は、短期的にも発生する可能性があるライセンスアウトを通して、今迄の新薬開発に向けた費用拠出の回収を始めつつある。

2015年3月期第2四半期累計期間は、売上高2,728百万円(前年同期比2.4%減)、営業利益411百万円(42.3%減)、営業利益率15.1%(10.5%ポイント低下)での着地となった。「レスキュラ®点眼液」の製造販売で売上高604百万円(24.3%減)、「AMITIZA®カプセル」の受託製造サービスで売上高2,058 百万円(7.0%増)である。既に特許が切れている前者に関しては、国内での売上高が減少を続けていることに加え、前年同期に一時的に計上された北米での売上高101百万円が剥離しているため、減収率が大きくなった。一方、後者に関しては、日本で売上高716百万円(98.8%増)、北米で売上高1,342百万円(14.1%減)である。市場開拓が進む日本では、売上高が前年同期に対して倍増した一方、北米では、一時的な要因で納品が第3四半期にズレ込んだことを主因として減収となった。また、損益面では、売上総利益率63.3%(0.4%ポイント低下)、販管費売上高比率48.2%(10.1%ポイント上昇)である。即ち、販管費売上高比率の上昇によって営業利益率が大幅に悪化したことになるが、ここでは、新薬の開発に向けての研究開発費が一時的に拡大したことが大きく影響を及ぼしている。

2015年3月期に対する当初の会社予想は据え置かれている。売上高5,763百万円(前年比2.6%増)、営業利益1,431百万円(0.8%増)、営業利益率24.8%(0.4%ポイント低下)の見込みである。先述の通り、第2四半期累計期間から第3四半期に向けて、一部に売上高の計上が後ろ倒しになった側面がある。一方、第2四半期累計期間における研究開発費は、網膜色素変性(開発コード:UF-021)に対する第3相臨床試験や重症ドライアイ(開発コード:RU-101)に対する第1/2相臨床試験を順調に進めていることに加え、アトピー性皮膚炎等の皮膚疾患(開発コード:RU-1096)に対する第1相臨床試験を開始しているものの、概ね計画通りに推移しているようである。以上の結果、第2四半期累計期間の実績は、当初の想定に対して下振れた推移となったものの、通期は、当初の想定に沿った業績推移になるとのことである。また、同社は、現状において、ライセンス先候補である複数の大手医薬品メーカーとドライアイ治療薬(開発コード:RU-101)のライセンスアウトに関する交渉を進めていることも明らかにしている。早ければ、2016年3月期において、一定額以上の契約一時金を売上高として計上できる見通しとのことである。

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