1月7日妥当レンジ 28,958円~31,273円
今週から来週にかけてが目先のボトム
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
<FOMC議事録公表から楽観論が後退>
■5日に公表された米FOMC議事録要旨(12/14-15開催分)を切っ掛けに株式市場は暗転した。これまで市場はQT(バランスシート調整による量的引き締め)に関しては、利上げ開始後からある程度の期間をおいてからと見ていたのであるが、議事録ではほぼすべての参加者が「最初に利上げした後のある時点でバランスシートの縮小を始めるのが適切である可能性が高い」との考えに同意した、と示された。利上げ開始の条件となる最大雇用は比較的早く達成される見通しであり、3月半ばのFOMCで利上げが示される可能性が強まった。
■4日に発表された11月の米雇用動態調査(JOLTS)において自発的離職者数は452.7万人と前月から37万人増加して過去最高を更新した。転職が賃金増につながっており、インフレ圧力を加速させる可能性がある。
■7日発表の米雇用統計(12月)においては非農業部門雇用者数は19.9万人増と予想(42万人増)を大きく下回った。失業率は3.9%と前月比0.3ポイント低下しており、雇用の供給が逼迫していることをうかがわせている。米10年債利回りは7日に一時1.81%にまで上昇し、ドル円は116.35円まで上昇した。
<今週は市場が悲観的になる材料多く株価下落も>
■今週は、12日:米消費者物価指数、14日:小売売上高・鉱工業生産(いずれも12月分)の発表を控える。また、11日にはパウエル議長、13日にはブレイナード次期副議長の議会証言が予定されている。利上げ・QTに関してタカ派的な発言が行われるようであれば市場心理は一段と低下することも考えられる。
■また、オミクロン型の世界的な蔓延に伴い、国内外で経済活動に制限が生じる可能性も予想される。しかし、オミクロン型が逸早く広がった南アフリカは既にピークを打っており、英国もピークアウトの兆しが覗える。株価が大きく下押しすれば目先的にはボトムになる可能性が高いと考えられる。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
28,958円~31,273円 | (前回28,894円~31,239円) |
「IFIS/TIWコンセンサス225」(1月7日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(1月7日)
今期予想EPS | 1646.62円 | (前週1644.99円) |
来期予想EPS | 1780.08円 | (前週1778.29円) |
再来期予想EPS | 1879.67円 | (前週1878.17円) |
今期予想PER | 17.30倍 | (前週17.50倍) |
来期予想PER | 16.00倍 | (前週16.19倍) |
再来期予想PER | 15.15倍 | (前週15.33倍) |
来期予想PBR | 1.22倍 | (前週1.20倍) |
来期予想ROE | 7.64% | (前週 7.44%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
7.01% | (前週 6.91%) |
1月7日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
5日に公表された米FOMC議事録(12/14-15分)を切っ掛けとして、米長期金利上昇、円安、株安が生じた。特に東証マザーズなど高成長株の下落が厳しい。一方で、自動車株、銀行株は好調である。自動車関連は半導体不足による供給制限が緩和されつつあることに加えて、自動運転や異業種からの参入など2022年の注目セクターになりそうである。
来期予想ベースのプラス企業比率は、 54.4%→47.5%→47.2%→51.6%→39.1%→59.6%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、54.3%→48.9%→48.9%→54.8%→31.7%→52.7%。
前週は年末でイレギュラーな動きであったが、方向感に乏しい。
[注:例年4~5月は、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |