不安定な相場

2018/10/26

▣ 再び不安定な動き

内外株式市場は再び不安定な動きになっています。10月に入り、NYダウは過去最高値を更新、国内株も日経平均株価がおよそ27年ぶりの高値を付けるなど、リスクオン(選好)が強まりましたが、米中の貿易摩擦や過熱感への警戒が広がる中、米長期金利の大幅上昇をきっかけに、内外の株価は大きく下落しました。15日には一旦下げ止まりましたが、24日にはNYダウは608ドル安、日経平均株価も25日には822円安と、大幅な下落となりました(図表1、2)。

米中の貿易摩擦は小康状態ながらも、関税引き上げによる中国経済の先行き不安や米企業業績への悪影響への懸念に加え、米国の中間選挙やジャーナリスト殺害をめぐるサウジアラビア問題などの不透明要因が、買いを手控えさせるとともに、恐怖指数とも呼ばれるVIX指数(米国株の価格変動リスクの目安であるボラティリティを指数化)が急上昇し、投資家のリスクを圧縮する動きが広がったことなどが下落の要因として挙げられます。国内株については、通貨安誘導を封じる「為替条項」への警戒や、来年10月に予定されている消費税率引き上げへの懸念も投資家心理を悪化させている模様です。

▣ 来期の米企業業績は鈍化も増益

VIX指数は高止まりとはいえ25ポイント前後、日本版VIX指数である日経平均VI(ボラティリティ・インデックス)は28ポイント強と、2月のVIXショック時(米長期金利の急上昇を警戒し米株が急落、VIX指数も急上昇し、投資家のリスクを圧縮する動きが株価の下落を増幅)をまだ下回っており、リスク圧縮の動きは2月ほどは強くないとみられます。

また、ドル円は112円前後で一進一退の動きになっており、リスク回避からの円買いが強まり、110円台から106円台にドル円が下落した2月前半の動きとは大きく異なります。

米企業業績は、今期については20%前後の増益が見込まれ好調、来期は法人税引き下げによる利益押し上げ効果が薄れることなどから10%程度と鈍化する見込みですが、それでもまだ高い水準です。

▣ 米中間選挙と米中首脳会談

26日発表の米国の7-9月期実質国内総生産(GDP)は前期からは減速も、3%程度の成長となれば、やや安心感が戻る可能性があります。他方、11月6日の米中間選挙では、現在は上院、下院とも共和党が過半数を占めていますが、下院については民主党が過半数を奪取するとの観測が強まっています。仮に、上院と下院でねじれが生じた場合には、中間所得層向けの新たな減税など、トランプ大統領の政策が実現しにくくなるとの懸念がくすぶります。もっとも、市場はある程度織り込み済みとみられます。

また、11月29日開催と報じられている米中首脳会談を契機に、貿易摩擦解消に向けた動きが広がると、買い安心感が広がる可能性があります。

▣ 割安感が強まる中、日銀は買い支え

国内株については、日銀が連日のように指数連動型上場投資信託(ETF)の買入れを実施し、底割れを防いでいることも、安心材料の一つです(図表3)。日銀は10月に入り、5日から15日まで6営業日連続、19日から25日まで5営業日連続で、ETFを買い入れました。

ちなみに2月の急落時には、日経平均株価は1月高値から12.31%下落しました。10月も2日から26日までで12.72%下落し、そろそろ底入れしてもよさそうです。ドル円も企業の想定為替レートである107円40銭程度より、円安水準で推移しています。日経平均株価の予想PER(株価収益率)は25日には12.37倍と、2014年以降の最低水準12.22倍に迫っており、割安感も強まっています(図表4)。もっとも、2月中旬には一旦持ち直しましたが、3月下旬まで下げ基調が続いたことから、今後も神経質な展開が予想されます。

とはいえ、米長期金利は、今年の2月や10月上旬とは違い、リスク選好が強まると金利上昇(債券価格下落)、後退すると金利低下(同上昇)する、債券価格と株価が逆相関の動きに戻っています。不安定な相場が続くと、債券市場に資金が退避することも想定されます(図表5)。他方、安定した分配金利回りが期待できるJリートも底堅く推移しています(図表6)。国内債はマイナス金利政策で利回り面での魅力には欠けますが、資金の逃避先として、足元では買いが優勢になっています。債券やJリートなどを組み入れた分散投資なども検討したいところです。

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

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