Jトラスト株式会社(8508 東証2 部)
海外中心の収益構造へシフト、韓国金融事業では黒字化を達成
ベーシックレポート
㈱スクアード・リサーチ&コンサルティング 奥山 智子/坂本 貞夫
韓国・東南アジアでは「JT」としてメジャーな独立系金融グループ
J トラスト㈱は武富士のスポンサー、KC カード買収などで知られる独立系の金融グループである。現在の主要事業は①信用保証を中心とする国内金融事業、②韓国貯蓄銀行事業、③インドネシア商業銀行事業の3 つである。日本での知名度は高いとは言い難いが、韓国やインドネシアを中心とする東南アジア地域では「JT」として広く浸透している。2008 年の現代表取締役の藤澤信義氏によるTOB 後、M&A により急速に事業規模を拡大、約7 年で総資産は約122 億円から約5,407億円へ(約44 倍)、営業収益は約32 億円から約633 億円(約20 倍)へと急増した。TOB 後数年間は、国内M&A を中心にアセットを積み上げたが、国内事業では当初より銀行との提携ビジネス(信用保証等)を志向しており、中長期的にはアジアでリテール銀行事業を展開するというビジョンのもとM&A戦略を推進してきた。2016年3 月期に入り、国内から韓国及び東南アジア金融事業へのシフトが鮮明となり、当面は海外2 事業が同社の事業を牽引していくことになる。
インドネシア事業の黒字化、韓国での貸出金の積み上げが課題
2016 年3 月期第1 四半期の営業収益は195 億円(前年同期比約22%増)、計画進捗率約24%とまずまずの滑り出しとなった。対して営業利益はマイナス約19 億円の赤字と出遅れた。赤字を計上したのは、J トラストインドネシア銀行であり、IFRS 任意適用開始遅れにより、貸倒引当金の追加計上(19 億円)等が本四半期に取り込まれたのが原因だ。但し、J トラストインドネシア銀行はかつて破綻行であったという経緯から、収益構造の面で課題は多く、現在急ピッチで事業再建を進めている。
国内金融事業はアパートローン保証等が堅調に伸び縮小均衡ながらも黒字を維持。韓国金融事業は、本四半期に入り黒字化を達成しており、通期では貸出金積み増しによる増収増益に期待がかかる。韓国金融事業については、利益体質への転換が完了したと考えると、貸出金残高をどこまで伸ばせるか、シェア拡大を図れるかが、今期のみならず中長期的な視点からも、同事業の行方を握る要因となる。
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