ピックルスホールディングス(2935) 需要の回復 拡販により増収見込

2023/07/27
 

影山 直司 社長

株式会社ピックルスホールディングス(2935)

 

 

企業情報

市場

東証プライム市場

業種

食料品(製造業)

代表者

影山 直司

所在地

埼玉県所沢市東住吉7-8

決算月

2月

HP

https://www.pickles-hd.co.jp

 

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,261円

12,858,430株

16,214百万円

6.8%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

22.00円

1.7%

91.40円

13.8倍

1,362.11円

0.9倍

*株価は6/30終値。発行済株式数、DPS、EPSは24年2月期第1四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2020年2月

41,417

1,871

1,973

1,290

100.83

15.00

2021年2月

46,020

2,711

2,829

1,832

142.96

17.50

2022年2月

45,006

2,942

3,068

2,128

165.59

20.00

2023年2月

41,052

1,538

1,650

1,138

88.80

22.00

2024年2月(予)

42,200

1,620

1,755

1,150

91.40

22.00

* 2022年2月期までは (株) ピックルスコーポレーションの実績、以降は (株)ピックルスホールディングスの実績及び予想。単位:百万円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下、同様。EPS、DPSは2021年9月1日付で実施した1:2の株式分割を遡及して調整。23年2月期第1四半期から収益認識に関する会計基準(以下、「収益認識会計基準」という。)等を適用。

 

 

(株)ピックルスホールディングスの2024年2月期第1四半期決算概要などをご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2024年2月期第1四半期決算概要
3.2024年2月期業績予想
4.今後の主な施策
5.今後の注目点
_<参考:コーポレート・ガバナンスについて>_

 

今回のポイント

  • 24年2月期第1四半期の売上高は前年同期比9.2%増の114億85百万円。巣ごもり需要の反動減の影響が落ち着いたことに加え、コンビニエンスストア向けの売上が好調に推移した。営業利益は同11.7%増の7億51百万円。調味料、包装材などの原材料価格の上昇で売上総利益率は1.4ポイント低下したが、物流費などは高騰したものの、販管費率が1.6ポイント低下した結果2桁の増益となった。
  • 業績予想に変更は無い。24年2月期の売上高は前期比2.8%増の422億円、営業利益は同5.3%増の16億20百万円の予想。需要の回復や好調な惣菜製品の拡販などにより増収を見込む。原材料費等の高騰の影響は続くものの、製品の内容及び価格の見直しなどを実施し増益を計画している。配当は普通配当22.00円/株を予定(前期は普通配当20.00円/株、記念配当2.00円/株の合計22.00円/株)。予想配当性向は24.1%。
  • 24年2月期第1四半期は、巣ごもり需要の反動減収束に伴い「9.2%増収、11.7%営業増益」となった。今上期予想は「4.1%増収、0.4%営業増益」、通期予想は「2.8%増収、5.3%営業増益」としていることから、増収率・増益率とも上回っており、24年2月期は順調な立ち上がりとなったようだ。
  • 今期の売上高・営業利益予想はコロナ禍前の20/2期とほぼ同水準となっている。通常の巡航速度に戻った同社の、「製品開発強化」「販売エリア拡大」「販売先拡大」「新規事業」の4つの戦略推進による今後の成長に注目したい。

1.会社概要

持株会社として、浅漬・キムチ・惣菜の製造・販売及び漬物等の仕入販売を行う(株) ピックルスコーポレーションを中心に、(株)ピックルスコーポレーション札幌、(株)ピックルスコーポレーション関西、(株)フードレーベル等のグループ会社により全国的な製造・販売ネットワークを構築している。
「野菜の元気をお届けします。」をスローガンに掲げ、コーポレートカラーの緑は新鮮感を表す。自社製品は、契約栽培によるトレーサビリティの確保された国産野菜(約80%が契約栽培)が中心で、保存料・合成着色料は使用しない。また、製造現場では、工場内での温度管理の徹底や入室前の全従業員の服装・健康チェック、5S活動への取り組み、更にはFSSC22000やJFS-Bの認証取得等、「安全な食へのこだわり」は強い。

 

【1-1 経営理念】

経営理念は「おいしくて安全、安心な商品を消費者にお届けし、同時に地球環境に配慮した企業経営を目指します」。その上で、①安全でおいしい製品を作るための品質管理、②地球環境に配慮した企業経営、③従業員のモラルアップと安全・健康を第一とした職場づくり、を経営方針として掲げている。この方針に則り、食品安全の規格であるFSSC22000、JFS-Bや環境管理の国際規格であるISO14001に取り組んでいる他、人事制度や教育制度等の充実を図る等で従業員教育にも力を入れている。
こうした経営理念をベースとして「SDGs」や「ESG経営」にも注力しており、ESGに関する取り組み・課題と、企業価値向上に向けたストーリーを伝えるためにESGレポートを作成している。

 

「ESG Bridge Report」
https://www.bridge-salon.jp/report_bridge/archives/2023/03/230328_2935.html

 

【1-2 事業内容】

2023年2月期の品目別売上構成は、製品(自社工場で生産)売上が66.6%(浅漬・キムチ40.1%、惣菜25.4%、ふる漬1.1%)、連結子会社(株)フードレーベル製品や他社仕入商品(自社工場以外での生産)売上が33.4%。

(同社資料基に㈱インベストメントブリッジ作成)

 

(製品・商品概要)
◎浅漬・キムチ
サラダ感覚で食べられる浅漬を野菜の旬の時期に合わせたラインナップで提供している。近年は、消費者の健康志向の高まりにより、従来製品より低塩な「減塩浅漬」なども販売。
「安全・安心」な食品の提供を重視する同社グループとして、主要原料の白菜、キュウリは国産を使用。保存料・合成着色料は一切使用していない。

 

2009年10月に販売を開始した主力商品「ご飯がススムキムチ」は、キムチは辛いという従来の基本概念を捨てて、主婦層が家族に食べさせたいキムチというコンセプトを打ち出し、日本人の嗜好に合わせて、甘みやうま味を際立たせるオリジナルの味として開発した。また、300~400グラムの容量が多いキムチ商品の中で、家族で食べ切れるようにと200 グラムに設定し、買いやすい量目と価格に設定。さらに、冷蔵庫内に収まりやすいスリムな形状とするとともに、赤やオレンジ色のデザインが多かったキムチ売場で、黒をメインカラーとしたパッケージデザインを採用した。この結果、当初の狙い通り女性や子供を中心に支持を集めている。
また、キャラクターや食品メーカーとのコラボレーション商品も開発するなど、ラインナップを充実させている。
現在、浅漬とキムチの漬物市場における構成比は約50%。漬物市場全体は縮小傾向にあるものの、浅漬やキムチの市場は安定している。
浅漬・キムチは野菜を主原料としており、食物繊維が豊富な低カロリー食品として見直され、今後の需要の伸びが期待されている。

 

 

 

 

ご飯がススムキムチ

叙々苑ポギキムチ

4種のぬか野菜

(同社資料より)

 

◎惣菜
2002年8月から惣菜の取扱いを開始し、着実に売上高を拡大している。近年は、消費者が節約志向を強めて外食を控え、惣菜を買って家庭内で食事をする中食の傾向が強まっているほか、高齢者・単身者世帯や共働き世帯の増加により食事のスタイルが変化しており、惣菜の需要は今後も拡大が見込まれている。
同社グループでは強みである「野菜」をキーワードに開発を行っており、現在は、サラダなどが好調。また、野菜の品種にこだわった製品を展開したり、サラダのドレッシングを自社開発したりするなど、惣菜にオリジナリティ・付加価値をつけ開発している。このほか、製品のpHコントロールによる緑色野菜の変色防止などの技術を活用している。

 

 

 

 

4種のナムルセット

棒棒鶏サラダ

キャベツのうま塩サラダ

(同社資料より)

 

(販売先)
全国の量販店、小売店、卸などが販売先であり、販路別構成(23年2月期)は、量販店・問屋等76.3%、コンビニ15.3%、外食・その他8.4%となっている。

(同社資料基に㈱インベストメントブリッジ作成)

 

【1-3 特長・強み・競争優位性】

同社は、以下のような特長・強み・競争優位性を有している。

 

(1)漬物業界でトップシェア
食品新聞記事を基に同社が作成した売上ランキングでは、同社は連結売上高410億円で、2位以下を大きく引き離し、シェア13.0%のトップである。以前から掲げている15%達成を目指しており、M&Aを含めてシェアアップを図っていく考えだ。

 

(同社資料より)

 

(2)独自性の高い商品開発力
製品開発を迅速かつ柔軟に実現するため、コンビニエンスストア、量販店、外食産業など、取引先ごとに開発担当と営業担当によるチーム体制を構築し、顧客の意見を反映することで他社とは違うオリジナリティあふれる商品を開発している。
野菜、調味料などの素材選びから、加工方法、味、パッケージなど、多面的に開発を推進している。
基礎研究を担う研究開発室は、独自に開発した植物由来の乳酸菌Pne-12(ピーネ乳酸菌)をはじめとした乳酸菌に関する研究など、将来を見据えた取り組みを行っている。

 

(3)全国をカバーする生産・物流体制
(株)ピックルスコーポレーションを中心としたグループ会社で全国を網羅。漬物業界で唯一、製造、物流、開発、営業機能の全国ネットワークを構築している。このため全国展開している顧客の各店舗に同一の浅漬・キムチや惣菜の提供が可能であり、営業上の大きな訴求ポイントにもなっている。
製造においては、食品安全の規格であるFSSC22000やJFS-Bを導入し、より安全・安心な製品を供給する体制を整えている。

(同社資料より)

 

(4)販売先に密着した提案型営業
全国に展開する販売拠点では、それぞれの地域・販売先に密着した提案型営業を実施している。
主力の浅漬、キムチをはじめ、惣菜売場向けの商品ラインナップの充実を進め、営業担当が販売方法を提案し、売場づくり・漬物フェアの開催など、消費者への様々なアプローチを販売先とともに考えている。加えて販売先とのコミュニケーションから得た情報を社内にフィードバックし、消費者動向を商品開発等に役立てている。

 

(5)販売先のニーズに対応するベンダー機能
浅漬、キムチ、惣菜等を自社で製造するメーカーとしての機能と、自社工場で製造できない梅干等の商品を全国各地の漬物メーカーから仕入れて販売する卸売機能の二つの機能を有している。自社製品、他社商品を同時に提供することができるベンダー機能を活かし、販売先のニーズに合わせたトータルな売場づくりを提案することが可能である。

 

【1-4 ROE分析】

17/2期

18/2期

19/2期

20/2期

21/2期

22/2期

23/2期

ROE(%)

6.5

8.6

8.0

10.4

13.3

13.7

6.8

 売上高当期純利益率(%)

1.53

2.32

2.26

3.11

3.98

4.73

2.77

 総資産回転率(回)

2.02

1.90

1.88

1.79

1.83

1.73

1.57

 レバレッジ(倍)

2.10

1.95

1.89

1.88

1.83

1.67

1.55

 

*(株)インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

22年2月期まで3期連続で10%を超えていたが、23年2月期は日本企業が一般的に目標とすべきとされている8%を下回った。

2.2024年2月期第1四半期決算概要

【2-1 連結業績】

23/2期1Q

構成比

24/2期1Q

構成比

前期比

売上高

10,517

100.0%

11,485

100.0%

+9.2%

売上総利益

2,436

23.2%

2,499

21.8%

+2.6%

販管費

1,763

16.8%

1,748

15.2%

-0.9%

営業利益

672

6.4%

751

6.5%

+11.7%

経常利益

699

6.6%

789

6.9%

+12.8%

当期純利益

476

4.5%

526

4.6%

+10.4%

* 単位:百万円。23年2月期第1四半期は(株) ピックルスコーポレーション、24年2月期第1四半期は(株)ピックルスホールディングスの決算短信より。

 

増収増益
売上高は前年同期比9.2%増の114億85百万円。巣ごもり需要の反動減の影響が落ち着いたことに加え、コンビニエンスストア向けの売上が好調に推移した。
営業利益は同11.7%増の7億51百万円。調味料、包装材などの原材料価格の上昇で売上総利益率は1.4ポイント低下したが、物流費などは高騰したものの、販管費率が1.6ポイント低下した結果2桁の増益となった。

 

【2-2 財政状態】

◎財政状態

23年2月末

23年5月末

増減

23年2月末

23年5月末

増減

流動資産

11,249

12,498

+1,249

流動負債

7,257

8,039

+782

現預金

5,940

6,090

+150

仕入債務

2,922

3,931

+1,009

売上債権

4,251

5,237

+986

短期有利子負債

2,114

1,860

-254

たな卸資産

672

814

+142

固定負債

1,646

1,797

+151

固定資産

15,058

14,859

-199

長期有利子負債

539

687

+148

有形固定資産

13,387

13,230

-157

負債合計

8,904

9,837

+933

無形固定資産

463

425

-38

純資産

17,404

17,521

+117

投資その他

1,207

1,204

-3

負債・純資産合計

26,308

27,358

+1,050

資産合計

26,308

27,358

+1,050

自己資本比率

65.1%

63.0%

-2.1p

* 単位:百万円。有利子負債にはリース債務を含む。

 

*(株)インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

売上債権の増加等で総資産は前期末比10億円増の273億円。仕入債務の増加等で負債合計は同9億円増加し98億円。
利益剰余金の増加等で純資産は同1億円増加の175億円。
自己資本比率は前期末より2.1ポイント低下し63.0%。

 

3.2024年2月期業績予想

【連結業績予想】

主要損益計算書

23/2期

構成比

24/2期(予)

構成比

前期比

進捗率(1)

進捗率(2)

売上高

41,052

100.0%

42,200

100.0%

+2.8%

51.8%

27.2%

売上総利益

8,633

21.0%

8,704

20.6%

+0.8%

28.7%

販管費

7,094

17.3%

7,084

16.8%

-0.1%

24.7%

営業利益

1,538

3.7%

1,620

3.8%

+5.3%

63.9%

46.4%

経常利益

1,650

4.0%

1,755

4.2%

+6.3%

63.8%

45.0%

当期純利益

1,138

2.8%

1,150

2.7%

+1.0%

65.8%

45.7%

* 単位:百万円。進捗率(1)は対上期予想、進捗率(2)は対通期予想に対する第1四半期実績の進捗率。

 

業績予想に変更無し、増収増益を予想
業績予想に変更は無い。売上高は前期比2.8%増の422億円、営業利益は同5.3%増の16億20百万円の予想。
需要の回復や好調な惣菜製品の拡販などにより増収を見込む。原材料費等の高騰の影響は続くものの、製品の内容及び価格の見直しなどを実施し増益を計画している。
配当は普通配当22.00円/株を予定(前期は普通配当20.00円/株、記念配当2.00円/株の合計22.00円/株)。予想配当性向は24.1%。

4.今後の主な施策

※前回レポート再掲

 

【4-1 今後の戦略】

自社の強みを活かし、「製品開発強化」「販売エリア拡大」「販売先拡大」「新規事業」の4つの戦略を推進し業容拡大を図る。

 

(1)製品開発強化
①浅漬・キムチ
(市場環境)
食品新聞記事を基に同社が作成した漬物業界における売上ランキングをみると、連結売上高410億円の同社がトップで、以下、東海漬物234億円、秋本食品130億円、備後漬物118億円、山本食品工業101億円となり、売上高が100億円を超えるのは、この5社のみである。
漬物市場全体は2000年の4,800億円から2021年には3,160億円まで縮小し、企業数も減少が続き集約が進んでいる。
2位以下を大きく引き離す同社のシェアは13.0%(2021年)で、以前から掲げている15%達成を目指している。
食生活の変化や米飯の需要減等の影響はあるが、キムチ等の好調により市場全体としては下げ止まっている。漬物の生産量は2019年の742千tから2020年の777千t、2021年の816千tへと増加した。引き続き商品開発を強化し、シェアアップを図る。
(商品開発事例)
<キムチ>
主力の「ご飯がススムキムチ」は、2024年2月期の売上高は前期比2.8%増の79億86百万円を計画している。
節約志向が高まるなか、2022年11月、2023年2月から3月に20グラム増量キャンペーンを実施した。
<浅漬>
「毎日食べたい浅漬」をブランドコンセプトに、様々な浅漬をラインナップしている。

 

定番品 漬物本来の食シーンで活躍、個食から大容量品まで
旬のおいしさ 四季を味わう期間限定商品
おつまみ 伸長カテゴリー、おつまみ需要に対応
手軽に健康・発酵 発酵・減塩・食物繊維・たんぱく質が摂れる等、トレンドの健康を軸にした製品
創作野菜 調味料の代わりになるタレ、野菜スイーツ等
こだわり逸品 国産・保存料着色料不使用

 

②惣菜
(市場環境)
同社の資料(日本チェーンストア協会調べ)によると、2022年の惣菜市場(和・洋・中華惣菜、弁当、サンドウィッチ等の惣菜類)の市場規模は1兆2,117億円(2019年1兆508億円、2020年1兆575億円、2021年1兆1,663億円)。
単身世帯増加、高齢化、女性の社会進出、健康や栄養バランス等の食への関心の高まり、更には家事の簡便化や時間短縮ニーズを反映して拡大が続いている。
この分野では、フジッコ(売上高550億円、純利益21億円)、ケンコーマヨネーズ(売上高756億円、純利益12億円)、エバラ食品(売上高433億円、純利益27億円)といった上場企業や、デリア食品(キユーピーグループ)、イニシオフーズ(日清製粉グループ)といった上場企業の子会社等と競合している。

 

同社グループは後発ではあるが(2003年参入)、きめ細かい営業と、健康志向にマッチした野菜を使った惣菜にフォーカスする事で売上を伸ばしており、22/2期に初めて100億円を突破。23年2月期は減収となったが、24/2期は前期比2.6%増の106億円を計画している。

 

(商品開発事例)
今後は、「既存商品(ナムル、サラダ、ピリ辛胡瓜等)の見直し」「家飲み需要に合致した商品の開発」「健康志向を考慮したドレッシングを使用したサラダの開発」などに取り組む。

 

③新規分野
浅漬・キムチ、惣菜以外の新規分野における商品開発に注力している。

 

◎冷凍食品関連商品
冷凍ご飯がススムキムチ鍋を開発した。
パッケージの蓋にトップシールを使用した「トップシール惣菜」を量販店で展開している。

 

◎さつまいも関連商品
「あいすやきいも」を開発し、量販店、冷凍自販機、ECサイトで販売している。

 

◎LLガス置換惣菜
容器内を一旦真空にして不活性ガスに置き換えることで長期保存を可能にしたLLガス置換惣菜を開発した。
量販店で、切干大根、ひじき煮、卯の花、きんぴらの4商品についてテスト販売を行っている。

 

冷凍食品関連商品

 

さつまいも関連商品

 

LLガス置換惣菜

 

(同社資料より)

 

(2)販売エリア拡大
同社の地域別売上は、関東地区における売上が全体の50.3%を占めるが、西日本エリア(近畿、中国・四国、九州・沖縄)の構成比は約25%。
西日本エリアの地域別人口比率が約38%であることを考えると、販売拡大余地は大きく、西日本エリアでの販売拡大により、売上比率を30%以上に引き上げることを目標としている。
佐賀工場の稼働で生産余力のできた(株)ピックルスコーポレーション関西・広島工場や増築・改修が完了した(株)手柄食品の供給力を活かして、近畿地区、中国・四国地区、九州地区での生産・販売を強化する。
業界で唯一の全国ネットワークを有する強みを活かして市場開拓を進める。

 

(3)販売先拡大
コンビニエンスストアや量販店の漬物・惣菜売場や外食などでのシェアアップと共に、食料品を強化しているドラッグストアや量販店において、漬物売場・惣菜売場のみでなく、豆腐売場、納豆売場、たれ・ドレッシング売場、加工商品売場、冷凍食品売場など既存分野以外の売場への商品展開に注力する。
前述のように、冷凍焼きいもの販売を開始した。
既存売場以外への商品展開は、営業効率・物流効率の改善にもつながるため積極的に取り組んでいく。

 

(4)新規事業
①小売・外食事業
子会社(株)OHは、2020年10月に発酵・健康の複合施設「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!~」(埼玉県飯能市)において外食事業及び小売事業を開始した。
テイクアウトメニュー等の商品開発、体験教室の種類拡充・能仁寺との各種企画(座禅、写経)などイベントの企画・実施、ポップアップストアの出店のほか、ピックルスファームの野菜の販売も行っている。2023年2月期の実績は売上高2億55百万円、営業損失55百万円。今期は売上高3億5百万円、営業損失29百万円を見込んでおり、早期の黒字化を目指している。

 

②ECサイトリニューアル
これまで同社では、「ピーネオンラインショップ」と「八幡屋オンラインショップ」でECを展開していたが、2022年9月に「OH!!!オンラインストア」としてECサイトをリニューアル。
OH!!!のサイトと統合し施設紹介とEC機能を併せ持つ複合サイトとなった。
このリニューアルにより各ブランドを横断した購入が可能となった。

 

③農業事業
2022年3月、子会社(株)ピックルスファームを設立し、埼玉県内で農業事業を開始した。
所沢工場向けの小松菜やOH!!!向けのさつまいもを生産しており、安定調達や農業を通じた地域活性化を目指している。
具体的にはJGAP(※)に沿った運営、農家の収穫作業等の受託、定植・収穫体験の実施(社内研修・子ども食堂)、野菜残渣を利用した循環型農業の実現、生産した野菜の輸出などに取り組んでいく。
現在38名がJGAPの指導員資格を取得しており、今後も増員をめざす。
※JGAP:日本の法律や生産環境、社会環境を考慮し、農場運営、食品安全、環境保全、労働安全、人権・福祉の視点から適切な農場管理の基準を定めた認証。同社グループの工場でもJGAPで管理された原料野菜の仕入れを行っていく。

 

1年目の23年2月期は売上高9百万円、営業損失1百万円。今期24年2月期は売上高20百万円、営業利益2百万円と黒字転換を計画している。

 

【4-2 各種取り組み】

その他、生産面、SDGsなどについての取り組みは以下の通り。

 

①生産・管理など
野菜調達の見直し(リスク分散 地域毎の調達等)、不採算アイテムの見直し及びアイテムの集約化、容器の見直し(カップから袋)、AI導入などによる生産の機械化・省人化、グループ内の物流(在庫管理・仕分)・事務処理(受注処理、経費処理等)の効率化、製造技術(消費期限又は賞味期限延長)の研究などに取り組む。

 

②SDGs
◎環境
ピックルス関西の広島工場に太陽光発電を導入した。設置した効果を検証し他工場への展開も検討していく。
全社でLED電灯を100%導入に取り組んでいる。
ウニによる食害や空ウニ発生の防止に向け、野菜残さを餌としたウニの養殖について、焼津水産高校、山梨大学と共同研究を開始した。

 

◎安全・安心
食品マネジメントシステムの導入・維持継続に取り組んでいる。

 

◎従業員
従業員の職場環境改善のため、健康経営を推進していく。
23年2月には健康経営宣言を掲げた。
初年度は、「健康診断受診率100%」「特定保健指導実施率向上」「食生活改善」「運動機会の増進・習慣定着」「コミュニケーションの促進」などに取り組んでいく。

 

【4-3 中期経営目標】

23/2期

構成比

24/2期

(計画)

構成比

25/2期

(計画)

構成比

26/2期

(計画)

構成比

CAGR

売上高

41,052

100.0%

42,200

100.0%

42,500

100.0%

43,000

100.0%

+1.6%

売上総利益

8,633

21.0%

8,704

20.6%

8,800

20.7%

8,950

20.8%

+1.2%

販管費

7,094

17.3%

7,084

16.8%

7,100

16.7%

7,150

16.6%

+0.3%

営業利益

1,538

3.7%

1,620

3.8%

1,700

4.0%

1,800

4.2%

+5.4%

経常利益

1,650

4.0%

1,755

4.2%

1,830

4.3%

1,930

4.5%

+5.4%

当期純利益

1,138

2.8%

1,150

2.7%

1,160

2.7%

1,230

2.9%

+2.6%

* 単位:百万円。CAGRは23/2期から26/2期までの年平均成長率。(株)インベストメントブリッジが計算。

 

23/2期

26/2期

(計画)

CAGR

浅漬・キムチ

16,478

17,058

+1.2%

惣菜

10,411

10,941

+1.7%

ふる漬

466

488

+1.6%

商品

13,696

14,512

+2.0%

売上高

41,052

43,000

+1.6%

* 単位:百万円。CAGRは23/2期から26/2期までの年平均成長率。(株)インベストメントブリッジが計算。

 

21/2期

22/2期

23/2期

24/2期

(計画)

25/2期

(計画)

26/2期

(計画)

設備投資

1,409

718

883

1,700

3,500

3,700

減価償却

931

963

980

968

1,226

1,252

* 単位:百万円

 

今後3年間で89億円の設備投資を計画している。
主なものは、「24/2期 設備更新等」「25/2期 キムチ専用工場(関東)、設備更新等」「26/2期 工場新築(関西)、設備更新等」。
関東(茨城県)のキムチ専用工場は今年夏頃着工の予定。省人化のための機械化投資を強化する。
関西に新工場は、北陸地方を含めた関西地区における生産力強化のための新たな製造拠点として計画している。
M&Aに関しては、調味料、冷凍食品など、幅広い対象を視野に入れて検討を進める。

 

5.今後の注目点

24年2月期第1四半期は、巣ごもり需要の反動減収束に伴い「9.2%増収、11.7%営業増益」となった。今上期予想は「4.1%増収、0.4%営業増益」、通期予想は「2.8%増収、5.3%営業増益」としていることから、増収率・増益率とも上回っており、24年2月期は順調な立ち上がりとなったようだ。
今期の売上高・営業利益予想はコロナ禍前の20/2期とほぼ同水準となっている。通常の巡航速度に戻った同社の、「製品開発強化」「販売エリア拡大」「販売先拡大」「新規事業」の4つの戦略推進による今後の成長に注目したい。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態 監査役設置会社
取締役 8名、うち社外3名
監査役 4名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2023年6月2日)
基本的な考え方
当社は、法律と社会倫理に基づいて行動し、経営方針を実現し、継続的な成長をするため、コーポレート・ガバナンスが経営の重要課題であると考えております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由(抜粋)>
【原則 1-4.政策保有株式】
当社は、上場株式については保有しないことを原則としております。しかしながら、取引関係の維持・強化等経営上の合理的な目的に基づき保有する場合には、その目的に応じた保有であることを定期的に確認しております。
なお、個別の政策保有株式の保有の適否の検証及びその内容の開示方法については、今後、検討してまいります。
政策保有株式に係る議決権行使については個別に判断いたしますが、当社及び投資先企業の中長期的な企業価値向上に資するものか等を総合的に判断し適切に行使しております。

 

【補充原則2-4①】
当社グループは、年齢、国籍、性別等を区別することなく、意欲と能力のある従業員を管理職(部長職以上)へ登用しております。管理職の登用について、管理職に占める女性の割合は8.3%であり、今後は、増加させてまいります。なお、当社は株式会社ピックルスコーポレーションの単独株式移転により設立されており、当社は実質的に株式会社ピックルスコーポレーションの一部組織を移転したものであることか ら、上記の管理職に占める女性の割合については、2022年2月28日時点の株式会社ピックルスコーポレーションの値を基準としております。外国人については従業員に占める割合が小さいため目標を定めておりません。中途採用者については、経験・能力等を総合的に判断し、管理職に登用しているため、目標を定めておりません。
社員一人ひとりの能力向上を目指し、自ら学ぶ姿勢の醸成に努めており、自己啓発支援制度、資格取得報奨金制度などを導入しております。また、働きやすい職場環境作りを重要な経営課題と認識しており、リフレッシュ休暇、ノー残業デー、時差出勤などを導入しております。

 

【補充原則3-1③】
当社は、サステナビリティについて、環境、安全・安心などを重要課題と認識し、取り組みを行っております。また、人的資本への投資は、教育制度、従業員の働きやすさなどに、知的財産への投資は、乳酸菌の研究などを行っております。これらはホームページのサステナビリティサイトや、ESGレポート、IR資料を通じで公表しております。
国際的に確立された開示の枠組みであるTCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示について、今後検討してまいります。 

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
【原則 5-1.株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、株主・投資家の皆様が当社を正しく理解できるよう、透明性、公平性、継続性を基本とした迅速な情報開示に努めております。
金融商品取引法などの関係諸法令及び金融商品取引所の定める適時開示規則に基づく情報開示を行うとともに、当社の理解のために有効と思われる情報についても適切な方法により積極的な情報開示に努めております。
具体的には、決算説明会を年2回、個人投資家向け説明会についても適宜実施しており、個別取材にも可能な限り代表取締役社長及び広報・IR室が対応しております。

 

 

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