ノバレーゼ(9160) シンプルでスタイリッシュな都市型ゲストハウス「モノリス」などを複数運営
貸し切りの会場でオーダーメイドの挙式・披露宴を行うブライダル事業が主力
シンプルでスタイリッシュな都市型ゲストハウス「モノリス」などを複数運営
業種:サービス業
アナリスト:佐々木加奈
◆ ゲストハウスで挙式・披露宴を提供するブライダル事業が主力
ノバレーゼ(以下、同社)は、貸し切りの挙式・披露宴会場(ゲストハウス)でオーダーメイド型の挙式・披露宴「ゲストハウス・ウェディング」を提供するブライダル事業、和食店やイタリア料理店を展開するレストラン特化型事業を行っている。
同社の前身は、00年11月に設立したワーカホリック(02年12月にノバレーゼに社名変更、以下、旧ノバレーゼ)である。旧ノバレーゼは06年10月に東京証券取引所マザーズ市場に上場し、10年12月に市場第一部に市場変更したが、ファンド運用会社であるポラリス・キャピタル・グループが設立したNAPホールディングスによる公開買付けに応じて子会社となり、16年11月に上場廃止となった。NAPホールディングスは、17年6月に旧ノバレーゼを消滅会社とする合併を行い、同時にNAPホールディングスからノバレーゼに社名変更した。
非上場化は、当時の代表取締役かつ筆頭株主が経営の第一線から退く際に、自らが保有する株式の売却を検討したが、業績が低迷するなかでの代表及び株主の交代は社内外の混乱や株価の低迷につながると懸念したことが理由である。非上場化したうえで経営体制を刷新して経営改革を図った結果、業績回復を実現して安定的な経営を行う環境が整った。今後の継続的な成長に向けて資金調達や人材の確保を容易にするため再上場した。
同社の連結子会社は、婚礼ギフトを販売するタイムレス、婚礼写真アルバムの制作を行うMARRY MARBLE、婚礼装花の制作を行う花乃店千樹園、レストランを運営するブロスダイニング、パーティドレスのレンタルを行うアンドユー、広告代理店のDo、旅行代理店のLURRA、米国ハワイ州で写真撮影や旅行業務を行うISLAND LABEL HAWAII、KAILA TOURSの9社である。その他に持分法適用会社が2社ある。
セグメントはブライダル事業とレストラン特化型事業に区分しており、ブライダル事業が22/12期売上収益(調整額控除後)の96.3%占めている(図表1)。
◆ ブライダル事業
ブライダル事業は、1)婚礼プロデュース部門、2)婚礼衣裳部門、3)レストラン部門に分類される。
1)婚礼プロデュース部門
婚礼プロデュース部門は、1会場1バンケット(披露宴会場)を基本とするゲストハウスを貸し切り、挙式・披露宴で行う様々な企画や衣裳、料理、引出物、装花などを顧客が選定するオーダーメイド型のゲストハウス・ウェディングを提供している。
同社の展開するゲストハウスの主力ブランドは、都市型ゲストハウス「モノリス」(施設数15)、郊外型ゲストハウス「アマンダン」(同8)で、都会的で洗練された雰囲気や、自然に囲まれた開放的な雰囲気を演出している(図表2)。その他、歴史的建造物をリノベーション(再生)したブランドなども合わせ全国に32のゲストハウス(22年末時点)を直営方式で展開している。
同社の顧客は挙式・披露宴をする一般の消費者で、対象とする顧客層は主に20代後半から30代前半の世代である。顧客が支払う挙式・披露宴の企画・運営、飲食や装花、写真、衣裳などのサービス提供への対価が同社の売上収益となる。顧客が支払う平均組単価は22/12期の実績で約307万円(挙式・披露宴の1組単価、婚礼衣裳分を含む)、平均ゲスト数は47.2名となっている。
2)婚礼衣裳部門
「NOVARESE(ノバレーゼ)」、「ecruspose(エクリュスポーゼ)」の2ブランドでドレスショップを展開し、パリ、ミラノ、ロンドン、ニューヨークなど世界中から買い付けたウェディングドレスやタキシードの販売及びレンタルを行っている(図表3)。22/12期末の店舗数は「NOVARESE」8店、「ecruspose」14店、合計22店である。トレンドを取り入れたクオリティの高い商品ラインナップが特徴で、ドレスだけではなく、和装のレンタルや販売も行っている。
自社の直営施設及び業務提携するホテル、専門式場、ゲストハウスなどで行う挙式・披露宴へ婚礼衣裳を販売・レンタルするのを自社施行、それ以外を他社施行と分類しており、22/12期に販売・レンタルした婚礼衣裳5,370組のうち、自社施行が4,561組、他社施行が809組となっている。
3)レストラン部門
同社の運営するゲストハウスでは、披露宴の飲食(婚礼飲食)のほか、平日のレストラン営業(一般飲食)も行っている。
婚礼飲食では、会場のコンセプトや披露宴のスタイル、参列するゲストの嗜好に合わせて選べるフレンチコースと和洋折衷コースを複数の価格帯で提供している。料理人やパティシエ(洋菓子やデザートを作る職人)のスキルや経験によって提供する料理やデザートの品質に差が生じないように「婚礼統一メニュー」を導入し、どのゲストハウスでも一定水準以上の料理を提供できる体制を構築している。
一般飲食は、平日の婚礼会場を活用してレストラン営業を行っている(一部のゲストハウスのみ)。ランチやディナーの提供を行うことで、来店客がゲストハウスの雰囲気を体験するとともに披露宴で提供される料理をイメージすることができるため、婚礼プロデュース部門への波及効果を考慮して営業している側面もある。
◆ レストラン特化型事業
ブライダル事業のレストラン部門とは別に、幅広い顧客が利用できる飲食業態を展開している。主なブランドは、懐石や鉄板焼等の本格的な和食からカジュアルな創作料理まで提供するジャパニーズダイニング「SHARI(シャリ)」、ニューヨークが本店の北イタリア料理ダイニング「Serafina NEW YORK(セラフィーナ ニューヨーク)」で、「SHARI」は都内に3店、「Serafina NEW YORK」は都内に1店、さいたま市に1店、その他に鉄板焼き店など2店、合計7店を展開している。
同社は、店舗における料理の質及びサービスレベルの向上を図ることが、ブライダル事業のレストラン部門のレベルアップにもつながるため、両事業を行うことで相乗効果が得られると考えている。