トヨクモ<4058> 第3のカテゴリーであるスケジューラーの新製品の動向に注目
安否確認サービスやkintone連携サービス等の法人向けクラウドサービスを展開
第3のカテゴリーであるスケジューラーの新製品の動向に注目
業種: 情報・通信業
アナリスト: 藤野敬太
1.会社概要
・トヨクモ(以下、同社)は、「ITの大衆化」をテーマに、シンプルで低価格な法人向けクラウドサービスを提供している。現在は安否確認サービスとサイボウズの「kintone」に連携するサービスが主力である。
2.財務面の分析
・15/12期以降、有償契約数の増加により、20/12期まで年平均53.4%のペースで連続増収となった。経常利益は、売上計上方法の変更があった17/12期と、広告宣伝費を一気に増加した19/12期に減益となったが、15/12期以降、年平均49.6%のペースで拡大した。
・業務用クラウドサービスを提供する上場企業と財務指標を比較すると、成長性と安全性の指標で優位性がある一方、収益性指標の自己資本利益率は同社より高い企業がある。上場して日が浅く、現預金を多く抱えていることも一因で、今後、資産効率には改善の余地があるとも言えよう。
3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、「簡単、シンプル、低価格」に徹した法人向けクラウドサービスの構築を牽引した創業者(人的資本)である。「簡単、シンプル、低価格」なサービスを収益化するため、プロセス(組織資本)の改善を続け、関係資本の顧客の増加につなげていった。そして、顧客の利用の増加でノウハウを蓄積し、更なるプロセス改善と顧客獲得につなげるという好循環を描くことになった。
4.経営戦略の分析
・対処すべき課題として、人材の確保と育成、新規サービスの開発、企業及びサービスの認知度の向上が挙げられる。
・既存のサービスでは有償契約数の増加を続けるとともに、中長期的には提供サービス数の増加を成長の軸足に置く方針である。
5.アナリストの評価
・証券リサーチセンターでは、過去のサービス集約が現在のサービスの成功パターンの確立につながったものとして評価している。今後、提供サービスを増やしてこの成功パターンの横展開を進めるのが同社の方針だが、その成否を判断するためにも、21年11月に提供開始の新規サービス「トヨクモ スケジューラー」の今後の収益化の進捗に注目したい。