川田重信氏と語るトランプ大関税と株価暴落
~トランプ政権サイドから見なければ相場は分からない~
【ストラテジーブレティン(377号)】
米国株式投資のレジェンド、川田重信氏と対談を行った(4月8日)以下はその概要である。
問1)トランプ氏の事前の予想を大幅に上回る関税増税発表により、市場は大波乱、世界的株価暴落しています。世論も市場も悲観一色ですね。
市場パニック、だが総崩れではない、対日厚遇の可能性十分にある
武者) 確かに関税の引き上げ幅が想定よりも著しく大きく、特に同盟国に対して大きい、また発表の仕方も唐突、関税の根拠も泥縄で説得力がなく、世界の世論を全部敵に回してしまった。報復関税の応酬が始まっており、リセッション懸念が高まった。また米国の世紀は終わったとの末法論的意見も現れた。株価に割安感が出ているとはいえどこが底値なのか、見当はつきにくい。
この政策の不透明性こそ市場が最も嫌うもの、先物主体の投機売りが、市場を精一杯かく乱できる条件と言える。悪評高い1930年代以来の高関税と、関税引き上げ競争の始まりは、大恐慌の悪夢を呼び起こすのに十分である。しかしよく見ると暴落の中にも、ヒントがある。ドイツなど欧州株は年初の水準を維持している事、債券市場もリセッションの予兆と言えるリスクプレミアムは全く上昇していないこと、などポジティブな要素もある。総崩れではないのである。
トランプ政権の戦術が見えてきた。中国にことさら高い関税を賦課する一方、日本、韓国、EUなどの同盟国との間では交渉により関税率を引き下げる余地を見せている。日本製鉄によるUSスチール買収の可能性も見えてきた。脱中国サプライチェーン構築の鍵となる対日厚遇の可能性は高い。
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