イタミアート(168A) 製造直販により小ロット、低価格、短納期対応を実現

2024/04/16

のぼり旗や懸垂幕などのセールスプロモーション商材を18のECサイトと卸で販売
製造直販により小ロット、低価格、短納期対応を実現

業種:その他製品
アナリスト:髙木伸行

◆ セールスプロモーション商材を主に自社ECサイトで販売
イタミアート(以下、同社)は、のぼり旗、イベント旗、広告幕、冊子、パネル、うちわ、車用マグネットシートなどの多種多様なセールスプロモーション商材(以下、SP商材)の製造・販売を行っている。一部外注があるものの、基本的にはSP商材の商品企画、サイト構築、集客、販売、製造、出荷の工程を自社で行っており、安定した品質、小ロット、短納期、低価格を実現している。

BtoB向けECサイトでの販売が主となり、大口顧客に対しては卸販売を行っている。BtoB向けECサイトでの販売が約7割、卸販売が約3割を占め、累計で35万社以上との取引がある。

主力のEC取引については、ECサイト構築に加えて、受注管理、商品管理、顧客管理、出荷指示など受注から出荷まで、ECサイト構築システム「DREAM‐PACK」、製造管理システム「i-backyard」などの自社開発システムで行っている。また、SEO対策、Web広告運用、サービス開発などは自社内のECマーケティングを行う専門部署が担当している。

卸販売はEC取引で多くの注文があった先や紹介先などを対象としている。専任の営業担当をつけてECでは見落としがちなニーズへの対応を行っている。

◆ BtoB向けECサイト
同社はSP商材ごとのキングシリーズと呼ばれるサイトを中心に合計18のECサイトを運営している(図表1)。多くのサイト名は「SP商材名+キング」といったかたちで、SP商材ごとに独立したサイトが設けられている。売上高が大きいのは「のぼりキング」、「横断幕・懸垂幕キング」、「冊子製本キング」などである。

「のぼりキング」を例にとると(図表2)、のぼり旗の専門サイトだが、横断幕・店頭幕、タペストリー、看板など、のぼり旗だけではなく他のキングシリーズで扱っているSP商材も掲載されており、約1.5万点以上の商材を取り扱うクロスセルも意識したECサイトとなっている。オリジナルのぼり旗が1枚からでも注文でき、最短で翌営業日の出荷が可能である。

24/1期における「のぼりキング」への流入数は約173万に達しており、8.5万件以上の注文があった。約75%が既存顧客からの注文であり、注文の約90%は1枚~10枚の小口注文である。受注処理は自動化が進んでおり、受注システムのデータは製造管理システム「i-backyard」に自動連携され、小口注文も効率的に処理される仕組みとなっている。

「横断幕・懸垂幕キング」や「冊子製本キング」についてもサイト名に冠せられたSP商材の取り扱いがメインとなるが、他のキングシリーズのSP商材も掲載されている。両サイトとも幕1枚、冊子1冊から受注しており、最短3営業日で出荷している。特に冊子はサイズや仕様の選択肢が多く、ページ数が多くなると、人手に頼るデータチェックでは時間や手間がかかることから小ロットの注文は受けづらい分野である。しかしながら、同社は冊子専用のデータ処理自動化システムを独自開発し、1冊の受注でも利益を確保できる仕組みを構築している。

また、WebデザインやSEO対策を行うグループから成るECマーケティング専門部署がサイトへの流入数の極大化に努めている。特定顧客に依存せず、幅広い顧客を対象としており、小ロットでもデータ処理や工数を圧縮することにより、安定的に利益を獲得できる同社独自のビジネスモデルを構築している。

◆ 卸販売
日々のEC販売において大量の受注件数を背景に、大量生産を続けていることから原材料調達における高い価格交渉力を持つことやオペレーションを効率化していることから、卸販売における価格や納期の面での同社の競争力は高い。卸販売の顧客をみると同社と競合しているように見えるラクスル(4384東証プライム)、アスクル(2678東証プライム)、イメージ・マジック(7793東証グロース)といった先があるが、これらの先が受注を行い製造から出荷までを同社が行うという補完関係にある。

◆ 製造体制
同社は、岡山市内に本社工場、十日市工場、七日市工場を有している。のぼり、幕、タペストリー、パネル、マグネットシート、冊子は自社で製造しており、その他は外注している。のぼり旗のポールや土台となる注水台といった商品や生地は外部から仕入れている。海外から調達している原材料もあり、約3割を海外から調達している。

同社は、現在、生産体制を再構築している。紙への印刷を行っている本社工場は引き続き冊子の製造を行うが、十日市工場の生産機能を七日市工場に集約しており、現在七日市工場を増設中である。生産能力集約後は、十日市工場は七日市工場で使用する原材料や商品在庫などの保管倉庫として使用される予定である。

25/1期については七日市工場の増設などを始めとして約11億円の投資を予定しており(図表3)、上場に伴い調達する資金(7億円強)をこの設備投資の一部に充当する予定である。9月には生産拠点の再編の大部分は終了する予定である。十日市工場の人員が七日市工場に異動することにより、人員の配置や繫閑に合わせてのシフトをより効率的に行えることになる。また、新型機械の導入による生産能力の拡大なども期待できる。設備の追加は必要となるが、七日市工場は約100億円程度の売上高までは対応できる模様である。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
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