「トランプ・トレード」でちょっとカオスになってきた株式市場
連休明けで迎えた今週の国内株市場ですが、小幅な値動きで推移していたものの、18日(木)には急落で取引がスタートし、にわかに不安定さを増しつつあるような展開となっています。
先週は、日経平均とTOPIXが最高値を更新するなど、株価上昇の勢いを見せつける場面がありましたが、日々の売買代金が盛り上がっていたわけではなく、「相場が強いか弱いか」の視点で動いていたことが推察されます。こうした、ムードや強弱で動く局面では、先週末の12日や、18日の取引のように、値動きは荒っぽくなることが多く、注意が必要です。
ただ、まもなく日米で企業決算が本格化し、これからは企業業績や見通しを手が掛かりに「株価が高いのか安いのか」の視点が加わることになります。株価の行方は企業決算の動向がカギを握ります。
そのため、本来であれば、企業決算を確認しつつ、月末に控える日米の金融政策イベントをにらみながら方向感を探っていくというのが、ここからしばらく先のメインシナリオです。
しかしながら、米国では、9月の利下げ開始や景気のソフトランディング見通しが強まる中、決算に反応していくというムードとは別に、いわゆる「トランプ・トレード」の風が吹き始めており、市場を揺さぶりつつあるのが少し厄介です。
先週末に、米大統領選挙に立候補している共和党のトランプ氏が銃撃されるという事件をきっかけに、同氏への支持率が高まり、選挙戦を優位に進めるという見方がその背景にありますが、具体的には、トランプ氏が訴えている、減税や規制緩和など、企業・マーケット寄りの政策が進むとの見方が、株買いや仮想通貨買いにつながっている一方、関税の引き上げや移民政策などがインフレを再燃させてしまう懸念も根強く、債券市場では金利上昇圧力となっています。
こうした、トランプ・トレードは、同氏の政策方針だけでなく、対円や対人民元のドル高に対して懸念を示唆する発言をしたことを受けて、為替市場で円高が進む動きを見せるなど、今後も同氏の発言をきっかけに市場が敏感に反応する場面が増えそうです。
足元では企業決算、再来週には金融政策イベントなど、目先の注目材料があるにも関わらず、それを覆ってしまうほどのインパクトがあるトランプ・トレードですが、大統領選挙の本番は11月とまだ先であるほか、短期的な株高政策をプラス面として織り込んでいる株式市場と、中長期的な財政悪化やインフレ、景気後退を警戒する債券市場など、足元の市場が織り込んでいる時間軸がバラバラで、ややカオスな状況のように感じれらます。
見切り発車で動き出した足元の相場の状況がある程度整理されるまでは、株価は上にも下にも大きく動きやすく、読みにくい展開が続くかもしれませんが、結局は、基本である企業業績と金利の動向を冷静に見て行く必要がありそうです。
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