エス・エム・エス(2175 東証一部)
業績は堅調さを維持。来期以降も高成長を持続することが想定される
業種:サービス業
アナリスト:宮永雅好
◆ インターネットを使った医療介護業界専門の人材紹介トップ企業
・エス・エム・エス(以下「同社」)の事業は医療分野、介護分野とアクティブ シニア分野に分けられるが、現在は看護師・介護士向けの医療人材紹 介業が主力で、特に看護師の人材紹介がコア事業。
・看護師の就業人口は約140 万人で、そのうち約1 割が転職すると考 えると、14 万人の転職市場がある。同社の看護師向け人材紹介成約 件数は年間約1 万件で、市場シェアは約7%と推定される。
◆ 2013 年3 月決算は高成長を持続へ
・第3Q までの業績は会社予想比では、売上・営業利益は下回るもの の、経常利益・当期純利益では上回る実績であり、最終的な業績は、 ほぼ会社予想に近い数字を予想する。
・セグメント別でみると、介護分野が特に好調であり、第3 四半期累 計実績で前年比+25.9%と大きく伸長しており、通期でも+25.5% と高い伸びを予想する。特に介護施設向けのASP ソフトウェア「カ イポケビズ」の販売が好調で、第3Q 時点での売上高は266 百万円 と対前年比で+82.3%となっている。
・人材紹介ビジネスにおける生産性(コンサルタント1 人当り成約 件数)も向上しており、介護分野では第3 四半期累計実績で前年同 期月間4.5 件から5.5 件に増加している。
◆ 中長期の業績予想を上方修正
・今後も以下の3 点に注目する。
① 現在の主力事業である看護師の人材紹介事業の成長性
② 介護事業の成長性と今後の戦略
③ 新規事業の拡大と収益性
・①については、当センターでは来期以降は会員数と紹介件数の伸び は、12~14%程度と想定。②の介護事業については、新規事業のASP 事業(カイポケビズ)が低価格を武器に売上を伸ばしており、今後 の成長性を12~15%と上方修正した。
・最終的な中期予想は、今後3 年間でみて、10%台の高い成長を持続す るものと考える。
◆ 今後の株価は成長性の高さと持続力にかかっている
・同社の上場来の株主パフォーマンスは年率で42.6%と極めて高い 実績を残している。しかしながら、配当還元は少ないことから、今 後の成長性の評価が非常に重要になる。
・直近(2/28)の株価バリュエーションは、当センターの今期予想PER で約18.1 倍、予想PBR は4.35 倍となっており、現在の市場環境、 今後の利益予想から見るとほぼ妥当なバリュエーション ・今後は増益によってさらにキャッシュは増加することが想定され、 現状の現預金(2012/12 月末で約22 億円)の水準から見て、配当 性向の引き上げが期待される。