三和油化工業<4125> 22年3月期は化学品事業が牽引して大幅増益となる会社計画

2022/01/19

化学品製造の出自でメーカー機能も持ち合わせる産業廃棄物リサイクル企業
22年3月期は化学品事業が牽引して大幅増益となる会社計画

業種: 化学
アナリスト: 藤野 敬太

◆ メーカー機能も持ち合わせる産業廃棄物リサイクル企業
三和油化工業(以下、同社)は、愛知県を基盤とした産業廃棄物リサイクル企業である。元々は自動車関連企業向けの油剤や化学品のメーカーだったが、90年代に有機溶剤のリサイクルを手掛けるようになって以降、製造業全般を対象としたリサイクル企業として成長してきた。そのため、高付加価値な再生製品の取り扱いが多い。また、出自がメーカーということから、現在でもメーカーとして展開する事業を有している。

顧客の多くが生産拠点を全国にもつ製造業であることから、10年代には東日本や西日本にリサイクル拠点を設けている。地域密着型の事業者が多いリサイクル業界においては珍しく、全国展開を進めている。

同社は、環境関連事業の単一セグメントだが、リユース事業、リサイクル事業、化学品事業、自動車事業、PCB注事業の5つの事業に売上高を区分している。また、廃棄物処理の対価として受け取る「処分費売上」と、製商品の販売で得られる「一般売上」の2つに区分する仕方もある(図表1)。事業別の売上構成は、リサイクル事業が約3割、リユース事業、化学品事業、自動車事業が各約2割、PCB事業が約1割である。提供する役務や製商品の違いによる区分では、処分費売上が4割弱、一般売上が6割強となっている。

◆ リユース事業
リユース事業は、使用済みの有機溶剤、リン酸、レアメタルを含む廃棄物を、蒸留や溶媒抽出等の化学的手法によって分離、精製し、再生製品として再度材料とする事業である。処理対象となるものを受け入れる際に発生元から処分費用を受け取って処分費売上とし、再生製品の販売により一般売上としているが、再生製品の販売による一般売上の方がはるかに多い。販売先の業界は電子部品、半導体、液晶、自動車、石油化学等多岐にわたっている。

◆ リサイクル事業
リサイクル事業は、廃油、廃酸、廃アルカリ、汚泥、廃プラスチック類等の産業廃棄物を中間処分、再資源化する事業である。中間処分後は、重油や石炭の代替となる再生燃料や、セメントや鉄鋼の副資材として再資源化される。リユース事業と同様、発生元からの処分費用と再資源化製品の販売による販売額が売上高となるが、リユース事業とは異なり、処分費売上の方がはるかに多い。一般売上の対象となる製品販売先の業界は鉄鋼、セメント、石油化学が中心である。

◆ 化学品事業
化学品事業は他社から仕入れた原料をもとに、有機化学品や無機化学品及びそれらを精製、加工した化学品の製造、販売、受託加工を行っている。廃棄物の受け入れはほとんどなく、処分費売上はないに等しい。その意味では、同社の化学品事業は、通常の化学メーカーと同じビジネスモデルとなる。

販売している製品はフォトレジストやリチウムイオン電池まわりの高純度溶剤であり、半導体業界や電池業界が販売先となる。

◆ 自動車事業
自動車事業は同社の祖業であり、原材料を他社から仕入れ、潤滑油や金属加工油等の油剤製品、工業用洗浄剤や自動車製造で使用される各種副資材の製造、販売を行っている。販売先は自動車業界となる。化学品事業同様、処分費売上はほとんど発生しない。

◆ PCB事業
PCB事業は、PCB特別措置法に基づき、PCB含有廃棄物の処理を行う事業である。受け入れたPCB廃棄物を適正処理して、処分業者に渡す事業であるため、処分費売上が大半を占める。

一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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