問題の根源は中国の過剰工業力、米関税はその副産物
~トランプ政権は日本をなめてはいない~
【ストラテジーブレティン(383号)】
世界的高関税の時代?
世界中がトランプ氏の関税大幅引き上げ騒動に振り回されている。米国で提起されている関税は、①一律全世界10%に、②各国毎に上乗せされる相互関税、③鉄鋼・アルミ・自動車などの品目ごとの関税、の3つから構成されている。輸入関税は、4/2時点では平均22%と計算され100年振りの高率関税時代に入ったと議論されている。輸入品に対する平均関税率は、1900年代初頭は20%を超えていたが第二次世界大戦の後急低下し、1980年代以降は2~3%の低関税時代が続いてきたが、そのような時代は終わったようである。
けんか腰のトランプ関税騒動
それにしてもトランプ政権の関税政策は、極めて恣意的で一貫性がない。極端なのは米国の貿易収支が黒字のブラジルに対して50%の相互関税を課すと発表したことである。その根拠としてトランプ氏と盟友関係にあったボルソナロ前大統領に対する起訴(「魔女狩り」だと非難)、米ソーシャルメディア企業への規制を挙げている。甚だしい内政干渉である。このけんか腰の米国による貿易規制の動きを、中国は国際的通商体制を壊すものと批判し、ASEANやBRICS諸国、EU等を巡って自らを自由貿易体制の擁護者としてふるまっている。それは石破首相の「国益をかけた戦い。なめられてたまるか」と言う対米反発の言質とも平仄が合う。
しかしより根本の問題は、中国の過度に肥大化した工業力が世界に弊害を与えているという事実にある。日本も米国同様に中国に製造業の基幹部分を奪われ、生産の長期停滞を余儀なくされた。中国の近隣破壊的な工業力が各国経済や国民生活に大きく影響し、米国を始め各国がそれに耐えられなくなっているのである。
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