日本エンタープライズ(4829) 施策による売上・利益の積み上げに注目

2025/02/13

 

 

植田 勝典 会長

 

杉山 浩一 社長

日本エンタープライズ株式会社(4829)

 

 

企業情報

市場

東証スタンダード市場

業種

情報・通信

代表取締役会長

植田 勝典

代表取締役社長

杉山 浩一

所在地

東京都渋谷区渋谷1-17-8 松岡渋谷ビル

決算月

5月

HP

https://www.nihon-e.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

売買単位

115円

38,534,900株

4,431百万円

4.3%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

3.00円

2.6%

4.80円

24.0倍

123.84円

0.9倍

*株価は1/16終値。発行済株式数、DPS、EPS、BPSは25年5月期第2四半期決算短信より。ROEは前期実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2021年5月(実)

4,346

338

355

134

3.35

3.00

2022年5月(実)

4,019

102

153

71

1.81

2.00

2023年5月(実)

4,210

180

190

103

2.68

2.00

2024年5月(実)

4,696

264

278

209

5.43

3.00

2025年5月(予)

5,310

295

300

185

4.80

3.00

* 予想は会社予想。単位:百万円、円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下、同様。21年5月期の配当には記念配当0.50円/株を含む。

 

日本エンタープライズ(株)の2025年5月期第2四半期決算概要と今後の見通しについてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2025年5月期第2四半期決算概要
3.セグメント別事業概況
4.2025年5月期業績予想
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 25年5月期上期の売上高は前年同期比2.2%減の21億54百万円。クリエーション事業が増収も、これまで堅調だったソリューション事業が減収。営業利益は同89.5%減の12百万円。減収に加え、定額制コンテンツにおける運営管理費が増加し売上総利益が同9.9%減少。人件費など販管費の増加(同3.1%増)を吸収できなかった。 
  • 業績予想に変更は無い。売上高は前期比13.1%増の53億10百万円、営業利益は同11.5%増の2億95百万円の予想。自社開発で培ったノウハウと自社IPを活かし、引き続き定額制コンテンツの既存サービスの拡大と新タイトル投入を図る。加えて、キッティング支援のサービス拡充や販路拡大のほか、DX推進に対応したシステム開発サービスや業務支援サービスにおける既存顧客への深耕と新規顧客獲得により増収増益を図る。配当は前期と同じく普通配当3.00円/株を予定。予想配当性向は62.5%。 
  • 今期に入り、ここまで堅調に伸長してきたソリューション事業、復調傾向にあったクリエーション事業とも低調であり、上期の進捗率は売上高40.6%、営業利益4.2%と、例年と比較し低水準にとどまっている。第3四半期以降、定額制コンテンツの既存サービスの拡大と新タイトル投入、キッティング支援のサービス拡充や販路拡大、DX推進に対応したシステム開発サービスの案件獲得や業務支援サービスの強化といった施策による売上・利益の積み上げがどの程度進んでいくのかを注目したい。

1.会社概要

モバイルソリューションカンパニーを標榜。個人向けスマートフォンアプリの開発・提供、企業向けシステム開発、モバイルキッティング、e コマース等のサービスを提供しており、事業セグメントは、自社IP(Intellectual Property)を活用したアプリケーションやシステムを提供する「クリエーション事業」と企業の業務用ソフトウェアやシステムの開発を請け負う「ソリューション事業」に分かれる。また、DXを背景に新たなサービスの創出にも取り組んでいる。
2001年2月16日に大阪証券取引所ナスダック・ジャパン市場へ株式上場。2007年7月10日に東京証券取引所市場第二部への市場変更、2014年2月28日に同市場第一部の指定を経て、2022年4月4日に同スタンダード市場へ移行。

 

1-1 経営理念

同社の経営理念は「綱領・信条・五精神」及び「日エン経営原則」に刻まれており、「これを繰り返し学ぶ事で基本理念を永遠に堅持していく」事が同社社員の責務。こうした正しい考えと正しい行動の下にこそ、長い目で見た「株主価値の極大化」、すなわち「資本という大切な“お預かりもの”を1円もムダにせず、最大化していくことが可能である」と言うのが同社を率いる植田会長の考えである。そもそも同社は、「社業を通じて社会のお役に立ちたい」という強い一念から植田会長が興した会社であり、IT技術により様々なコンテンツやソリューションを提供する事でお客様の満足度を高めると共に社会貢献していく事を目指している。こうした植田会長の経営哲学の下、創業初年度の経常利益は、ほぼ全額が日本赤十字社・社会福祉施設・児童養護施設等に寄付され、東日本大震災や能登半島地震等の天災の折には、被災した方々の支援と地域の復興に寄与するべく日本赤十字社に寄付が行われている。

 

綱領 我々は商人たるの本分に徹しその活動を通じ社会に貢献し、文化の進展に寄与することを我々の真の目的とします
信条 我々は以下に掲げる五精神をもって一致団結し力強く職に奉じることを誓います
私たちの遵奉する精神 一、商業報国の精神

一、忘私奉職の精神

一、収益浄財の精神

一、力闘挑戦の精神

一、感謝報恩の精神

 

「綱領」を経営の礎に、グループ全体で「信条」「五精神」を共有し、ビジョンを目指して事業活動に取り組み、「21世紀を代表する、社会をより良い方向に変える会社」を目指している。

 

1-2 企業グループ(連結子会社

8社、非連結子会社2社)

連結子会社は、業務支援、アプリ/WEBサイト企画・開発・運用等の(株)ダイブ、ITソリューション、アプリ/システム開発・運用等の(株)フォー・クオリア、音声通信関連ソリューションの(株)and One、スマートフォン向けキッティング支援ツール等の(株)プロモート、アプリ/システム開発等の(株)会津ラボ、太陽光発電の(株)スマート・コミュニティ・サポート、電子商取引サービス「いなせり」、「いなせり市場」の企画・開発・運営を手掛けるいなせり(株)、DX推進サポート等の㈱アップデートサポートの8社。非連結子会社は、コンテンツ運営等を行うNE銀潤(株)、米国の日系企業向け業務支援を手掛けるDive Global Access, Inc.の2社。

1-3 事業概要

報告セグメントは、クリエーション事業とソリューション事業の2つ。

 

 

(1)クリエーション事業
自社IP(Intellectual Property)を活用したコンテンツサービス、ビジネスサポートサービス、及び再生可能エネルギーの提供などを通じて新しいライフスタイル、ビジネススタイルを創造している。

 

 

◎コンテンツサービス
ゲームや総合電子書籍サービス等のエンターテイメント系のコンテンツ、「ATIS交通情報サービス」、「女性のリズム手帳」、「ラッキーステーション」、更には一般消費者向け鮮魚ECサイト「いなせり市場」といったライフスタイル系のコンテンツを提供している。

 

 

エンターテインメント 通信キャリア向け定額制サービスにおいて提供しているゲームや多彩なジャンルをカバーした総合電子書籍など様々なコンテンツを提供している。自社IP等を活用し他社との協業等により事業を拡大中。

 

(例)

「ちょこっとゲーム forスゴ得」

通信キャリア向け定額制サービスにおいて100種類以上のゲームを提供しているゲームポータルサイト

 

「Speak Lab forスゴ得」

株式会社アルタビスタライズと共同で開発したAI英会話サービス

 

「BOOKSMART」

多彩なジャンルをカバーした総合電子書籍

 

「なでしこ書店」

人気恋愛ゲーム「イケメンシリーズ」を展開する株式会社サイバードと共同で運営する女性向け電子書籍ストア

ライフスタイル 「ATIS交通情報」

全国の高速道路・一般道路の情報を詳しく知りたいお客様に役立つ機能を搭載した実用サービス

「女性のリズム手帳」

月間20万ユーザーが利用する女性のための「美」と「健康」をサポートするアプリ

 

「ラッキーステーション」

レジャーやグルメ、ショッピングの他、学びや健康、育児・介護など幅広いジャンルの優待割引を受けられるサービスを提供しているWebサイト

 

「いなせり市場」

一般消費者が、豊洲市場の仲卸の目利きに適った水産物等を購入できるECサイト

(同社資料を基に作成)

 

◎ビジネスサポートサービス

 

キッティング支援 「ビジネスサポートサービス」を牽引。人的作業の軽減を可能とし「生産性」「正確性」の向上を実現できるキッティング支援ツール『Kitting-One』の高品質な製品力を強みにサービス拡充や販路拡大を推進
交通情報 世界で初めて高度交通情報の提供を開始したサービス。自然災害対策や物流効率化で重要性が高まる交通情報を独自開発したシステムで運輸交通機関等に提供
コミュニケーション 操作性・柔軟性に優れたビジネスフォン環境を提供するIP-PBXコミュニケーションシステムは、多くの回線事業者が提供するIP電話サービスの接続試験・技術確認をクリアしており、高品質な通話を実現
EC・ASPサービス等 調達業務を効率化する調達業務支援サービスは、10種類以上の入札機能を有し、コスト削減や公平な取引を実現

 

自治体向けの観光振興アプリや、社員研修を実施・管理するeラーニング等を提供

 

飲食事業者向けECサイト『いなせり』を東京魚市場卸協同組合(仲卸)等と連携を図り、水産物や青果の販売サービスを提供

(同社資料を基に作成)

 

◎再生可能エネルギー
山口県において再生可能エネルギー(太陽光発電)による地域活性化を推進している。

 

(2)ソリューション事業
クリエーション事業で培ったノウハウを活かし、法人からの依頼によりシステムを開発するシステム開発サービス、業務支援サービスや、端末周辺サービスを含むその他サービスなど、ITソリューションの開発を通じて顧客のビジネスに新しい価値を提供している。「システム開発サービス」「業務支援サービス」「その他サービス」で構成されている。

 

 

◎システム開発サービス
AI、IoT、セキュリティ関連システムの需要が増大する中、コンサルティングから開発、保守・運用、ユーザーサポート、販売促進までトータルソリューションサービスを提供している。

 

◎業務支援サービス
常駐型でクライアント企業の課題解決へ向けた業務支援を行っている。幅広い支援内容でサービスを拡大中。

 

◎その他サービス
主力サービスに付随し拡大しているサービス。

 

中古端末の買取販売サービス 厳正なグレーティング(査定)後、世界基準のソフトを使用したデータ消去を実施している。
各種商材販売 携帯ショップで多く利用されているガラスコーティング剤やWi-Fiなど、端末周辺環境を支援する商材を販売している。
その他 広告や物販などを取り扱っている。

(同社資料を基に作成)

1-4 経営環境と事業方針

生産年齢人口の減少とそれに伴う国内市場の縮小により、持続可能な社会構築が一層重視され、DX国内市場は2030年に8兆円超まで拡大すると見込まれている。このような状況下、様々なIT機器を通して顧客に新しい価値を提供するとともに社業を通じて社会貢献していく事を目指している同社は、既存サービスの強化はもちろん、新サービスの創出を積極的に推進していく考えだ。

 

(同社資料より)

 

1-5 ESGについて

持続可能な社会実現と企業価値の向上を目指し、以下のような取り組みを行っている。

E:環境 ・デジタル化支援サービス

エネルギーマネジメントシステムや、AIやRPA等の技術を活用した人的作業の省力化に向けたサービスを提供

 

・リサイクル支援サービス

スマートフォン等の不要端末を買い取り、データ消去の上で販売

 

・再生可能エネルギー開発

山口県宇部市にて太陽光発電による発電及び電力を販売

S:社会 ・多様な人材の活躍に向けた取り組み

早朝勤務制度導入、テレワーク体制構築運用、女性管理職登用、人事評価・教育制度整備、産前産後・育児・介護休暇 等

目標としている各指標及び実績は以下のとおりである。

管理職に占める女性労働者の割合 2026年5月までに25%(実績13.6%)

男性労働者の育児休業取得率 2026年5月までに100%(実績100%)

労働者の男女の賃金の差異 2026年5月までに80%(実績78.0%)

*実績は2024年5月期

 

・社会貢献活動

最終利益の1%相当額を寄付金として積み立て

G:ガバナンス ・経営の健全性及び透明性の確保に向けたコーポレート・ガバナンス体制の構築

・取締役及び監査役のスキルマトリックス作成

・取締役会実効性評価の実施

・企業理念に基づく企業倫理の浸透と各種法令及びコンプライアンスの徹底

・すべてのステークホルダーへの的確な情報開示

1-6 ROE分析

 

18/5期

19/5期

20/5期

21/5期

22/5期

23/5期

24/5期

ROE(%)

3.4

2.0

3.6

2.7

1.5

2.2

4.3

売上高当期純利益率(%)

4.3

2.9

4.9

3.1

1.8

2.5

4.5

総資産回転率(回)

0.6

0.6

0.6

0.7

0.7

0.7

0.8

レバレッジ(倍)

1.2

1.2

1.2

1.2

1.2

1.2

1.2

*同社決算資料を基に(株)インベストメントブリッジが計算。

 

*同社決算資料を基に(株)インベストメントブリッジが作成。

 

24年5月期のROEは売上高当期純利益率の上昇を主要因に前期比2.1ポイント上昇し4.3%となった。収益性及び資産効率性の改善による更なるROE水準の改善が期待される。

 

 

 

2.2025年5月期上期決算概要

2-1 連結業績

 

24/5期上期

構成比

25/5期上期

構成比

前年同期比

売上高

2,202

100.0%

2,154

100.0%

-2.2%

売上総利益

852

38.7%

768

35.7%

-9.9%

販管費

733

33.3%

756

35.1%

+3.1%

営業利益

118

5.4%

12

0.6%

-89.5%

経常利益

131

6.0%

27

1.3%

-79.2%

四半期純利益

94

4.3%

-8

* 単位:百万円。

 

減収減益
売上高は前年同期比2.2%減の21億54百万円。クリエーション事業が増収も、これまで堅調だったソリューション事業が減収。
営業利益は同89.5%減の12百万円。減収に加え、定額制コンテンツにおける運営管理費が増加し売上総利益が同9.9%減少。人件費など販管費の増加(同3.1%増)を吸収できなかった。

 

*同社決算資料を基に(株)インベストメントブリッジが作成。

 

2-2 セグメント別動向
◎セグメント別売上高・利益

 

24/5期上期

構成比

25/5期上期

構成比

前年同期比

クリエーション事業

798

36.3%

835

38.8%

+4.7%

ソリューション事業

1,404

63.7%

1,318

61.2%

-6.1%

連結売上高

2,202

100.0%

2,154

100.0%

-2.2%

クリエーション事業

228

28.6%

185

22.2%

-18.9%

ソリューション事業

158

11.3%

124

9.4%

-21.4%

調整額

-267

-296

連結営業利益

118

5.4%

12

0.6%

-89.5%

* 単位:百万円。利益の構成比は売上高営業利益率。

 

 

四半期ベースで前期まで堅調に伸長してきたソリューション事業売上高は今期第1四半期に減少。
復調傾向にあったクリエーション事業も今期に入り弱含んでいる。

 

①クリエーション事業

 

24/5期上期

25/5期上期

前年同期比

コンテンツサービス

449

496

+10.5%

ビジネスサポートサービス

317

306

-3.4%

再生可能エネルギー

31

32

+1.6%

セグメント売上高

798

835

+4.7%

* 単位:百万円

 

*コンテンツサービス
通信キャリアの定額制コンテンツが伸長し10.5%増と2桁増収。
四半期ベースでも、通信キャリアの定額制コンテンツの増加により、第2四半期(9-11月)は前年同期比11.5%増の増収となった。

 

*ビジネスサポートサービス
「交通情報」「キッティング支援(ツール)」が増加したものの、「キッティング支援(作業請負)」の需要の後ろ倒し、「コミュニケーション」等の減少により前年同期比3.4%の減収。
四半期ベースでも、第2四半期(9-11月)は前年同期比12.2%の減収となった。

 

再生可能エネルギー
良好な天候により前年同期比1.6%の増収。
四半期ベースでは、第2四半期(9-11月)は前年同期比4.0%の減収となった。

 

 

②ソリューション事業

 

24/5期上期

25/5期上期

前年同期比

システム開発サービス

1,062

944

-11.1%

業務支援サービス

256

337

+31.7%

その他サービス

84

35

-57.7%

セグメント売上高

1,404

1,318

-6.1%

* 単位:百万円

 

*システム開発サービス
「SES」「運用保守」が増加したものの、「受託開発」「ラボ型開発」における大型案件の一巡等により前年同期比11.1%の減収。
四半期ベースでは、第2四半期(9-11月)は前年同期比13.4%減収。

 

*業務支援サービス
DX等顧客ニーズの高い高度人材提供により前年同期比31.7%の増収。
四半期ベースでは、第2四半期(9-11月)は前年同期比26.2%増収。

 

*その他サービス
「ガラスコート剤」の販売が伸長したものの、24年5月期第1四半期の特需(ソリューション関連機器)剥落により前年同期比57.7%減収。
四半期ベースでは、第2四半期(9-11月)は前年同期比3.8%減収。

2-3 財政状態と

キャッシュ・フロー

◎要約BS

 

24年5月

24年11月

増減

 

24年5月

24年11月

増減

流動資産合計

5,306

4,594

-711

流動負債合計

658

579

-78

現金及び預金

4,424

3,738

-686

仕入債務

212

174

-38

売上債権

809

765

-43

短期借入金

21

23

+1

固定資産合計

645

1,121

+475

固定負債合計

224

210

-13

有形固定資産合計

284

266

-17

長期借入金

138

126

-11

無形固定資産合計

181

189

+7

負債合計

882

790

-92

投資その他の資産合計

179

665

+485

純資産合計

5,068

4,925

-143

資産合計

5,951

5,716

-235

負債純資産合計

5,951

5,716

-235

* 単位:百万円。売上債権には電子記録債権を含む。

 

*同社決算資料を基に(株)インベストメントブリッジが作成。

 

現預金の減少等で総資産は前期末比2億35百万円減少の57億16百万円。仕入債務の減少等で負債は同92百万円減少の7億90百万円。利益剰余金の減少等で純資産は同1億43百万円減少の49億25百万円。この結果自己資本比率は前期末から0.9ポイント上昇し83.5%となった。

 

◎キャッシュ・フロー

 

24/5期上期

25/5期上期

増減

営業CF

154

3

-151

投資CF

-152

-556

-404

フリーCF

2

-553

-555

財務CF

-95

-133

-38

現金・現金同等物残高

4,206

3,701

-505

* 単位:百万円

 

現金・現金同等物残高は前年同期比5億5百万円の減少。

3.セグメント別事業概況

両事業において、注目すべき商材、サービスは以下の通り。

 

3-1 クリエーション事業

(1)コンテンツサービス
拡大を続けるモバイルコンテンツ関連市場を背景に、市場分析・マーケティングの上、アライアンス・プロモーションの強化により集客を促進している。

 

◎ATIS交通情報
「ATIS交通情報」では2023年10月、個人事業主を含む旅客・運送業等プロドライバー向け「プロ」コースの提供を開始した。
高速道路約280路線、一般道路約35,000路線を網羅し、所要時間や事故など、プロドライバーに必要な情報を判読性の高い機能で提供していることが評価され、役員送迎のある大手企業や役員送迎サービスを提供する運行会社などの法人にも利用が拡大している。
24年12月には、トヨタ自動車東京本社においても、広範囲を俯瞰し通過時間を把握できるデフォルメマップや一般道路の事故・通行止め等のきめ細やかな情報が評価され、同サービスの送迎車での利用が決定した。

 

◎Speak Lab for スゴ得
年末年始向けキャンペーンとして初心者向けレッスンを期間限定で提供した。海外旅行での使用を想定した各種テーマの会話を毎日日替わりで提供。往復3ターンで完結する内容で、終了後は会話に出てきた単語やフレーズの解説が出てくるため、効果的な学習を行うことができる。

 

◎BOOKSMART、ラッキーステーション
サービス改善を図り、広告投資を更に強化している。

 

(同社資料より)

 

(2)ビジネスサポートサービス
◎キッティング支援
手作業で行われることの多いデバイスの初期設定(キッティング)を、RPAツールを用いて自動で行うキッティング支援では、サービスの拡充に加え、販路拡大を推進している。

 

(同社資料より)

 

◎交通情報
ラジオ局・テレビ局向けにおいては、渋滞・事故・規制などに加え天候や災害等も考慮した所要時間を24時間365日、そのまま放送原稿として利用可能な形式で提供しており、災害等緊急時も時間帯や専門性によらず利用が可能。現在100以上のメディア局が導入しており、24年11月には琉球放送(RBC)に提供を開始した。

 

(同社資料より)

 

◎コミュニケーション
4大通信キャリアを含む7つの主要回線事業者に対応し高品質な通話を実現している他、多彩な機能を有することで代理店各社の多様なニーズに応えて事業を拡大している。
既存パートナーとの連携強化と新規パートナーの獲得を促進している。

 

(同社資料より)

 

◎EC・ASPサービス等
ソフトウェア構築を通じEC・ASP等を提供している。
調達業務支援サービスは、クローズ型とオープン型の支援によるコスト削減と業務効率化で顧客を拡大している。
クローズ型サービス「Profair」はセキュアな環境で公明正大な取引を実現するもので、定額制で無制限に利用が可能である。
これに加え、24年10月より団体や企業の調達業務を支援するオープン型サービス「日本オープンマーケット」の提供を開始した。「日本オープンマーケット」では、全件公募のため、バイヤーはより多くのサプライヤーから提案を受けられるようになると同時に、自社商材の提供先を探すサプライヤーの営業活動の効率化にも貢献する。バイヤーの調達は従量課金制で、初期費用・月額費用は無料。

 

(同社資料より)

 

◎再生可能エネルギー
2024年5月期は同社グループ消費電力量の約4.4倍となる1,356MWhを発電した。

 

(同社資料より)

 

 

3-2 ソリューション事業

◎システム開発サービス
自社コンテンツで培った開発力を強みに多様な開発案件を受託している。
豊富な実績を基に、既存顧客の深耕と新規顧客の開拓を推進していく。
また、ストック型ビジネスで積み上げ式に事業を拡大している。

 

 

 

(同社資料より)

 

 

◎業務支援サービス
顧客ニーズの高い高度IT人材に特化した支援サービスが増加している。人材への投資とチーム編成等によるサービス力の向上で大手通信キャリアを中心に展開している。
既存拠点に加え、顧客関連企業を含む新たな領域・部門への営業を強化中である。

 

(同社資料より)

 

 

◎その他サービス
主力事業に付随した同サービスの中でも特に中古端末買取販売サービスは、市場拡大を背景に全国展開する携帯電話取扱代理店へ営業を強化している。

 

(同社資料より)

 

 

4.2025年5月期業績予想

◎連結業績予想

 

24/5期 実績

構成比

25/5期 予想

構成比

前期比

進捗率

売上高

4,696

100.0%

5,310

100.0%

+13.1%

40.6%

営業利益

264

5.6%

295

5.6%

+11.5%

4.2%

経常利益

278

5.9%

300

5.6%

+7.5%

9.1%

当期純利益

209

4.5%

185

3.5%

-11.6%

* 単位:百万円

 

業績予想に変更なし、増収増益を予想
業績予想に変更は無い。売上高は前期比13.1%増の53億10百万円、営業利益は同11.5%増の2億95百万円の予想。
自社開発で培ったノウハウと自社IPを活かし、引き続き定額制コンテンツの既存サービスの拡大と新タイトル投入を図る。加えて、キッティング支援のサービス拡充や販路拡大を図るほか、DX推進に対応したシステム開発サービスの案件獲得や業務支援サービスの強化により増収増益を図る。
配当は前期と同じく普通配当3.00円/株を予定。予想配当性向は62.5%。

 

5.今後の注目点

今期に入り、ここまで堅調に伸長してきたソリューション事業、復調傾向にあったクリエーション事業とも低調であり、上期の進捗率は売上高40.6%、営業利益4.2%と、例年と比較し低水準にとどまっている。第3四半期以降、定額制コンテンツの既存サービスの拡大と新タイトル投入、キッティング支援のサービス拡充や販路拡大、DX推進に対応したシステム開発サービスの案件獲得や業務支援サービスの強化といった施策による売上・利益の積み上げがどの程度進んでいくのかを注目したい。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態 監査役設置会社
取締役 5名、うち社外2名(うち独立役員0名)
監査役 3名、うち社外2名(うち独立役員1名)

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2024年8月29日)
基本的な考え方
当社グループは、経営目標の達成の為に取締役会が行う意思決定について、事業リスク回避または軽減を補完しつつ、監査役会による適法性の監視・取締役の不正な業務執行の抑止、また、会社の意思決定の迅速化と経営責任の明確化を実現する企業組織体制の確立により、株主利益の最大化を図ることがコーポレート・ガバナンスと考えております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由(抜粋)>

 

<補充原則4-1-3:CEOなどの後継者計画>
当社は、経営陣幹部向けに「植田塾」を開催し、経営者として求められる「戦略思考」「リーダーシップ」等の教育を通じた育成に注力している他、最高経営責任者(CEO)等の後継者計画・育成に関して、役員間での意見交換会を開催するなど強化に努めておりますが、具体的な後継者計画は策定はしておりません。今後、後継者候補の育成計画の策定及び監督を検討してまいります。
なお、計画の策定にあたっては、十分な時間と資源をかけて後継者候補の育成が行われていくよう努めます。

 

<補充原則4-2-2:取締役会による自社のサステナビリティを巡る取組みについての基本的な方針の策定、経営戦略の配分や事業ポートフォリオ戦略の実行の監督>
当社では、サステナビリティを巡る取組みを推進するために必要な経営資源を投じておりますが、自社のサステナビリティを巡る取り組みに関する基本方針の策定については検討中であります。また、人的資本や知的財産等の経営資源の配分についても、基本方針に基づき計画を策定し、取締役会による実効性のある監督が機能するよう努めてまいります。

 

<原則5-2:経営戦略や経営計画の策定・公表>
当社は、資本コストを考慮した上で、事業ポートフォリオの見直しや設備投資、研究開発投資、人的資本への投資を含めた経営資源の配分を踏まえた事業計画を策定し、毎期初において当該期の業績予想を開示しております。
しかしながら、当社が属するITサービス市場は事業環境変化の予測が困難であることから、収益力、資本効率等に関する目標及び具体策については策定・開示しておりません。これらの策定・公表については、リソース、外部環境などを踏まえ今後、検討してまいります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>

 

<原則1-4:政策保有株式>
当社の政策保有株式の縮減に関する方針、保有の適否の検証及び議決権行使に関する基準は、以下の通りであります。
1.政策保有株式の縮減に関する方針
当社は、取引先との安定的な関係維持・強化が企業戦略上重要且つ当社の持続的な成長と企業価値向上に資すると判断した場合に限り、政策保有株式を限定的に保有する方針であります。その戦略上の判断は、適宜見直しを行い、意義が不十分であるか、又は資本政策に合致しない政策保有株式については縮減する方針でございます。
2.政策保有株式の保有の適否の検証
当社は、保有先企業の動向、取引の状況、当該保有株式の市場価額等の状況を踏まえて、当該企業との業務提携、取引の維持・発展等の保有目的の合理性を勘案し、当社の成長への必要性、一方では保有リスクも勘案し、資金活用の有効性の観点から、保有の適否について毎年検証を行っております。
3.政策保有株式の議決権行使に関する基準
政策保有株式に係る議決権行使は、その議案が当社の保有方針に適合するかどうかに加え、発行会社の企業価値の向上を期待できるかどうかなど、複合的に勘案して行います。
<補充原則2-4-1:多様性の確保に関する考え方と自主的かつ測定可能な目標の開示>
当社グループが、クリエーション事業及びソリューション事業の各種サービスを提供し、「持続可能な社会の実現」への貢献を果たすに際しては、多様なスキルとバックグラウンドを有する人材が、継続的に成長し、自らの価値を高めることが重要であります。そのため、当社グループでは、性別、年齢、国籍、学歴などにとらわれない採用活動に取り組み多様性の確保に努めるとともに、能力や適性、実績等を重視した管理職への登用や公正な人事評価を行い、また、従業員が各々の専門性をより高め、付加価値の高い人材となるための人材育成に努めることを基本方針としております。
当社グループでは、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、「管理職に占める女性労働者の割合」、「男性労働者の育児休業取得率」、「労働者の男女の賃金の差異」の指標を用いており、当該指標に対する目標と実績を開示しております。

 

<補充原則3-1-3:自社のサステナビリティについての取組みに関する開示>
当社グループは中長期的な企業価値向上の観点から、サステナビリティを巡る課題への対応は重要な経営課題であると認識しております。現在推進している太陽光発電やブロックチェーン技術を用いたエネルギーマネジメントシステムの構築のみならず、AIやRPA等の技術を活用した人的作業の省力化に繋がるサービスの提供などサステナブルな社会の実現に貢献する各種サービスの開発及び品質向上に努めてまいります。
これらの事業推進に必要な人材については、人材育成方針及び社内環境整備方針に従い、積極的な採用活動の継続等、人的資本への投資を行っております。また、知的財産への投資については、継続的なソフトウェア資産への投資が、競争力及び付加価値の向上、当社グループの継続的なサービス提供に資するため、毎年一定水準額の投資を行っております。

 

<原則5-1:株主との建設的な対話に関する方針>
当社では、「IR活動の基本姿勢と開示基準」、「情報開示の方法と情報の公平性」、「将来の見通しについて」、「IR自粛期間について」からなるIR基本方針を策定しており、当社ウェブサイトにて公表しております。

 

      ●IR基本方針
       URL:https://www.nihon-e.co.jp/ir/management/line.html

 

現在、当社ではこのIR基本方針に基づき、株主との建設的な対話という観点から、以下の取り組みを積極的に実施しております。
(1)当社では専務取締役管理本部長を内部情報管理責任者に指定し、経理部、総務部、人事・広報部等のIR活動に関連する部署を管掌し、日常的な部署間の連携を図っております。
(2)社内各部門の会社情報については、内部情報管理責任者が一元的に把握・管理し、的確な経営判断のもと、有機的な連携に努め、IRに関連する他部署との情報共有を密にすることで、連携強化を図るよう努めております。
(3)広報・IRグループにおいて、株主・投資家からの電話取材やスモールミーティング等のIR取材を積極的に受け付けると共に、アナリスト向けに決算説明会を開催し、会長、社長又は専務取締役が説明を行っております。
(4)IR活動及びそのフィードバック並びに株主異動等の状況については、適宜取締役会へ報告を行い、取締役や監査役との情報共有を図っております。
(5)投資家と対話をする際は、当社の公表済みの情報を用いた企業価値向上に関する議論を対話のテーマとすることにより、インサイダー情報管理に留意しております。

 

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