4月17日妥当レンジ 18,900円~20,400円
為替と海外市場を起点とする上下動の激しい展開が続く
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
<一転大きく切り返すが>
■21日の日本株市場は、海外市場の高騰と、ドル高(円安)を受けて一転大きく切り返し、TOPIXは年初来最高値を付けた。中国人民銀行が預金準備率を引き下げるなど、金融緩和策に踏み切ったことや、IBMなど米国企業の決算内容が良かったことが好感された。
■ギリシャ情勢の緊迫化からユーロ安が続いているものの、金融市場は好悪材料に一喜一憂し易いやや不安定な状態にある。国内の材料は乏しく、企業業績(新年度会社計画)も投資家の期待値に届かないと予想される中で、海外市場の影響を受けやすい相場展開が続きそうだ。
■3月期決算企業の本決算発表が始まったが、新年度の会社計画が市場の期待に届かないケースが多そうだ。自動車メーカーについては、懐疑的なオピニオンが多いが、24日のマツダ(7261)、三菱自動車(7211)を皮切りに決算発表が始まる。ゴールデンウイーク前の山場として、市場の期待にどれだけミートしているかに注目が集まるだろう。
<コンセンサス予想EPSは、今期・来期がマイナス>
■4月17日時点の、IFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、今期・来期ベースがマイナスとなった。今期については14日に下方修正を発表した日揮(1963)が大きく影響した。前週と比較してプラスになった企業数は、今期・来期ベースでマイナスとなった企業数を下回った。
■今回の妥当レンジは上方にシフト。ベースとなっている日経新聞のデータのブレが影響している可能性がある。また、これからの一ヵ月間は、決算前と決算後のデータが混在しているので、予想EPSに関しては3月末のデータを基準に変化を確認していただきたい。
■2015年の年末までを見通せば、日経平均21,000円台は割高ではないが、目先の上昇ピッチが速過ぎるようであれば警戒が必要と考える。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
18,900円~20,400円 | (前回 18,700円~20,150円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(4月17日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(4月17日)
今期予想EPS | 919.80円 | (前週 924.32円) |
来期予想EPS | 1055.37円 | (前週 1056.46円) |
再来期予想EPS | 1160.38円 | (前週 1160.18円) |
今期予想PER | 21.37倍 | (前週 21.54倍) |
来期予想PER | 18.62倍 | (前週 18.84倍) |
再来期予想PER | 16.94倍 | (前週 17.16倍) |
来期予想PBR | 1.44倍 | (前週 1.44倍) |
来期予想ROE | 7.76% | (前週 7.62%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
6.74% | (前週 6.59%) |
*4月17日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
妥当レンジが上方シフトした要因は、BPS(一株純資産)が減少したことにあります。
来期予想ベースのプラス企業比率は、51.9%→54.4%→47.5%→57.1%→49.4%
再来期予想ベースのプラス企業比率は、54.5%→49.3%→48.1%→55.6%→51.1%。
前年の同時期と比べてややトレンド的には弱い感じです。
[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |