気づいた時には、遅すぎる
桜満開で春一杯 ―。
そう言いたくなるような季節になった。桜の木の下でシートを敷いて宴会をしなくとも、あちこちですばらしい桜の花が鑑賞できる。その存在感はやはり特別のような気がする。
さて、3月のモデルポートフォリオならびに最近の動向についてのご報告である。3月のマーケットは日米市場とも高値更新の展開となった。
米国市場は6ヵ月連続の続伸。NYダウは3/15には13252ドルとなり07/12/31以来4年2ヶ月ぶりの高値をつけた。ギリシャの債務減免に関する合意、FRBによるゼロ金利政策の継続、相次ぐ米景気指標の好調などを受け、高値警戒の利益確定をこなしながらも買い意欲は旺盛だった。しかしながら、下旬に入ると中国や欧州経済に対する先行き懸念が高まり、上値が重くなる展開に。3月のダウは13212ドルで取引を終え260ドル上昇し月間の騰落率は+2.0%。ナスダックは3091ドルとなり125ドル上昇の+4.2%となった。
日本市場も4ヵ月連続の上昇となり、3/27に日経平均は昨年3/11の水準である10254円をやや上回るところまで回復。ギリシャ問題の後退や好調な米景気指標に加えて、為替が対ドルで84円台、対ユーロで110円台と一段と円安に振れたことで日本の企業業績に対する期待値が高まった。売買代金は連日1兆円超えを維持し、市場参加者の売買は活発だった。3月の日経平均は360円上昇の10083円にて終了し月間騰落率は+3.7%、Topixは+2.2%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が+4.4%と好調だったのに対してマザーズ指数は-0.2%となった。
太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」における3月のモデルポートフォリオのパフォーマンスは+0.3%となった。累計パフォーマンスでは+53.6%(2月末+53.2%)となり、月間ベースでは先月に引き続いてわずかながらも最高値を更新。ポートフォリオ運用においては、1月末の株式投資ウェート33%を2月末には60%にまで高めて積極的な運用姿勢に転換し、新興銘柄パッケージ投資でパフォーマンス追求を一段と強化するとともに、先物のヘッジ準備開始で相場全体の下落にも対応できる体制を整えた。
そして、4月 ―。
「これは歴史的大相場が始まったのではないですか?」と3月に複数のメディアからの取材を受けていたのだが、そんな大げさなことが起こる条件は全く整っておらず、「皆が強気になった時こそ、危ないのではないですか」とコメントした通りの展開である。日経平均は今や9500円台。油断していると、すぐに9000円くらいまで下がりそうな雰囲気である。
先週、先物ヘッジ戦略が発動し、個別保有銘柄の逆指値が次々とヒットしたため、今やネットロング比率はたった8%になっている。しばらくは運用資産が増えないストラクチャーになってしまったのは残念だが、マーケットには逆らえない。この調整局面を味方につける運用戦略を実践していこう。
「気づいた時には、遅すぎる」 ― というのがマーケットがいつも教えてくれる教訓である。だから、新たな局面に来るとすぐに行動できなくなる。水面下でいつも事前に準備していなければ、全くパフォーマンスが積み上がらない相場展開に完全に移行していることを今回も実感した。この3年間、同じことばかりの繰り返しであるが、逆にわかりやすいといえばとてもわかりやすいと言える。
さて、あなたは事前準備してマーケットに参加しているだろうか?