企業決算で市場と実体経済の「認識ギャップ」が埋まるか?

2020/01/24

今週の国内株市場ですが、これまでのところ中国で発生した新型肺炎の影響を不安視される場面がありながらも、日経平均は24,000円台を挟んだもみ合いの展開となっています。

 

また、東証1部の売買代金を見ると薄商いが続いており、これから本格化する日米の企業業績次第でさらなる上値をうかがえるところに位置していると言えます。まずは、今週の23日(木)に予定されている国内の日本電産やディスコ、米国ではインテルやP&Gなどの決算が注目されますが、株価上昇に弾みがつけば、日経平均のバブル後高値(2018102日の終値で24,270円、取引時間中で24,448円)が視野に入ります。もっとも、今週末の中国の旧正月(春節)を控え、中国の国内外の人の動きが活発化することが見込まれるだけに、新型肺炎をめぐる状況には要警戒です。

 

日経平均の動きを日足チャートで捉えると、昨年の8月下旬以降、上昇トレンドを描いています。米国株市場も3指数(NYダウ・S&P500NASDAQ)が揃って史上最高値を連日で更新する状況となっていますが、株式市場はすでに米中関係の改善を背景とした国内外の景気底打ちと企業業績の回復をある程度織り込んでいると思われます。

 

そのため、株価のさらなる一段高には足元の業績や今後の見通しが想定を上回ってくることが必要です。企業決算を手掛かりに、市場が描いているシナリオと実体経済の状況とのギャップをどう埋めていくのかが焦点になります。

 

とはいえ、市場が織り込んでいる楽観の背景にある米中関係の改善、いわゆる米中の「フェーズ1・ディール(第1段階の合意)」が、実は「米中摩擦の第2幕のはじまり」となる可能性を指摘する見方もあるようです。ポイントになるのは、「今後2年間で中国が米国からの製品・産物・サービスの購入額を2,000憶ドルに増やす」という合意内容の項目です。この金額規模は景気の状況がおぼつかない中国経済にとってかなりの負担になります。次の合意(フェーズ2・ディール)の進展や、さらなる制裁関税の引き下げの条件として、確実に購入額を増やすことが挙げられていますので、中国側の動きが注目されます。

 

具体的には、これまで他国から購入していた品目を米国に切り替えたり、人民元を元高に設定したり、市場の開放やビジネスルールの国際化などの改革を進めることなどが想定されます。米国からの購入額を増やすための施策が今後の欧州や日本、新興国経済への影響が出てくる可能性があります。

 

また、今週は201812月にカナダの国際空港で拘束された中国企業の華為技術(ファーウェイ)の副会長兼CEOの孟晩舟氏の身柄を米国に引き渡すか否かの審議が開始されました。結論が出るのは今秋とのことなので、直近の相場への影響は限定的になると思われますが、米議会を中心に中国企業への規制強化の流れは変わっていませんので、再び米中の対立が強まってくると、改善ムードがひっくり返されてしまうこともあり得ます。

 

今回の合意内容自体が新たな摩擦となる火種になるかもしれないことには注意しておく必要がありそうです。

 

 

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