来週の金融市場見通し(2020年8月31日~2020年9月4日)

2020/08/28

■来週の見通し

米連邦準備制度理事会(FRB)は、2%の物価目標について平均で2%を目指す「平均物価目標」に変更し、2%超のインフレを容認する姿勢を示しました。米国でインフレ期待が高まるとともに、ゼロ金利政策が一段と長期化するとの見方が強まりました。他方、米中の閣僚が貿易合意の進展を確認したと伝えられたことなどから、やや安心感が広がっています。もっとも、国内では安倍首相が辞意を固めたと伝えられたことは懸念材料です。国内の鉱工業生産指数、米雇用統計なども確認したいところです。

◆株価 :首相退陣の影響は限定的か

日本株は底堅い展開が予想されます。日米で新型コロナウイルスの感染拡大が一旦鈍化しており、これを背景に日米の景気に対する過度な懸念が和らいでいることが、株式市場を支える見通しです。また、米中の貿易摩擦リスクが若干低下したとみられることも、日本株の好材料になる見込みです。なお、安倍首相の退陣については、これにより金融政策などが大きく変わる可能性は低いことから、日本株への影響は当面、限定的とみられます。

◆長期金利 :一段の上昇は限定的

FRBが2%超のインフレを容認する姿勢を示し、物価が押し上げられるとの見方から米長期金利が上昇し、国内の長期金利も週末には0.05%程度まで上昇しました。もっとも、ゼロ金利政策が長期化するとの見方が広がり、米金利が落ち着くと、国内の長期金利の上昇も限定的になりそうです。月末に公表される日銀の長期国債買入れの月間予定に加え、安倍首相が辞任した後、現行の金融政策が維持されるかも確認したいところです。

◆為替 : レンジ継続ながらも下値は堅い

米国の追加経済対策に関する政府と議会の合意は9月末までないとの報道があるものの、米株価は堅調に推移しており、基本的にはリスク選好が優勢です。ドル円は引き続き両通貨の強弱が拮抗していることから方向感を見出しにくい状況ですが、パウエルFRB議長が、期間平均で2%のインフレ率を目指すと表明したことで、米長期金利がやや上昇しており、レンジ継続ながらも下値がより限定的となりました。

◆Jリート :神経質ながらも上値を探る

東証REIT指数は、英FTSEが国内リートを日本株指数の組み入れ対象としたことや、「Go Toトラベル」で東京都も追加されるとの思わくで買われたものの、利益確定売りにも押され、1,700ポイント台前半での動きが続きました。長期金利上昇も売り材料になった模様です。来週は安倍首相が辞意を固めたと伝えられたことから、やや神経質な展開も想定されます。もっとも、分配金引き下げリスクが後退しており、底堅い動きが見込まれます。

来週の注目点

鉱工業生産指数(7月、速報値) 8月31日(月)午前8時50分発表 

鉱工業生産指数は6月に前月比1.9%上昇し、80.2(2015年=100)となりました。5月下旬に国内で緊急事態宣言が解除されたことや、海外景気の持ち直しを背景に、5か月ぶりに上昇しました。特に、自動車工業や生産用機械工業などが大幅な上昇を示しました。

7月の鉱工業生産指数も、自動車工業などに主導され、前月比上昇が見込まれます。国内で新型コロナウイルスの感染が拡大しているものの、緊急事態宣言は再発令されておらず、経済活動の正常化が徐々に進んでいます。ただ、外出自粛ムードが残る中、生産の回復は当面、緩やかなものにとどまる見通しです。

米雇用統計(8月) 9月4日(金)午後9時30分発表

7月の米雇用統計において、非農業部門就業者数は前月比176万3,000人増と市場予想を上回る増加となり、前月と比べて鈍化したものの、労働市場の回復が継続していることを示しました。失業率も10.2%と市場予想を上回る低下となりました。

飲食、小売り中心に再雇用が継続しているものの、非農業部門就業者の総数はパンデミック前の水準を大きく下回っており、労働市場の完全回復にはまだ長期間を要します。8月の非農業部門就業者数は前月比157万人増程度、失業率は9.9%程度への低下を想定しています。

 

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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しんきん投信「来週の金融市場見通し」   しんきんアセットマネジメント投信株式会社
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