アイスコ(7698) 好業績もあり株価水準 大きく上昇
 
![]() 相原 貴久 社長  | 
 株式会社アイスコ(7698)  | 
 
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企業情報
| 
 市場  | 
 東証スタンダード市場  | 
| 
 業種  | 
 卸売業(商業)  | 
| 
 代表者  | 
 相原 貴久  | 
| 
 所在地  | 
 神奈川県横浜市泉区新橋町1212  | 
| 
 決算月  | 
 3月  | 
| 
 HP  | 
株式情報
| 
 株価  | 
 発行済株式数(期末)  | 
 時価総額  | 
 ROE(実)  | 
 売買単位  | 
|
| 
 1,804円  | 
 3,905,900株  | 
 7,046百万円  | 
 13.3%  | 
 100株  | 
|
| 
 DPS(予)  | 
 配当利回り(予)  | 
 EPS(予)  | 
 PER(予)  | 
 BPS(実)  | 
 PBR(実)  | 
| 
 20.00円  | 
 1.1%  | 
 113.93円  | 
 15.8倍  | 
 982.71円  | 
 1.8倍  | 
*株価は6/12終値。25年3月期決算短信より。
業績推移
| 
 決算期  | 
 売上高  | 
 営業利益  | 
 経常利益  | 
 当期純利益  | 
 EPS  | 
 DPS  | 
| 
 2022年3月  | 
 42,264  | 
 353  | 
 409  | 
 255  | 
 67.45  | 
 18.50  | 
| 
 2023年3月  | 
 44.886  | 
 117  | 
 179  | 
 144  | 
 37.65  | 
 18.50  | 
| 
 2024年3月  | 
 50,498  | 
 452  | 
 497  | 
 318  | 
 82.33  | 
 19.00  | 
| 
 2025年3月  | 
 54,717  | 
 627  | 
 691  | 
 481  | 
 123.46  | 
 19.50  | 
| 
 2026年3月(予)  | 
 57,000  | 
 656  | 
 691  | 
 445  | 
 113.93  | 
 20.00  | 
* 予想は会社予想。単位:百万円、円。2024年10月1日付で1:2の株式分割を実施。2024年3月期までのEPSとDPSは遡及修正。
(株)アイスコの2025年3月期決算概要などをご紹介致します。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.2025年3月期決算概要
3.2026年3月期業績予想
4.第二次中期経営計画
5.今後の注目点
<参考1:コーポレート・ガバナンスについて>
今回のポイント
- 関東を中心にアイスクリーム・冷凍食品の卸売業を行うフローズン事業、食品スーパーマーケットの運営を行うスーパーマーケット事業を展開。調達から売場づくりまで、サプライチェーンの各領域に携わる一貫システムを構築し、同業他社とは一線を画す独自のポジションを確立している。自社セールスドライバーによるフルメンテナンスサービスは、顧客に対して高い付加価値を提供。高い参入障壁となっている。
 - 25/3期の売上高は前期比8.4%増の547億17百万円。フローズン事業は、前年の猛暑の反動があったものの、ドラッグストアやディスカウントストアといった主要取引先との取引が堅調に推移して増収。スーパーマーケット事業も増収を確保。営業利益は同38.8%増の6億27百万円。売上総利益率は改善、売上総利益は前期比10.6%増。販管費が増加したものの、スーパーマーケット事業が黒字化、フローズン事業では配送効率を改善させたことにより増益で着地した。各段階利益は会社予想を大きく上回った。期末配当は10.00円/株を実施、通期では株式分割考慮後で19.50円/株。
 - 26/3期は、売上高が前期比4.2%増の570億円、営業利益は同4.6%増の6億56百万円を見込む。25/3期を初年度とする第二次中期経営計画をスタートし、重点テーマとして「人的資本経営の実践」、「収益力の改革加速」及び「新規事業の育成」の3つを掲げ取り組んでいる。配当は前期から0.50円増配の20.00円/株(うち上期末10.00円/株)を計画。
 - フローズン事業における経営環境は、相次ぐ値上げの影響で消費者の節約志向は高まっているものの、即食簡便な冷凍食品需要は旺盛であり、引き続き拡大傾向にある。ドラッグストア業態においても引き続き出店が続くことが予想される。追い風の市場環境を踏まえ、25年4月稼働の横浜営業所への設備投資を皮切りに、同社にとって過去最大の投資である26年12月稼働予定の関東マザーセンター(仮称)への設備投資など、事業拡大を見据えた攻勢のフェーズに移行していく。中長期における業績拡大を見据え、フローズン市場における競争力の強化を狙っていく。
 - 25/3期は期初に発表した会社予想を大きく上回って着地した。8.4%増収を確保した上で効率化を進展させており、前年の猛暑からの反動を考慮しても販売力の強化と収益性の改善がともに進展していることが分かる。25/3期にはスーパーマーケット事業の黒字転換が利益率改善の牽引役だったが、今後はフローズン事業において効率化に向けた投資の成果が現れそうだ。25/3期から第二次中期経営計画が始まっているが、27/3期営業利益10億円に向けて着実なスタートを切ったといえよう。第二次中期経営計画を達成すればEPSで170円程度が期待できる。
 - 25/3期には株主還元の強化も進めた。好業績もあり株価水準はこの1年で大きく上昇した。それでも、中期経営計画で目指す利益水準や冷凍食品市場の拡大といった事業環境、13.3%という高ROEも考慮すると十分に割安な水準に放置されていると見ている。夏が控えているが、「暑い夏」となればフォローの風も強くなりそうだ。 
 
1.会社概要
関東を中心にアイスクリーム・冷凍食品の卸売業を行うフローズン事業、食品スーパーマーケットの運営を行うスーパーマーケット事業を展開。調達から売場づくりまで、サプライチェーンの各領域に携わる一貫システムを構築し、同業他社とは一線を画す独自のポジションを確立している。また、「アイスコ一貫システム」の重要なパーツである自社セールスドライバーによるフルメンテナンスサービスは、顧客に対して高い付加価値を提供。高い参入障壁となっている。
【1-1 沿革】
1948年に神奈川県横浜市で相原冷菓店としてアイスキャンデーの製造・販売・卸売り等の経営を開始。
1992年、総合アイスクリーム卸売の株式会社相原冷夏と、冷菓販売業の高島物産株式会社が合併し、称号を株式会社アイスコとする。
2000年ごろから、サービスレベルの向上を目指し、現在の同社の強み・特長である自社配送網を有したアイスコ一貫システム、フルメンテナンスサービスの構築に取り組み、競争力強化を図る。
2009年、株式会社大我産業を吸収合併しスーパーマーケット事業を開始。
2021年4月、東証JASDAQ(スタンダード)へ上場。
2022年4月、市場再編に伴い東証スタンダード市場へ移行。
【1-2 企業理念】
「I Care Everybody Company あらゆる人々に慈しみの心をもって接する企業でありたい」との思いを企業理念として、「株式会社アイスコ」と名付けている。
また、以下の3つを行動指針の下、顧客に感動と満足を感じてもらい、社員一人ひとりが、活き活きとやりがいをもって、仕事ができる企業を目指している。
| 「情熱・挑戦」 | 情熱をもって、常に新しい事に挑戦していく。失敗を恐れず、常に新しい事に挑戦する。 | 
| 「努力・決意」 | 日々の努力と、絶対に諦めないという強い決意を持つ。日々の弛まぬ努力と、目標に対し達成出来るまで、絶対に諦めない強い信念を持つ。 | 
| 「感謝・謙虚」 | 常に感謝の気持ちと謙虚な心を忘れない。自分たちは周囲に生かされている事を自覚し、常に感謝し・謙虚な心を忘れない。 | 
【1-3 市場環境】
(1)需要が拡大するフローズン市場
同社の取り扱う冷凍食品は、共働き世帯や単身世帯、高齢世帯の増加に伴い、簡単かつ調理時間の短縮にも繋がることから需要は拡大傾向にある。冷凍食品の年間消費額は増加傾向にあり、24年は前年比4.4%増、一人当たり消費量も増加しており、増加傾向が続いている。

(一般社団法人日本冷凍食品協会データよりインベストメントブリッジ作成)
加えて、昨今の環境志向の高まりによるフードロス削減ニーズ、コロナ禍の影響による外食抑制といった点も需要増を後押ししている。
特に、家庭用冷凍食品市場は業務用市場を上回り堅調に推移しており、同社のフローズン事業部の冷凍食品売上は市場の成長率を上回って急成長している。

(同社資料数値を元にインベストメントブリッジ作成)
一方で、こうした需要を取り込むべく、供給者(メーカー)側も技術革新を進めており、生産から流通・消費の段階まで一貫して−18℃以下の低温を保って取り扱われる冷凍食品は、食品別に最適な温度帯が設定され、通常は0~+10℃の温度帯で流通するチルド食品に引けを取らない鮮度と味を実現しており、それが更に需要増に繋がるという好循環となっている。
また、アイスクリームも、メーカーが冬場に食べる「冬アイス」や、植物油脂を使用しない「健康にいいアイス」などの商品開発を進めて新たな需要を創造しているほか、デザート用途の高価格帯商品による販売価格の上昇も見られ、市場は着実に拡大している。

(同社資料数値を元にインベストメントブリッジ作成)
冷凍食品及びアイスクリームのこうした状況下、小売各社はフローズン商品の売場面積を年々拡大している。
(2)顧客店舗数の増大・小売業における人手不足
同社の主要顧客であるドラッグストアは、各社とも店舗数を拡大させる一方、消費者の来店動機作りのため販売商品の多様化を進めており、冷凍食品・アイスクリームは重要なアイテムとなっている。
ただ、ドラッグストアはバックヤードを持たないため、同社が提供するフルメンテナンスサービス(※事業内容の項で後述)のニーズは高い。
加えて、小売業における人手不足は全産業を大きく上回り、構造的な問題となっている。店員の作業を代理で行う同サービスに対する引き合いはこちらの面からも増加傾向にある。
(3)市場規模
同社フローズン事業の25/3期の売上高は476億円。
同社では、既存商圏(東海・関東・北陸)の市場規模3,700億円、全国で最大1.1兆円を見込んでいる。
当面はまず北関東への商圏拡大を進めていく考えである。
【1-4 事業内容】
報告セグメントは、アイスクリーム・冷凍食品の卸売業を行うフローズン事業、食品スーパーマーケットの運営を行うスーパーマーケット事業の2つ。

(1)フローズン事業
アイスクリーム、冷凍食品に特化して卸売を行っている。
①顧客
主要顧客はドラッグストア、食品スーパーマーケットなど。
株式会社クリエイトSDホールディングスのドラッグストア事業子会社「(株)クリエイトSD」と、株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスの子会社「(株)ドン・キホーテ」及びそのグループ会社の2社で同事業売上高の約5割を占めている。
②商品調達
アイスクリーム、冷凍食品に関する長年の経験や蓄積したノウハウをベースに、「企画提案」「商品開発」「マーケティング」によって、顧客ニーズに対応した専用商材(看板商品・目玉商品・差別化商品など)の開発をメーカーと共にプロデュース・コーディネイトしている。
また、売上拡大に伴いメーカーに対する交渉力が年々強化されており、調達力向上・粗利率改善に寄与している。
③物流
関東及び東海エリアを中心に、15か所の物流拠点、350台超の配送用自社保有トラック、約560名のセールスドライバーにより自社配送網を構築している。
難易度の最も高いアイスクリーム流通で培ったノウハウをベースとしたコールドチェーンは他社にはない強力な優位性である。
*物流拠点
食の安心・安全を確保する厳格な温度管理や賞味期限管理を行っているほか、最新鋭システムによる仕分け精度の向上や、直近2週間の出荷データを元にした1日当たりの出荷量算出による在庫量管理なども行っている。
*自社保有トラック
環境配慮と品質管理に優れた、最新鋭でかつ作業性重視のカスタムオーダーを施した冷凍専用車を導入。全車に運行管理システムを装備し安全運転の監視と定時納品管理を行っている。
*セールスドライバー
単に配送を行うだけではなく、個店レベルでの売場提案まで行う。平均年齢は36歳。若さと機動力で市場の変化と顧客ニーズに対応している。「自分が受け持つ店は自分の店だと思え」とのポリシーで、顧客満足度の向上を図っている。
物流業界も小売業界同様、深刻な人手不足、ドライバー不足が大きな課題であるが、同社では、通常9割を自社社員が配送しており、残り1割を協力会社等に委託している。
自社社員で配送しているため、きめ細かい「フルメンテナンスサービス」を顧客に提供することが可能。同サービスの質を高める教育を行い優秀な人材を育成し、既存得意先の満足度の向上、新規得意先の開拓、拡大を図っている。
④サービス内容
フローズン事業における同社の最も大きな特徴が、「フルメンテナンスサービス」である。
主要顧客であるドラッグストア等では、バックヤードに冷凍庫がなく、アイスクリーム・冷凍食品の性質上、溶解を防ぐため、すぐに売場の冷凍ケースに陳列しなければならない。ところが、少人数で運営する店舗においては、その人手・時間を確保することが難しいケースが多い。
こうした状況に対し、同社はアイスクリーム・冷凍食品の専門の卸問屋として、配送員が商品をバックヤードに置いてくるだけの納品スタイル「ドロップ納品」ではなく、売場に直接陳列して納品するにとどまらず、売場づくりまで行っている。
これを同社では「フルメンテナンスサービス」と呼んでおり、小売業の人手不足を補い、店舗に陳列の業務負担をかけることなく、商品を販売できるというメリットを顧客企業に提供している。
また、同社社員が得意先に代わって需要を予測し発注するケースもある。
⑤冷凍食品専門店「FROZEN JOE’S」(フローズン ジョーズ)
「FROZEN JOE’S」(フローズン ジョーズ)はフローズンのスペシャリストが手掛けるフローズン専門店。商品調達、商品開発、食品スーパー運営のノウハウを活用する。商品調達、商品開発、物流、販売までを自社で行える体制が強み。
第1号店「元住吉ブレーメン通り店」を22年12月にオープン。23年9月には2号店となる「ジョイナステラス二俣川店」を出店した。二俣川店は1号店に比べて約1.5倍の売り場面積があり、品揃えを拡充。冷凍食品と親和性の高い常温品や冷蔵品も販売している。24年7月に第3号店となる「ゆめが丘ソラトス店」を横浜市泉区に出店した。
「FROZEN JOE’S」ジョイナステラス二俣川店

(同社資料より)
| Philosophy(理念) | 人々にとって安心・安全で美味しい商品を提供し、健康で平和な世界の実現に貢献する。 | 
| Brand concept
 (ブランドコンセプト)  | 
フローズンのスペシャリストが手掛けるフローズン専門店として、「欲しいものが見つかる店」「持続可能な世界の実現に貢献する店」を目指す。
 ➣国内外から高品質なフローズン製品をセレクトしお手頃価格で提供 ➣外食店とのタイアップ品や業務用製品の品揃えにより家庭の食卓をより豊かに ➣食肉問題や健康志向に対応する代替肉製品の品揃えにより食の進化に貢献 ➣冷凍食品需要の裾野を広げ、食品ロス軽減に貢献  | 
| Strength(強み) | 長年、冷凍専門の卸売事業と食品小売事業を運営しており様々なノウハウと機能を保有。
 ➣国内外に多数のサプライヤーネットワークを保有(約250社) ➣本業の卸売事業において約5,000店の納品先を有しており、 販売分析、冷凍物流等におけるノウハウを蓄積している ➣社内に小売事業部(食品スーパー運営)を保有しているため、 小売店運営における様々なノウハウを蓄積している  | 
 
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「フローズンのスペシャリストが手掛けるフローズン専門店」の出店
 ・商品調達、商品開発、食品スーパー運営のノウハウを活用し、フローズン専門店を出店 ・商品調達、商品開発、物流、販売までを自社で行える体制が強み  | 
(2)スーパーマーケット事業
神奈川県を中心に「スーパー生鮮館TAIGA」を7店舗、テナント1店舗を展開している。直営店舗売場面積は150~320坪程度。
「地域の冷蔵庫」として、生鮮3品(青果・鮮魚・精肉)に注力し、鮮度・品質・品揃え・価格に徹底的にこだわる事で、大手スーパーとの差別化を図っている。
早朝に市場で経験豊富な担当バイヤーが青果・鮮魚を買い付け、その日のうちに店頭で販売する「当日仕入れ当日販売」によって新鮮な商品を提供している。
店舗を運営することにより消費者の嗜好やニーズなどを直接吸い上げることができる点は、今後の新規事業展開やフローズン事業とのシナジー効果などに大きなメリットがあると考えている。

(同社資料より)
23/3期は不採算店舗3店舗を閉店したが、23年9月には「スーパー生鮮館TAIGA藤ヶ丘店」を出店。

(同社資料より)
【1-5 特長・強み・競争優位性】
(1)アイスコ一貫システム
調達から売場づくりまで、サプライチェーンの各領域に携わる一貫システムを構築。この「アイスコ一貫システム」により、「食」の安心・安全の確保はもとより、顧客企業の売上拡大ならびに人手不足対策に貢献しており、同業他社とは一線を画す独自のポジションを確立している。

(同社資料より)
(2)卸の枠組みを超えた差別化ソリューション
両事業を通して生産者・メーカー・小売業と消費者を「食」で繋ぐ食品流通のプロ集団。更なる成長が見込まれるフローズン市場において、一線を画す差別化戦略で需要拡大。

(同社資料より)
2.2025年3月期決算概要
【2-1 連結業績】
(1)概要
| 
 24/3期  | 
 構成比  | 
 25/3期  | 
 構成比  | 
 前期比  | 
 会社予想  | 
 予想比  | 
|
| 
 売上高  | 
 50,498  | 
 100.0%  | 
 54,717  | 
 100.0%  | 
 +8.4%  | 
 54,000  | 
 +1.3%  | 
| 
 売上総利益  | 
 8,655  | 
 17.1%  | 
 9,573  | 
 17.5%  | 
 +10.6%  | 
 –  | 
 –  | 
| 
 販管費  | 
 8,203  | 
 16.2%  | 
 8,945  | 
 16.3%  | 
 +9.0%  | 
 –  | 
 –  | 
| 
 営業利益  | 
 452  | 
 0.9%  | 
 627  | 
 1.1%  | 
 +38.8%  | 
 500  | 
 +25.6%  | 
| 
 経常利益  | 
 497  | 
 1.0%  | 
 691  | 
 1.3%  | 
 +38.9%  | 
 550  | 
 +25.7%  | 
| 
 当期純利益  | 
 318  | 
 0.6%  | 
 481  | 
 0.9%  | 
 +51.1%  | 
 355  | 
 +35.7%  | 
* 単位:百万円。会社予想は24年5月に発表した期初の会社予想。
増収増益
売上高は前期比8.4%増の547億17百万円。フローズン事業は、前年の猛暑の反動があったものの、ドラッグストアやディスカウントストアといった主要取引先との取引が堅調に推移して増収。スーパーマーケット事業は前期に「スーパー生鮮館TAIGA藤が丘店」を開店、通年寄与したこともあり増収。
営業利益は同38.8%増の6億27百万円。売上総利益率は改善し、売上総利益は前期比10.6%増。販管費が増加したものの、スーパーマーケット事業が黒字化、フローズン事業では配送効率を改善させたことにより増益で着地した。
各段階利益は会社予想を大きく上回った。
期末配当は10.00円/株を実施する。10月1日を効力発生日として1株につき2株の割合で株式分割を行っており、株式分割考慮後で19.50円/株。

(同社資料より)
(2)セグメント別動向
| 
 24/3期  | 
 構成比  | 
 25/3期  | 
 構成比  | 
 前期比  | 
|
| 
 売上高  | 
|||||
| 
 フローズン事業  | 
 43,967  | 
 87.1%  | 
 47,688  | 
 87.2%  | 
 +8.5%  | 
| 
 スーパーマーケット事業  | 
 6,531  | 
 12.9%  | 
 7,029  | 
 12.8%  | 
 +7.6%  | 
| 
 合計  | 
 50,498  | 
 100.0%  | 
 54,717  | 
 100.0%  | 
 +8.4%  | 
| 
 セグメント利益  | 
 
  | 
 
  | 
 
  | 
 
  | 
 
  | 
| 
 フローズン事業  | 
 529  | 
 1.2%  | 
 553  | 
 1.2%  | 
 +4.6%  | 
| 
 スーパーマーケット事業  | 
 -77  | 
 –  | 
 73  | 
 1.0%  | 
 –  | 
| 
 合計  | 
 452  | 
 0.9%  | 
 627  | 
 1.1%  | 
 +38.8%  | 
* 単位:百万円。売上高は外部顧客への売上高。セグメント利益の構成比はセグメント利益率。セグメント利益には適当な配分基準によって、各報告セグメントに配分された全社費用を含んでいる。

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
①フローズン事業
増収増益。
主要得意先であるドラッグストアの新規出店等により堅調に推移したことにより増収。顧客業態別にはドラッグストア向けが大きく伸びた。カテゴリー別には満遍なく伸びている。利益面では、人的資本経営の実践のため人事制度の改定や、採用を強化した結果、人件費や採用費が増加したが、配送効率の改善により増益となった。
顧客業態別売上高
| 
 24/3期  | 
 構成比  | 
 25/3期  | 
 構成比  | 
 前期比  | 
|
| 
 ドラッグストア  | 
 25,401  | 
 57.4%  | 
 28,731  | 
 59.9%  | 
 +13.1%  | 
| 
 ディスカウントストア  | 
 10,258  | 
 23.2%  | 
 10,458  | 
 21.8%  | 
 +2.0%  | 
| 
 食品スーパー  | 
 6,293  | 
 14.2%  | 
 6,343  | 
 13.2%  | 
 +0.8%  | 
| 
 その他  | 
 2,265  | 
 5.1%  | 
 2,439  | 
 5.1%  | 
 +7.7%  | 
| 
 合計  | 
 44,218  | 
 100.0%  | 
 47,972  | 
 100.0%  | 
 +8.5%  | 
* 単位:百万円
カテゴリー別売上高
| 
 24/3期  | 
 構成比  | 
 25/3期  | 
 構成比  | 
 前期比  | 
|
| 
 冷凍食品  | 
 25,824  | 
 56.2%  | 
 27,992  | 
 58.4%  | 
 +8.4%  | 
| 
 アイスクリーム  | 
 17,554  | 
 41.8%  | 
 19,062  | 
 39.7%  | 
 +8.6%  | 
| 
 その他  | 
 838  | 
 1.9%  | 
 917  | 
 1.9%  | 
 +9.3%  | 
| 
 合計  | 
 44,218  | 
 100.0%  | 
 47,972  | 
 100.0%  | 
 +8.5%  | 
* 単位:百万円
②スーパーマーケット事業
増収増益。
低価格商品ニーズへの対応を進めながら、商品の鮮度・品質・品揃えに徹底的にこだわった販売を行ったことが功を奏して増収。管理コストの削減や、販売促進費の見直し等、抜本的な改革に取り組んだ結果、セグメント損益は大きく改善して黒字に転じた。
【2-2 財政状態と
キャッシュ・フロー】
◎財政状態
| 
 24年3月  | 
 25年3月  | 
 増減  | 
 24年3月  | 
 25年3月  | 
 増減  | 
||
| 
 流動資産  | 
 9,766  | 
 9,668  | 
 -97  | 
 流動負債  | 
 10,548  | 
 10,331  | 
 -216  | 
| 
 現預金  | 
 2,435  | 
 1,470  | 
 -965  | 
 仕入債務  | 
 7,943  | 
 8,150  | 
 +206  | 
| 
 売上債権  | 
 5,199  | 
 5,016  | 
 -182  | 
 短期有利子負債  | 
 1,074  | 
 392  | 
 -682  | 
| 
 未収入金  | 
 1,403  | 
 2,321  | 
 +917  | 
 固定負債  | 
 2,777  | 
 3,186  | 
 +408  | 
| 
 固定資産  | 
 6,990  | 
 7,688  | 
 +697  | 
 長期有利子負債  | 
 1,748  | 
 2,082  | 
 +333  | 
| 
 有形固定資産  | 
 5,694  | 
 6,308  | 
 +614  | 
 負債合計  | 
 13,325  | 
 13,518  | 
 +192  | 
| 
 投資その他  | 
 1,270  | 
 1,303  | 
 +32  | 
 純資産  | 
 3,431  | 
 3,839  | 
 +408  | 
| 
 資産合計  | 
 16,756  | 
 17,357  | 
 +600  | 
 負債・純資産合計  | 
 16,756  | 
 17,357  | 
 +600  | 
| 
 有利子負債合計  | 
 2,823  | 
 2,474  | 
 -348  | 
* 単位:百万円

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
未収入金や有形固定資産の増加により資産合計は前期末比6億円増加の173億57百万円。
長期借入金や仕入債務の増加などで負債合計は同1億92百万円増加の135億18百万円。
純資産は同4億8百万円増加の38億39百万円。
自己資本比率は前期末より1.6ポイント上昇し、22.1%となった。
◎キャッシュ・フロー
| 
 24/3期  | 
 25/3期  | 
 増減  | 
|
| 
 営業CF  | 
 1,667  | 
 178  | 
 -1,488  | 
| 
 投資CF  | 
 -1,086  | 
 -729  | 
 +357  | 
| 
 フリーCF  | 
 580  | 
 -550  | 
 -1,131  | 
| 
 財務CF  | 
 -145  | 
 -414  | 
 -269  | 
| 
 現金同等物残高  | 
 2,403  | 
 1,437  | 
 -965  | 
| 単位:百万円
 
  | 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
営業CFの黒字幅は縮小してフリーCFがマイナスに転じた。キャッシュポジションは前期比9億65百万円減少した。
3.2026年3月期業績予想
(1)主要損益計算書
| 
 25/3期  | 
 構成比  | 
 26/3期(予)  | 
 構成比  | 
 前期比  | 
|
| 
 売上高  | 
 54,717  | 
 100.0%  | 
 57,000  | 
 100.0%  | 
 +4.2%  | 
| 
 営業利益  | 
 627  | 
 1.1%  | 
 656  | 
 1.2%  | 
 +4.6%  | 
| 
 経常利益  | 
 691  | 
 1.3%  | 
 691  | 
 1.2%  | 
 -0.0%  | 
| 
 当期純利益  | 
 481  | 
 0.9%  | 
 445  | 
 0.8%  | 
 -7.5%  | 
* 単位:百万円
増収、営業増益の予想
26/3期は、売上高が前期比4.2%増の570億円、営業利益は同4.6%増の6億56百万円を見込む。
25/3期を初年度とする第二次中期経営計画をスタートし、重点テーマとして「人的資本経営の実践」、「収益力の改革加速」及び「新規事業の育成」の3つを掲げ取り組んでいる。
フローズン事業における経営環境は、相次ぐ値上げの影響で消費者の節約志向は高まっているものの、即食簡便な冷凍食品需要は旺盛であり、引き続き拡大傾向にある。また、同社の主要な得意先であるドラッグストア業態においても引き続き出店が続くことが予想される。また、小売業全体においても省人化・効率化のニーズは依然として高まることが見込まれるため、売上高は好調に推移すると見込んでいる。追い風の市場環境を踏まえ、25年4月稼働の横浜営業所への設備投資を皮切りに、同社にとって過去最大の投資である26年12月稼働予定の関東マザーセンター(仮称)への設備投資など、事業拡大を見据えた攻勢のフェーズに移行していく。引き続き倉庫機能の自動化や配送の効率化に向けて、積極的な設備投資を行う方針。次期以降、大型の設備投資にともなう減価償却費の増加や、政策金利の引き上げに伴う支払利息の増加など、一時的な利益面の伸び悩みが懸念される。しかし中長期における業績拡大を見据え、フローズン市場における競争力の強化を狙っていく。
スーパーマーケット事業においては、節約志向の高まりによる個人消費の低迷や、業種の垣根を越えた激しい競争が続いている。こうした中、現場主義を徹底し、お客様目線に立った売り場づくりを行った結果、25/3期には黒字化を達成した。出店については25/3期は行っていないが、立地条件等を精査し、収益性が高まると判断した場合には新規出店を行う方針。
配当は前期から0.50円増配の20.00円/株(うち上期末10.00円/株)を計画。予想配当性向は17.6%。

(2)セグメント別動向
| 
 25/3期  | 
 構成比  | 
 26/3期(予)  | 
 構成比  | 
 前期比  | 
|
| 
 売上高  | 
|||||
| 
 フローズン事業  | 
 47,688  | 
 87.2%  | 
 49,908  | 
 87.6%  | 
 +4.7%  | 
| 
 スーパーマーケット事業  | 
 7,029  | 
 12.8%  | 
 7,088  | 
 12.4%  | 
 +0.8%  | 
| 
 合計  | 
 54,717  | 
 100.0%  | 
 57,000  | 
 100.0%  | 
 +4.2%  | 
| 
 セグメント利益  | 
 
  | 
 
  | 
 
  | 
 
  | 
 
  | 
| 
 フローズン事業  | 
 553  | 
 1.2%  | 
 578  | 
 1.2%  | 
 +4.5%  | 
| 
 スーパーマーケット事業  | 
 73  | 
 1.0%  | 
 76  | 
 1.1%  | 
 +4.1%  | 
| 
 合計  | 
 627  | 
 1.1%  | 
 656  | 
 1.2%  | 
 +4.6%  | 
* 単位:百万円。売上高は外部顧客への売上高。セグメント利益の構成比は利益率。
*フローズン事業
増収増益予想。引き続き主要企業の出店が見込まれ、売上高は前期比4.7%を見込む。利益面では、配送効率の改善が進展することによりセグメント利益は同4.5%増を計画する。
*スーパーマーケット事業
増収増益予想。現場主義を徹底し、お客様目線に立った売り場づくりを行った結果、25/3期は黒字化を達成26/3期についても0.8%増収、セグメント利益は4.1%増と同水準の売上・利益を計画している。

4.トピックス
(1)第二次中期経営計画
22/3期を初年度、24/3期を最終年度とする第一次中期経営計画は、「強靭な経営基盤の再構築」をテーマに取り組み、売上高は目標を達成したものの、営業利益は未達成となった。25/3期からは27/3期へ向けた第二次中期経営計画がスタートしている。
10年ビジョン iceco VISION 2030

(同社資料より)
第二次中期経営計画 基本方針
環境変化への徹底対応
重点テーマと進捗状況
1.人的資本経営の実践・・・継続課題である「人財育成」を強化し 従業員の能力を引き出し企業価値向上に繋げる
進捗状況
✔ 給与制度改定に加え、人事評価制度を刷新
✔ ルートセールスをはじめとする配送・倉庫社員の週休3日制を導入
2.収益力の改革加速・・・第一次中計のテーマ「既存事業の収益力向上」のギアを一段上げてアクセルを踏み込む
進捗状況
✔ スーパーマーケット事業の黒字化達成
✔ 関東マザーセンター(仮称)の建設計画を公表 冷凍自動倉庫の導入により物流効率を向上させる
3.新規事業の育成・・・第一次中計のテーマ「新規事業の創出」の次ステップとしてFROZEN JOE’Sの収益化と出店加速、
海外事業展開への本格着手
進捗状況
✔ 24年7月にFrozen Joe’s ゆめが丘ソラトス店をオープン
✔ 冷凍食品専門店事業を進めた結果、海外事業については進展なし
業績目標(億円)
| 
 22/3期  | 
 23/3期  | 
 24/3期目標  | 
 24/3期実績  | 
 25/3期目標  | 
 25/3期実績  | 
 27/3期目標  | 
|
| 
 売上高  | 
 426  | 
 450  | 
 468  | 
 504  | 
 540  | 
 547  | 
 600  | 
| 
 営業利益  | 
 3.5  | 
 1.1  | 
 5.8  | 
 4.5  | 
 5.0  | 
 6.2  | 
 10.0  | 
| 
 配当性向  | 
 27.4%  | 
 49.1%  | 
 –  | 
 23.1%  | 
 –  | 
 15.8%  | 
 30.0%  | 
(2)関東マザーセンター(仮称)の建設計画
✔ 売上増加や、物流効率の改善を図るため、埼玉県に関東マザーセンター(仮称)を建設予定
✔ 当社初となる冷凍の立体自動倉庫の導入を予定しており、サテライト拠点の展開を推進する
✔ 関東マザーセンター(仮称)の計画が経済産業省の「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」の補助事業に採択され、補助額11億円の交付が決定
| 拠点名 | 関東マザーセンター(仮称) |  
![]() (同社資料より)  | 
| 所在地 | 埼玉県 | |
| 敷地面積 | 約9,500㎡ | |
| 延床面積 | 約3,900㎡ | |
| 投資総額 | 土地、建物及びマテハン機器計約41億円 | 
サテライト構想
■ マザーセンターを稼働させることで、冷凍庫や商品在庫を持たず、配送用トラックだけ構えるサテライト拠点の展開が可能となる.

(同社資料より)
✔ 従来の拠点展開では冷凍倉庫の固定費が高く、積極的なエリア拡大ができなかった。マザーセンターを稼働させることで、サテライト拠点を展開し、冷凍倉庫は積み替え時の一時保管のみで、強みであるフルメンテナンスサービスの品質を維持しながら効率的な配送エリアの拡大を図ることが可能となる。
(3)横浜営業所
概要
✔ フローズン事業の成長戦略として売上の増加への対応や配送効率の向上のため、神奈川県横浜市金沢区に関東エリアにおける物流の中核拠点として横浜営業所を建設し、25年4月10日に稼働を開始
| 拠点名 | 横浜営業所 |  
![]()  | 
| 所在地 | 横浜市金沢区幸浦2-1-16 | |
| 交通 | 首都高速湾岸線幸浦出入口から約1.1㎞ | |
| 敷地面積 | 約2,800㎡ | |
| 延床面積 | 約1,280㎡ | 
(同社資料より)
冷凍庫内の設備
□ 移動ラックを採用し、限られたスペースを有効活用。最大収容パレット数は660パレットに対応
□ 音声認識システム(Vocollect Voice)を導入し、入出荷検品、賞味期限管理、搬入、棚移動、棚卸作業を効率化。作業精度とスピードの向上を実現
| 
 移動ラック  | 
 音声認識システム(Vocollect Voice)  | 
|
 
![]() 
  | 
 
![]() 
 (同社資料より)  | 
 
 
  | 
環境・安全に配慮した設計
□ 横浜営業所には太陽光発電を設置し、年間約60tのCO2を削減
□ 環境や安全に配慮した最新鋭の冷凍設備により倉庫内作業の効率化を実現
| 
 屋上に設置された太陽光パネル  | 
 安全性に配慮した冷凍倉庫  | 
|
 
![]() 
  | 
 
![]() (同社資料より)  | 
(4)Frozen Joe’s ゆめが丘ソラトス店オープン
✔ 24年7月25日(木)、冷凍食品専門店「FROZEN JOE‘S」の3号店を、神奈川県横浜市泉区にある「ゆめが丘ソラトス」内にオープン
✔ 施設特性にマッチした売場作りを意識し、幅広い年齢層に向けた品揃えを行う
| 店名 | FROZEN JOE‘Sゆめが丘ソラトス店 | (同社資料より)
![]()  | 
| 所在地 | 横浜市泉区下飯田町1584-2 | |
| 交通 | 相鉄線「ゆめが丘駅」ゆめが丘ソラトス1階 | |
| 敷地面積 | 93.60㎡ | |
| 営業時間 | 10:00~20:00 | 
(5)資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応(アップデート)
■ 株式分割及び株主優待の導入により、株価は24/3期末808円(分割後換算)から1,787円と2倍強に上昇、同期間にPBRは1倍割れだった0.9倍から1.8倍へ
■ 第二次中計に従い、積極的な事業拡大・収益性の向上を図る
25/3期のROEは10%を大きく上回る
| 
 23/3期  | 
 24/3期  | 
 25/3期  | 
|
| 
 ROE(%)  | 
 4.6  | 
 9.7  | 
 13.3  | 
| 
 売上高当期純利益率(%)  | 
 0.32%  | 
 0.63%  | 
 0.88%  | 
| 
 総資産回転率(回)  | 
 2.96  | 
 3.14  | 
 3.21  | 
| 
 レバレッジ(倍)  | 
 4.86  | 
 4.89  | 
 4.70  | 
~アイスコの現状認識~
| 株式分割・株主優待など、流動性を高め株主還元を強化した結果、株価は想定を上回る上昇となった。これにより市場から一定程度の評価は得られたという認識。
 更なる企業価値向上のためには、事業収益性を高めることが最重要であると捉え、第二次中計に従い、関東マザーセンター計画等の大型の設備投資や、積極的な売上の拡大、物流効率を向上させることで、ROEを高めていく。  | 
株主還元
✔ 配当性向30%を目標とし、株主還元・株式の流動性向上のため2つの施策を実施
| ●株主優待
 1単元以上保有している株主に年間8枚(3月末、9月末に各4枚)ハーゲンダッツギフト券を配布 同社株式への投資の魅力を向上させ、より多くの株主が中長期的に保有することを目的に、株主優待制度を導入 
  | 
●株式分割
 24年9月末基準、10月1日効力発生で 1株あたり2株に株式を分割 投資単位あたりの金額を引き下げることにより、投資家がより投資しやすい環境を整え、投資家層の拡大と同社株式の流動性の向上を図る  | 
5.今後の注目点
25/3期は期初に発表した会社予想を大きく上回って着地した。8.4%増収を確保した上で利益率を向上させており、前年の猛暑からの反動を考慮しても販売力の強化と収益性の改善がともに進展していることが分かる。25/3期にはスーパーマーケット事業の黒字転換が利益率改善の牽引役だったが、今後はフローズン事業において効率化に向けた投資の成果が現れそうだ。25/3期から第二次中期経営計画が始まっているが、27/3期営業利益10億円に向けて着実なスタートを切ったといえよう。第二次中期経営計画を達成すればEPSで170円程度が期待できる。
25/3期には株主還元の強化も進めた。特に株主優待の強化は優待を考慮した実質利回りを押し上げ、好業績もあり株価水準はこの1年で大きく上昇した。それでも、中期経営計画で目指す利益水準や冷凍食品市場の拡大といった事業環境、13.3%という高ROEも考慮すると十分に割安な水準に放置されていると見ている。夏が控えているが、「暑い夏」となればフォローの風も強くなりそうだ。
<参考1:コーポレート・ガバナンスについて>
◎組織形態及び取締役、監査役の構成
| 組織形態 | 監査等委員会設置会社 | 
| 取締役 | 7名、うち社外3名 | 
◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2024年6月26日)
基本的な考え方
当社は、「I care everybody company ~あらゆる人々に慈しみの心をもって接する企業でありたい~」という企業理念のもと、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指し、経営環境の変化に対応した迅速な意思決定と、経営の健全性の向上を図ることによって企業価値を高めることを経営の最も重要な課題の一つとして位置付けております。
これを実現するために、少数株主等に十分に配慮するなど、株主の権利の実質的な確保、平等性の確保、ステークホルダーとの良好な関係の構築、情報開示の充実及び株主総会、取締役会、監査等委員会、会計監査人などの機関、制度を強化しながら、コーポレート・ガバナンスを充実させてまいります。
<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由(抜粋)>
【補充原則2-4①】中核人材の多様性の確保
当社は、会社規模・事業特性から女性・外国人・中途採用者の管理職への登用に関する測定可能な目標を設定しておりませんが、女性・外国人・中途採用者の管理職登用については、能力を見極めたうえで、継続的に取り組んでまいります。
【原則5-2①】事業ポートフォリオの基本方針や見直しの状況についての説明
当社は、現時点で事業ポートフォリオに関する基本的な方針を公表しておりません。今後、新たな事業への投資を行っていく上で、当社の事業ポートフォリオに関する方針等の公表を検討していきます。
<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
【原則1-4】政策保有株式事業戦略上の必要性、取引・協業関係の維持・強化を保有の目的として、企業価値の向上に資するものを政策保有株式と定義し、それ以外は保有しない方針です。
【補充原則3-1③ サステナビリティについての基本的な方針の策定と情報開示】
当社の経営戦略の開示については、中期経営計画においてサステナビリティを巡る取組みについて基本的な方針を説明しております。サステナビリティを巡る課題への対応を重要な経営課題であると認識しており、リスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると考えております。また、人的資本や知的財産への投資等の重要性も認識しており、サステナビリティに関する取組みを取締役会にて実効的に監督してまいります。
【原則5-1】株主との建設的な対話に関する方針
当社は、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のため、株主との間で積極的かつ建設的な対話を行う方針であります。株主との対話の機会として、株主総会をはじめ、決算説明会を随時開催するほか、当社ウェブサイトにおいて開示資料を充実させ、当社の事業に対する理解の促進に努めてまいります。
【資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応】
当社の資本コストは4.5%~5.0%を想定しており、ROE(9.7%)は資本コストを上回っております。引き続き、事業の収益力の向上及び株主還元とのバランスを図ることで、企業価値の向上を目指してまいります。なお、詳細は、当社ホームページに掲載の「第二次中期経営計画公表に関するお知らせ」(https://www.iceco.co.jp/ir/irnews/)をご参照ください。
業務執行、監査・監督、指名、報酬決定等の機能に係る事項(現状のコーポレート・ガバナンス体制の概要)
企業統治の体制の概要
(1)業務執行
当社の取締役会は、取締役7名、うち監査等委員である社外取締役3名で構成されており、法令上の規定事項その他経営の重要事項について、審議及び決定を行う機関と位置付け、業務執行状況の監督を行っております。取締役会は、業務執行上の最高意思決定機関として原則毎月 1回開催しており、必要に応じて臨時取締役会も開催しております。
当社の監査等委員会は、監査等委員である取締役3名全員が社外取締役で構成されており、経営や業務執行の監督・牽制機能を果たすべく、 監査等に関する重要な事項について報告を受け、協議または決議を行っております。
このほか、代表取締役社長、取締役会長、常勤取締役、各部室長で構成された経営会議を原則毎月1回開催しており、経営上の重要事項及び 業績の進捗状況等について討議し、迅速な意思決定ができるように運営しております。
(2)監査等委員会
監査等委員会は、常勤監査等委員1名と非常勤監査等委員2名の計3名で構成されており、監査等委員は取締役会及び重要な会議に出席し、または資料を閲覧、若しくはその報告を通じて取締役の職務執行の監査を行っております。監査等委員は、監査計画に基づく監査を実施し、監査 等委員会を原則毎月1回開催しております。また、内部監査室及び会計監査人との間で意見交換を行うことにより、職務執行の状況を効率的、合理的に把握し、監査の実効性を高めております。
(3)内部監査室
当社では、社長直属の内部監査室を設置し、年間の内部監査計画に基づき、往査または書面により内部監査を行っております。内部監査室長は当該監査終了後、監査報告書を作成、社長に提出し、その承認をもって結果を被監査部門に通知します。その後、被監査部門長より指摘事項にかかる改善状況について報告を受け、状況の確認を行っております。また、監査等委員会、会計監査人とも適宜意見交換を行う体制にしております。
(4)取締役候補者の指名及び報酬決定方法
取締役候補者の指名については、現任取締役の推薦により、候補者を選定し、指名報酬委員会で審議し、指名報酬委員会の答申に基づき取締役会にて決定し、取締役候補者として株主総会の議案に上程することとしております。
取締役の報酬は、株主総会で承認された報酬限度額の範囲内において、指名報酬委員会の答申に基づき取締役会にて決定しております。











