注目が集まる中国の「三中全会」

2013/10/04

10月1日から約一週間、中国上海株市場は中国の建国記念日にあたる国慶節で長いお休みに入っています。連休前までの上海総合指数は、中国経済指標の改善による景気の持ち直し基調と、「上海自由貿易試験区」などの政策期待を背景に、7月末あたりから比較的順調に値を戻してきました。

上海株市場の取引再開は来週8日からですが、その後のスケジュールを見てみると、中国では注目のイベントが控えています。例えば、18日に7-9月期のGDPが発表されるほか、来月(11月)には「三中全会」の開催などが予定されています。

三中全会とは、中国共産党の中央委員会による三回目の全体会議のことです。より正確には「第18期中国共産党中央委員会第三回全体会議」と長くなるため、三中全会と省略したくなるのも頷けます。現在の「習近平・李克強」体制は第18期目ですが、昨年の共産党大会で現体制が内定した昨年11月に第一回目の会議が開かれ、今年の2月に第二回目、そして今回が三回目と言うわけです。

三中全会が注目される理由ですが、現体制がスタートしてからちょうど1年になることや、過去を振り返ると、三中全会において重要な決定がなされたことが多いためです。1978年(第11期)では「改革開放路線」が打ち出されたほか、1993年(第14期)では「社会主義市場経済」の導入が決定されています。また、今回の三中全会が始まるまでに、以前にもこのコラムでも採り上げた、現在全国で調査中の地方政府の債務状況の結果が出てくる可能性もあります。

もっとも、すでに習近平主席が「中国夢」というテーマを掲げ、李克強首相も「リコノミクス」と呼ばれる経済政策の運営方針を進めようとしおり、冒頭でも触れた上海自由貿易試験区はその試金石とされています。そのため、今回の三中全会では、過去に見られたような大きな政策の方針転換はないと思われます。

むしろ、今回の三中全会は、現体制が規制緩和や構造改革を推進していく上で障害とされている、金融システムや税制、戸籍制度、土地改革、行政機構改革などの課題に深く踏み込み、新たな経済成長へのストーリーを描くための具体的な材料が出てくるかが注目点となりそうです。

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