エータイ(369A)独自の事業モデルと良好な事業環境を背景に、中長期的な収益拡大が期待される

2025/07/01

「永代供養墓」の募集代行事業をはじめとする寺院コンサルティング事業を展開
独自の事業モデルと良好な事業環境を背景に、中長期的な収益拡大が期待される

業種:サービス業
アナリスト:吉林拓馬

◆「永代供養墓」の募集業務を寺院に代わって包括支援
エータイ(以下、同社)は、寺院向けに「永代供養墓」の企画・開発・販売から、契約・管理業務までを包括的に支援するコンサルティング事業を展開している。永代供養墓とは、墓地の利用者に後継者がいなくても、寺院が永代にわたって供養や管理を行う墓地のことである。

同社は04年に浄水処理関連事業を目的として設立されたが、07年に永代供養墓ビジネスに参入した。09年には浄水処理関連事業から撤退し、永代供養墓の募集代行業務を中核とした寺院コンサルティング事業に経営資源を集中している。

従来の墓地は親族による管理や継承を前提としていたが、少子高齢化や核家族化、都市への人口集中などの社会の変化により、墓地を維持することが難しい家庭が増加している。同社はこの変化を捉え、全国の寺院とネットワークを構築しながら、永代供養墓の構想段階から建立、販売、契約手続き、管理体制の構築までをワンストップで支援している。

同社は寺院に対して、1)永代供養墓募集代行業務、2)その他の業務を寺院へ提供し、その対価として手数料を受け取っている。

1)永代供養墓募集代行業務
永代供養墓募集代行業務は、永代供養墓の企画・設計、広告宣伝、現地案内、成約手続、契約保全、納骨、メンテナンスなど一連の業務を、寺院に対して提供している。

永代供養墓の企画・建立、広告宣伝、販売、管理など運営に伴う費用の大半は同社が負担し、成約額(墓地の利用者が墓地購入のために決済した金額)から永代供養など宗教活動の対価として寺院に配分する志納料を控除した金額を募集代行手数料として売上計上している(図表1)。なお、永代供養墓建立費用は長期前払費用として資産計上し、5年間にわたって償却している。

事業展開についてはドミナント戦略を採用している。年齢構成、競合の有無、寺院数などの地域特性を定量的に分析し、成約実績や将来需要を踏まえて提携すべき適切な寺院数を算出することにより、カニバリゼーションを防ぎつつ、寺院周辺地域において永代供養墓のサービスを展開している。これにより広告効果を高め、効率的な成約獲得と収益性の向上を実現している。

同社が企画提案する永代供養墓のタイプは、利用者の多様なニーズに対応している。最も低廉な「合祀墓」、集合型で費用対効果の高い「個別墓(マンションタイプ)」、高級感を追求した「個別墓(戸建てタイプ)」、自然志向に訴求する「樹木葬」の4種類を揃えている(図表2)。

2)その他の業務
その他の業務は、主に永代供養墓域の管理代行業務と葬儀関連業務により構成されている。

永代供養墓域の管理代行業務では、清掃、植栽の剪定、高圧洗浄やメンテナンスを実施している。なお、同業務の収益は募集代行手数料に内包されている。葬儀関連業務では、永代供養墓の申込者や提携寺院の檀家を対象に、葬儀申込の受付、葬儀施行の取次、会館の斡旋、回忌供養の取次などの支援を行っている。また、既存の墓の撤去・処分(墓じまい)や永代供養墓への移動などのサービスも提供している。

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ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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