3月11日妥当レンジ 16,550円~17,900円
目先は円安が株価押し上げるが、そこは売り時と考える

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<ECBの利下げ打ち止めから円安に>
■10日のECB理事会後に円安トレンドが強まっている。ドラギ総裁の「一段の金利引き下げが必要になるとは思わない」という発言からは、ECBは金利政策から量的緩和に軸足を移しつつあることが伺える。原油下げ止まり感からドルが買われる中で、結果的に金利引き下げ余地のある円が売られる展開となっている。欧米株式市場の上昇、円安、財政出動への期待などから日本株は14日に17,200円台を奪還している。
■今回のECBの追加緩和は、預金ファシリティ金利の引き下げ(▲0.3%→▲0.4%)、量的緩和(国債等の買入額を600億ユーロから800億ユーロへ)、社債を買い入れ対象に追加、国際機関債の1銘柄1発行体当りの買入上限を33%→50%に引上げ、貸出増加に応じて銀行への長期資金をマイナス金利で供給、という内容。量的緩和の余地を広げると同時に、銀行の収益・信用リスクに配慮したものになっている。
■今週は、日銀金融政策決定会合、米FOMCが予定されており、政策変更はないものと市場は予想しているが、黒田総裁、イエレン議長の会見ならびにFRBのドットチャート(FF金利誘導目標の分布)発表に注目が集まると考えられる。

 

<コンセンサス予想EPSは4週連続で全期間マイナス>
■3月11日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、4週連続で全期間においてマイナスとなった。前週比で予想EPSがプラスになった銘柄の比率は、やや回復したものの依然として低い水準に留まっている。
■円安トレンドが目先的には継続する様相があり、(現在の予想EPSからみた)株価水準にはやや割安感があることから今週はやや強含みで株価が推移することも考えられる。ただし、企業業績見通しの低下トレンドは続いていることを踏まえれば、上昇したところが利益確定ポイントと考える。
■再び円高トレンドに向かう切っ掛けは、日本の経常収支拡大、中国の経済減速感の強まり、日銀の利下げの限界(リスク)が意識される局面に加えて、英国のEU離脱の可能性が強まった場合、米大統領選でトランプ氏が共和党の候補者となった場合などが挙げられる。

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

16,550円~17,900円 (前回16,700円~18,050円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(3月11日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(3月11日)

今期予想EPS 961.87 (前週 965.89円)
来期予想EPS 1094.79 (前週 1098.60円)
再来期予想EPS 1180.76 (前週 1187.48円)
今期予想PER 17.61 (前週 17.62倍)
来期予想PER 15.47 (前週 15.49倍)
再来期予想PER 14.35 (前週 14.33倍)
来期予想PBR 1.08 (前週 1.09倍)
来期予想ROE 6.99% 前週 7.04%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.85% (前週 6.91%)

*3月11 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

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まだレンジ中位よりやや下の水準で割安感が残るが・・・・。

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来期予想ベースのプラス企業比率は、 40.3%→33.3%→34.9%→30.3%→40.2%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、40.0%→38.8%→31.9%→26.8%→38.6%。

やや回復したがまだ低位

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

 

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下方トレンドはまだ強い

 

tiw1
単純にデータだけを手掛かりにすればまだ「買いシグナル」は点灯中であるが・・・・。

 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。