東和ハイシステム(4172)当面は新製品リリースが続くAI・音声シリーズの拡販状況に着目
西日本を中心に歯科医院向けの統合システム提供に特化
当面は新製品リリースが続くAI・音声シリーズの拡販状況に着目
業種:情報・通信業
アナリスト:藤野敬太
1.会社概要
・東和ハイシステム(以下、同社)は、電子カルテをベースとした歯科医院向け統合システムを開発・提供する企業である。
2.財務面の分析
・15/2期から23/9期までの期間において、売上高は横這い、経常利益は年率0.5%で減少した。内部管理体制の強化を優先して利益が伸びない時期を経た後、21/9期にかけて上向いたが、22/9期、23/9期は連続して減収減益となった。
・医療機関向けにシステムを提供する上場企業と財務指標を比べると、安全性は高いものの、規模の小ささや成長性の低さが目立つ。また、総資産回転率の低さから、収益性を示すROEも低水準に留まっている。
3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、長年にわたる創業者のコミットメント(人的資本)である。歯科医院向けシステムに特化する集中戦略が奏功し、優位性の高い製品開発と製品に合った販売戦略により、西日本を中心に顧客層(関係資本)を拡大した。それがシステム開発のノウハウ(組織資本)の蓄積につながり、次の製品開発につながる好循環を描くようになった。
4.経営戦略の分析
・対処すべき課題として、AI・音声シリーズの拡販、関西圏及び首都圏における顧客開拓及びシェア拡大、人材の確保が挙げられる。
・当面は、日立製作所(6501東証プライム)との協創で開発されたAI・音声シリーズの拡販による事業拡大に集中していく方針である。
5.アナリストの評価
・証券リサーチセンターでは、歯科医院向けのシステムに特化する集中化戦略を採り、製品開発のみならず、営業やサポートについても独自のスタイルを構築してきた点を評価している。
・現在新製品のリリースが続くAI・音声シリーズの販売動向が当面の焦点となろう。業界初の機能を持つ製品のため、既存顧客先への導入に加え、新規顧客の獲得にどれだけ貢献できるかにも注目したい。