「米中材料に揺れる日本株」
今週の国内株市場ですが、これまでのところ、日経平均の値動きは荒い展開となっています。
連休明けで迎えた15日(火)は、取引時間中に節目の4万台に乗せる場面があるなど、上昇を見せましたが、翌16日(水)は一転して下落し、終値は前日比で730円安となり、この2日間の値幅(高値と安値の差)は1,200円近くになっています。
また、この動きをチャートで確認すると、ローソク足が両日ともに陰線であるほか、ローソク足も短い線になっています。陰線の多さは、方向感に欠ける中で売りに押される状況だったことを表しているほか、ローソク足の短さは、取引時間中に値動きが出ていないことを意味しており、足元の日本株は国内要因よりも海外市場の要因で動く、「主体性に欠ける展開」だったと言えます。こうした日本株の展開は先週あたりから目立っています。
そこで、ここまでの海外市場の相場地合いについて確認すると、ます、中国株は経済政策をめぐる思惑で揺れ動いています。先月9月24日に発表した金融政策を好感した株価上昇が一服し、次は「財政面での追加の経済政策」が期待されていたのですが、先週8日(火)に行った中国国家発展改革委員会の発表では、追加の財政政策が見送られたことで株価が下落していきました。
こうした株式市場の反応を受けてか、今度は中国財政省が12日(土)に財政刺激策について説明することになり、これを受けた今週14日(月)は上昇したものの、具体的な規模や実施時期への言及がなかったこともあり、再び上値を追いにくい状況となっています。
その一方で、堅調さが目立っているのが米国株市場です。14日(月)の取引ではNYダウとS&P500が連日の最高値を更新する動きとなったほか、NASDAQも7月につけた最高値に迫るところまで上昇しました。
9月開催のFOMC(連邦公開市場委員会)から利下げサイクルに入ったことをはじめ、米経済の「ソフトランディング」シナリオに自信を深めつつあること、そして、先週から本格化しつつある米企業の決算でも、これまでのところ大手金融機関を中心に良好なものが多いことが株価の先高観につながっている状況です。
基本的には米中の景況感が後退しない限り、この株高の流れが続きそうというのがメインシナリオになりそうですが、15日(火)の取引では、オランダの半導体製造装置企業のASMLの決算が手違いで1日早く発表されてしまい、しかも、その決算内容と業績見通しが良くなかったことで、半導体関連株を中心に大きく下落する展開となり、16日の日本株市場へと波及するなど、足元の強気相場に水を差す格好となりました。今後発表される台湾TSMCなどの半導体決算で盛り返せるかが注目されます。
また、ASMLの決算では、受注額の減少と売上高の見通しの引き下げがネガティブ視されましたが、同社では売上の半分が中国ということもあり、今後の決算動向では国内外の中国関連銘柄にも注意する必要が出てくるかもしれません。
さらに、いくら米国株市場のムードが良好でも、リクツ的に「どこまで上昇できるか?」については、米国株がすでにPERや益回りの面でかなり割高な状況でもあるため、しばらくは、企業決算の稼ぐチカラを確認しながら上値を追っていくことになりそうです。
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