一時150円をうかがう展開となったドル円相場のテクニカル分析

2025/07/17

一時150円をうかがう展開となったドル円相場のテクニカル分析

        • ドル円は200日移動平均線を下回っており、週足の一目均衡表はドル安・円高のトレンドを示唆。
        • 短期では上値を試しやすいものの149円70銭台や150円70銭台は上値抑制水準になりやすい。
        • 引き続き140円から150円のレンジ推移が見込まれるも、再度150円を試す展開となるかに注目。

ドル円は200日移動平均線を下回っており、週足の一目均衡表はドル安・円高のトレンドを示唆

ドル円は7月15日と16日の取引時間中に一時149円台に乗せ、150円をうかがう展開となりました。そこで、今回のレポートではテクニカル分析を使ってドル円相場の方向性について考えます。具体的には、相場のトレンド判断に適した「トレンド系チャート」と、相場の過熱感の判断に適した「オシレーター系チャート」を用います。はじめに前者の代表格である「移動平均線」、「一目均衡表」、「パラボリック・システム」から確認していきます。

まず、移動平均線をみると、200日線は5月以降、149円50銭台から80銭台で横ばいに推移するなか、ドル円は2月中旬に同線をドル安・円高方向に下抜けた後、依然回復できていない状況となっています。次に週足の一目均衡表に目を向けると、三役逆転(週足が雲の下に位置、転換線が基準線の下に位置、遅行線が26週前の週足の下に位置)が確認されており(図表1)、「ドル安・円高」トレンドが示唆されています。

短期では上値を試しやすいものの149円70銭台や150円70銭台は上値抑制水準になりやすい

200日移動平均線は、7月16日時点で149円71銭水準に位置しているため、目先はこの辺りがドルの上値抵抗線として意識されやすいと思われます。また、週足の一目均衡表では、雲(図表1で先行スパン1と先行スパン2に挟まれた領域)の下限(先行スパン2)が、7月11日時点で150円77銭水準に位置しているため、ここもドル円の上値をおさえる水準になりやすいと考えられます。

一方、パラボリック・システムにおいて、日足ベースの短期的な動きをみると、「ドル高・円安」トレンドが確認されます(図表2)。このチャートでは、ドル円の日足がSAR(ストップ・アンド・リバース)に接した時点でトレンド転換と判断されます。SARは7月16日時点で144円台前半に位置しているため、仮にドル円が本日の取引時間中に144円台まで一気にドル安・円高が進めば、ドル安・円高へのトレンド転換の可能性が高まります。

引き続き140円から150円のレンジ推移が見込まれるも、再度150円を試す展開となるかに注目

次に日足のオシレーター系チャートで短期的な相場の過熱感を確認しておきます。「RSI(相対力指数)」は7月16日時点で61.5%水準にあり、ドルが買われ過ぎとされる70%水準を超えていません。RSIよりも動きが速いとされる「ウィリアムズのR」は、同日時点で-20%水準にあり、ドルが買われ過ぎとされる-20%割れが警戒される水準です。したがって、ドル高の過熱感は強くないものの、ごく短期的なドル安調整は起こり得ると判断されます。

ドル円は、2023年12月28日、2024年9月16日、2025年4月22日の取引時間中に、それぞれ順に140円25銭水準、139円58銭水準、139円89銭水準の安値を一時つけており、140円近辺は比較的強いドルの下値支持線となっている模様です。ドル円は引き続き、140円から150円を中心とするレンジ相場が見込まれますが、目先は再び150円をうかがう展開になるかが注目されます。

(2025年7月17日)

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
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