マーケットは小休止入りの状況

2018/05/30

前回の4月末のレポートにおいて「コンセンサスとは逆を行くマーケット」というタイトルでコメントしたが、5月に入り日経平均は年初来でプラスとなり久々に23000円台を回復。しかしながら、この1週間は111円台まで進んだ為替が急激に円高になることによって調整を余儀なくされている。さて、遅くなったが4月のポートフォリオの状況ならびに近況について記したい。

 

4月のマーケットは日米市場ともに反発する展開となった。

米国市場は3か月ぶりに反発。3月の雇用統計は+10.3万人と予想+18万人を下回ったものの影響は限定的。中国の習近平主席が自動車などの関税を引き下げて輸入を拡大する方針を示したことで買い優勢。トランプ政権によるシリアへの軍事行動の判断先送りも安心感。ただし月末にかけて長期金利が4年3か月ぶりに3%台に乗せたため手控えムード。好業績のキャタピラーが決算説明会で1-3月期の業績がピークと述べたことをきっかけに4/24のNYダウは424ドル安と急落、4月のNYダウは24163ドルと前月より60ドル上昇し月間騰落率は+0.2%。ナスダックは7066となり3ポイント上昇の+0.0%となった。

東京市場も3か月ぶりに大幅反発。米中貿易摩擦を巡る警戒感の後退で海外投資家を中心に買い優勢。トランプ大統領が米国のTPPへの復帰条件の検討を始めたこともプラスに。為替も3月末の106円台から109円台の円安となったことも支援材料。米政府高官と金正恩氏が会談したとのニュースで日経平均は1か月半ぶりに22000円台を回復。売買代金は2.4兆円程度で推移。為替は先月末の106.25円から今月末は109.30円へ。4月の日経平均は22467円で取引を終え、3月末の21454円から1013円上昇し月間騰落率は+4.7%、Topixは+3.6%。一方、小型株市場はジャスダック平均が-1.0%、マザーズ指数は-5.3%となった。

太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」 における4月のパフォーマンスは+4.3%となり、年初来+0.5%、累計では+168.7%(3月末+157.7%)と前進。4月末時点のポートフォリオの株式比率は81%で25銘柄を保有(3月末は81%で25銘柄を保有)。株式部分の含み益は+32.1%(3月末は+25.0%)。81%のうち現物株のウェートは36%、日経レバレッジETFの保有比率30%の実質ロング比率は60%でロングは合計96%。これに対し日経ダブルインバースETFの保有比率10%の実質ロング比率は-20%、純金ETF5%は株式とは逆の動きをするため、これらのロング比率は-25%。トータルでは71%のロングポジションである。3月末の71%から変わらず。

4月は日米市場ともようやく落ち着きを取り戻して底入れ感が出た。米中貿易戦争への過度な悲観論の後退、シリアや北朝鮮情勢の沈静化など地政学リスクも減少したことでリスクオンの展開となった。米国ではついに長期金利が3%を突破したが、名目金利から期待インフレ率を差し引いた実質金利はあまり上昇しておらず、2月の時のような大きな懸念ではなくなった。ただし、キャタピラーの決算発表で、さも米国企業の業績が1-3月でピークアウトするかのような捉えられ方をされたためNYダウはやや足踏みの様相を見せた。

5月に入っても日経平均は続伸し久々に23000円を回復した。しかし、新たに出てきた米国による自動車関税問題や米朝首脳会談の中止で急速に円高が進んだことが痛手となった。輸入車に最大25%の関税をかけるのは日米産業界およびトランプ政権内からの反対もあり非現実的だと思われる。トランプ大統領のパフォーマンスが多分に反映されており、落としどころはさほど大きな影響が出ない程度に収まると我々はみている。また、米朝会談は交渉継続となっており、延期の形であっても実現される可能性が高い。したがって、不透明要因が払拭されれば早急な買い戻しが期待される。ただし、新たに噴出しているイタリアやスペインの政治リスクが世界のマーケットを揺さぶっているが、政治リスクだけでマーケットが総崩れになるほどヤワではない。4月から5月にかけての上昇の利益確定売りの恰好の口実が出てきた形と言える。

日本企業の決算発表は終わったが、19/3期は4社に1社が過去最高益予想となっており、ファンダメンタルズは非常に底堅い。円高前提の予想のため、今以上の円安になれば上方修正の機運が高まる。日経平均のEPSは5/9に1722円とアベノミクス相場で最高値に達した後、5/29現在では1664円にまで下がっているが、これは18/3期の米国の法人減税などの特別利益のかさ上げの反動が出ているためであり、実質ベースでは増益となる可能性が高い。現在の相場は外部要因に影響を受けながらも、個別物色意欲の強いファンダメンタルズ相場となっている。引き続き、ボトムアップアプローチによる銘柄選択で運用資産を積み上げていきたい。

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